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娯楽からのループ

作者: 金檸檬

連載小説に向けて、試験運用としてアップしました。自身の体験談も元になっております。拙い文章ですが、よろしくおねがいします。

始めたきっかけは単純だった。


暇だったから、やりがいが欲しかったから、興味を惹かれたから。


俺はゲームの世界に足を踏み入れた。


そこには、「楽しい」が詰められたおもちゃ箱のようで


一瞬で夢中になった。


時間があればすぐにそこにいる。


楽しかった、楽しい日々が続いた。


オンラインゲームだったから、顔も知らない友人も増えた。


いつまでも、その楽しさが続くと思っていた。


ーーしかし、いつの日か。


娯楽はいつの間にか苦痛へと変わっていた。


「やらなくては」という使命感にかられる。


余った時間にやっていたものは


大事な時間を削ってさえやっていた。


苦痛だ、苦痛だ、と感じてもやめられない。


今まで頑張ってプレイしてきた分の実績が


今日サボることで下の人達に抜かれるのではという恐怖。


現実では到底得ることの無い、地位。


どうしても手放したくない。




こうして娯楽は苦痛へーー


「やりたい」は「やらねば」へーー




ふと、ある日突然として思った。


ああ、自分は何をしているのだろうと。


こんなことして、なんの意味があるのだろうと。


俺はゲームから1日身を置いてみた。


次の日、なぜかゲームをやる気がしなかった。


それ以降もずっと、やる気がしなかった。


ログインボーナスさえ、まめに取っていたのに。


今は見る気もしない。


ログインするのさえめんどくさい。


なぜだろう。


なぜなのだろか。


俺はいつの間にか全くゲームをしなくなった。


熱が冷めればなんてことの無いものだった。


ちっちゃな手のひらの中の地位なんぞ

固執するほどでもなかった、と思い返す。


そんなわけで、今までゲームに費やしていた時間が余った。


俺は色々な事にその時間を回してみることにした。


幸いにも、俺はまだ学生であったため、

無駄にした時間の挽回のチャンスがあった。


まずは、色々な趣味事に手を出した。


絵を書いたり、裁縫をしたり、料理をしたり。


はたまた、筋トレをしたり、勉強をしたり・・・。


精神的にも肉体的にも、あの頃に比べれば楽であった。


なんで苦痛と感じてまで時間を費やしたのか分からない。



━━数年後、俺はとあるゲーム会社へと就職した。


学生時代、当時していたゲームに携わりたい

なんて考えで選んだ道を順調に歩んだ結果だ。


俺は気乗りはしないが、それが自分の性なのだと

自分の人生であり、役目なのだと思い、その職に就いた。


初任給もそこそこで、悪くないと思ったし、


その職は思いのほか、やりがいもあり、楽しかった。


キーボードを打つだけで気分が良かったし、

思い通りのプログラムができた時は達成感もあった。



・・・しかしそれは、いつの間にか苦痛へと変わっていた。


終わらぬ残業、もう何日家に帰っていないだろう。


昔もこんなことがあったような気がする。


だが、仕事は自分の都合では抜けられない。


ここで抜ければ、サボれば、周りへ負担をかける。


休めない。休めない。休みたくても。


実績も、地位もありゃしない。


周りの同僚も親しいわけじゃない。


仕事は、簡単に距離も置けない、休めない、辞められない。


ずっと続くのだこの苦痛が。





━━仕事とゲームの共通点は

周回の数だけ、報酬が手に入ることだろう。


━━1つ、ゲームと違うのは

その報酬を、使う時間がない事だろうか。




「苦痛のループ」

バッドエンドの物語です。この話に共感していただけると嬉しいです。が、悲しいような、複雑な感じがします。

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