第六話
早速学校を出て昨日自分が歩いたであろう場所を必死に思い出しながら歩いている。
え?なぜ必死かって?そりゃあこれからの人生普通の人の視界で過ごすかシースルー過ぎる方を視界に一生入れながら過ごす人生かどちらかを選べといわれたら普通の視界がいいに決まってる。
いつもより歩行速度を少し落としながら心の中で
『昨日会ったラニーに会いたい、昨日会ったラニーに会いたい、昨日会ったラニーに会いたい、昨日会ったラニーに会いたい……』
そう会わないとまず話にならないからなすれ違う人々が私の顔を見て驚いているがそんなのは無視だ必死なんだよ。
髪を振り乱さんばかりに歩いたが結局今日はたどり着けなかった。
何度も自分が歩いたと思われる場所を何往復もうろうろして不審者がと通報されるわけにいかないから泣く泣く帰ったが家にいるとやはり落ち着く家族だけしかいない空間だからだろう。(透け感のあるひともいるが)
しかも今家に私一人と透けた人の二人?だけだから
「広い。」
と呟いてしまうほどに快適だ。
リビングのソファーに寝転びながら自分の側で佇んでいる透け感のある人(人なんだか霊なんだか)をみながら
「駄目だこのまま一生透け感のある人を見続けるのは精神に堪える。どうしたもんだろうか」
と考えていると……ん?お婆ちゃん?私の側で佇んでいる人?の顔を見ると父親の母親つまり父方のお婆ちゃんの顔に似てる気がする。
あれ?仏間に飾ってあるお婆ちゃんの写真の姿より若い気がする守護霊的なものになったら若返るんだろうか。
そんなことを考えながら思わず
「お婆ちゃんなのかな?」
と透けてる人?に聞くと微笑み頷かれた……マジで?
なんだろうとてつもなく色々聞きたい気がするがハイかイイエの顔の縦か横の動きでできる質問ってと考えていると
「ただいま、未依流帰ってるの?」
母親がパートから帰宅した。
もっとゆっくり考えたりしたかったけど仕方ないな。