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鬼畜伯爵の囁き

 投稿してすぐではありますが、サブタイトルを『悪魔のような伯爵の囁き』から『鬼畜伯爵の囁き』に修正させて頂きました!<(_ _)>


 ボソッ「闇よ、彼の者をその懐に隠したまえ」 

  

 「…え?」

 急にクローゼットの中の電気が消え、目の前が闇に包まれた。これはいったい…。闇属性の魔法…なのか?

 闇魔法を見るのは初めてだ。闇属性は高等魔法に属する。なぜ伯爵が使えるのだろうか?思わず驚きの声が出てしまった。


 ボソッ「しっ!」

 伯爵は自分の口に手を当てて、“喋るな”と伝えてきた。


 (彼は助けてくれるつもりらしい…)

 疑問は一更に増えるばかりだが、喋りかける訳にもいかない。


    ガチヤッ

 「お父様?何で私のクローゼットなんかにいるのよ!しかも電気も着けずに真っ暗じゃないの」

 ミレーネ様は壁にある電気のスイッチに手を伸ばそうとした…が、


 「ダメだよ、ミレーネ。今すぐ閉めた方が良いと思うよ。屋根裏をつたってゴキブリが入り込んできたみたいだから!」


 「…え?キャーーー!!!」


   バタンガチャッ!


 伯爵からゴキブリの事を聞くと、すぐにクローゼットを閉め、鍵までかける始末。


 「お父様どうにかして~!」

 ミレーネ様は涙声になりながら懇願してきた。どうやら彼女はゴキブリが苦手らしい。

 …可愛らしいと思ってしまった。ナジアス様には秘密にしよう。

 

 「ははは。わかった、わかった。ちゃんと退治しといてあげるから、その間しばらくリビングにでも行っておきなさい」


 「ありがとう!お父様!!!」


 そうして、駆け足で逃げ去る音が聴こえた。

 

 「…さてと、」


 伯爵がこちらの方を向いた。


 「闇と共にある光よ、我が造りだし闇が隠す者を、再び光と闇の中へ戻したまえ」

 伯爵が呪文を唱えると、周りに渦巻いていた黒いモヤのようなものが消えた。


(光属性と闇属性の魔法の複合魔法も使えるのか!対極にある魔法を使いこなす者など見たこともない。彼はいったい何者なのだろうか)

 

 そんな事を考えていると、伯爵は少ししゃがみ込み、私と目線を合わせてきた。

 黄金色の瞳は獲物を狩る猛獣を思い起こさせた。心の奥底まで視られてるようで、なんだか落ち着かない。


 「君、どうせ殿下に命令でもされたんだろう?」


 「違います。私の意思です。誠に申し訳ございませんでした」 

 じーっと伯爵は見つめてくる。まるで全てお見通しだとでもいうように…。私も負けじと伯爵の眼を見つめ返し、反論した。

 

 今回の事は完全なる私のミスだ。伯爵を警戒しながらも、私は己に過信しすぎていたのだ。伯爵の力を軽んじていた自分を恥じいるばかりだ。

 

 目の前のこの方は絶対普通の貴族ではない。恐るべき力を持つまでにきっと、尋常じゃない努力が必要だったはずだ。いくら闇と光属性の稀有な適正をもっていたとしても、高等魔法すぎて、使いこなせる者など多くはないだろう。繊細な技術力と操作力を必要とする高等魔法において、鍛練に近道など存在しないのだから。

 私はいつの間にか、この方を畏怖と尊敬の目で見るようになっていた。そんな気持ちを知ってか知らずか、伯爵は


 「…ふふふ。君、面白いねぇ。弟子にしてあげようか?」と言ってきた。


 「私はただの一従者です。私の意思では御答えしかねます」

 本音は(是非ともお願いしたい!)


 「…ふーん。君、これ欲しくないの?」


 「…そっ!それはっ!」

 

 伯爵は手からはミレーネ様のパンティーがぶら下がっていた。

 

 「要りません」

 恐らく、この時私の顔は赤くなっていただろう。


 「あれ?可笑しいなぁ。君、これが欲しくて盗みに入ったんじゃないの?今なら“きちんと”言えば見逃してあげるし、これもあげるよ?」


 …謀られた。私の頭の中にはナジアス様がミレーネ様のパンティーを持って帰ったら喜ぶだろう姿が容易に想像できた。同い年の私が言うのもなんだが、そういうお年頃なのである。


 (くそっ!)

 私に残された選択肢は一つしかなかった。


 「…私はミレーネ様のパンティーが欲しいです」


 穴が合ったら入りたい気分とはこの事を言うのであろう…。

人生初めての辱しめを受け、眼は潤むのを感じた。


 噂には聴いていたが…

 (この鬼畜伯爵め!!)


 私は睨みつけるという、ささやかな反撃しか出来なかった。

 お読み下さりありがとうございます!(*^^*)

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