故郷の異変
茶色くなった葉が絨毯のように地面を覆い尽くしている。木に残った僅かな葉も、吹きすさぶ風に揺られて今にも儚く散ってしまいそうだ。
寒々しいと同時に物寂しさを感じる冬の山道。
乾いた音を立てる足元に時折視線を落としながら、リルレットは青空の下を歩いていた。
右肩にはイフリータ。ぬいぐるみのようにくっついている。さっきから楽しげな鼻歌が聞こえてくるのは、本当に楽しんでいるのだろう。横目で盗み見ると、大きな頭が左右に揺れていた。
(久しぶりの故郷だもんね。嬉しいんだろうなあ)
何百年生きたとしても、故郷はやっぱり故郷なのだ。無邪気に喜んでいる魔人が微笑ましくて、リルレットはクスッと笑みを零した。彼女自身故郷に舞い戻った感動に浸ったのはつい昨日のことだが、今は忘れているようだ。
ふとある考えが閃いて、足が止まった。
「イフリータさんは、クラエス様と出会うまで、ずっとここで暮らしてたんですよね」
『うん。そうよ』
「王都に移ったのが大体十年前」
『そうだったわね』
「それがどうかした?」とでも言いたそうなイフリータの表情。
リルレットは人差し指を下唇に当て、独り言のように呟く。
「ということは――クラエス様は、十年くらい前にここへ来たことがあるんですね」
『あら、知らなかったの?』
「だって教えてくれないんですもん」
『あはは、拗ねない拗ねない。単に話す機会がなかっただけよ』
「別に、拗ねてなんか……」
そう言いつつも、リルレットは自然と唇を尖らせている。
(じゃあ、村の入口で呟いてたのは聞き間違いじゃなかったんだ)
あの時、彼は確かに「懐かしい」と言っていた。初めて訪れたはずだという先入観が聞かなかったことにしたのか、それとも実家が近づいてきた喜びに掻き消されてしまったのか、今の今まですっかり忘れていたが。
もしかしたら、彼とはとうの昔に出会っていたかもしれない。もちろん、そんな事実は絶対にないと言い切れる。一度見たら忘れられる人ではないからだ。
けれど、まだ少年だったクラエスと、もし十年前に話をしていたら……。
今とは少し違う未来を描いていたのだろうか。
そう思うと面白くもあり、少々不安でもあった。
「でも、なんでこんな辺鄙なところに? 何か興味を惹くものでもあったのかしら」
『お仕事だったらしいわよ。なんかの』
「なんかって?」
『わたし知らなーい』
そう言ってイフリータは顔をふいっと背けたが、リルレットにはぴんときた。
彼女は知っていて隠しているに違いない。面白そうなことは嬉々として話すから、口が噤むのは訳があるはずだ。
クラエスと話してはいけない約束でもしているのだろうか。
なんとなくだが、それは違う気がする。うまく言えないが、イフリータはあくまで彼女の判断で話さないのではないか。
リルレットは無理やり笑顔を作って、
「えー。いいじゃないですか。教えて下さいよ。私とイフリータさんの仲じゃないですか」
と、見え見えの媚を売った。
しかしイフリータはこう見えてリルレットより遥かに年長者だ。素人の即興劇に付き合う素振りも見せず、
『知らないったら知らないもん。クラエスに聞けばいいじゃない。わたしよりずーっと仲いいでしょー?』
そう言うと、きょとんとするリルレットにニヤニヤと含み笑いを向けた。
『昨日だって馬車の上で何やら怪しげな様子だったし』
リルレットの顔が真っ赤に染まった。
「なっ……。そ、そんなことないですっ。イフリータさんの見間違いです!」
『この期に及んで、そんな言い逃れをするとはね……。呆れたわ、リルレット。わたしだってねえ、見れるもんならこの目でしかと見たかったわよ!』
「何をですかっ」
『決まってるじゃない。決定的な瞬間よっ』
目の前に迫った翡翠色の瞳がリルレットの脳裏に蘇る。あの時は何が起きているのか分からなかったのに、思い返すたびに心が蕩けそうになる。
リルレットはばしんと音がするくらい激しく、両手で頬を抑えた。緩んだ頬をイフリータから隠すためだ。
だが少し遅かった。偉そうに腕組などして、半眼で見上げてくる。
『どうやら初心なリルレットちゃんには強烈な経験だったようね。お姉さん、詳しく聞きたいなぁ』
「は、話すことなんて何も……」
『どんな雰囲気だったとか、ほんのちょっとでいいのよう』
「だ、だからぁ、何でもないんです。本当です」
『ふーん。あくまでそう言い張るのね。じゃあこっちにだって考えがあるわ』
「か、考えって何です?」
リルレットが恐る恐る尋ねると、イフリータは意地悪そうににたりと笑った。
『明日クラエスに聞くのよ。きっとあるコトないコト話してくれるわ。面白がって』
「やめてくださいっ。冗談じゃすまないですよ!」
『じゃあ大人しく口を割るのねっ』
「うー……」
こんな調子でしばらく押し問答が続いたが、イフリータの脅しが効いたのか、リルレットは少しずつ白状し始めた。暈せるところは暈したが、その都度鋭いツッコミが入るので終始泣きそうだった。
拷問は全て話し終えるまで続いた。リルレットの気持ちに合わせて歩調も亀のような鈍さだったので、イフリータの追及が始まってからそれほど進んでいない。
こんな調子では目的地まで辿り着かないのではとリルレットは危惧したが、もう一人は憎らしいほどに満足気だ。
『あーもうお腹いっぱい。おかわりいらないわ』
「ないですよ、そんなの」
ぷんぷんと怒ってみせても、イフリータは知らんぷり。気晴らしにもならない。
「はぁ……もういや」
『そんなこと言わないで。続きも楽しみにしてるわよ』
「絶対お断りです!」
心の底から叫んだ。
まったく、一体イフリータは何を考えているんだ。人が本気で怒ってるっていうのに、まるで他人事なんだから。それに続きって……。
ぷくっと膨らませた頬が次第に紅潮していく。それを誤魔化すようにリルレットはひたすら前を睨んだ。
少し前に、白くて小さい石がごろごろする道に変わっていた。すぐ近くを沢が流れているらしく、水音がかすかに聞こえてくる。
もはや道と呼べる代物ではない。それどころか、一度たりとも人が歩いたことのないような荒み様だ。
トトルーナ村は南以外の三方を山に囲まれた、いわば行き止まりにある村である。その中でイフリータが指定したのは、村人があまり立ち寄らない北にある山だった。
標高はそれほど高くないものの、山頂から先もまた山、山、山。再び平地を拝もうと思ったら三日は歩かなければならない。
そしてこれは言い伝えなのだが、山の向こうには深い谷が横たわっていて、そこに大きな魔物が棲んでいるという。なんでも山と見紛うほど大きいのだとか。そんな不気味な伝説があるので、なおのこと村人は近寄らない。
けれど、迷信だと言う人もいた。リルレットがまだ幼い頃、谷を超えて軍隊がやってきたのだ。もし山のように大きな魔物がいるなら、その時にみんな食べられてしまったはずだ。全員とまでは行かなくても、きっと逃げ帰っていたことだろう。
人が谷を通ってきたことが、魔物がいない証拠というわけだ。
『ちょっと止まって』
イフリータの鋭い声が、物思いに耽るリルレットを現実に引き戻した。
「どうかしたんですか?」
『山の様子がおかしいの。見て』
と言われ、とりあえず前方に視線を動かした。しかし、特に変わった様子は見られない。
『そうじゃないわ。肌で感じるのよ。何か違うでしょ』
「そう言われても……」
見ろと言われたから見たのに、そうじゃないとは釈然としないお叱りだ。それとも、魔人である彼女には人間には見えないものが見えるのだろうか。
だが文句を言っても仕方がない。
リルレットは目を瞑り、頬や掌に当たる風を感じようとした。
するとイフリータの言う通り、彼女にもすぐに分かった。
「……あたたかい」
地熱のため、地面はほんのり熱を帯びている。しかしそれとは違う。明らかに冬のものではない空気が、山に流れている。
リルレットは目を開けた。水色の瞳が、驚きと恐怖で少し震えている。
「何か変です。前からこんなに暖かかったかしら」
『私は炎の魔人だから、寒いより暖かい方が好きなんだけどね。でもこれは異常すぎて喜べないわ』
そう言うと、イフリータは険しい顔をして周囲に頭を巡らせた。謎の根源を見つけ出そうとするかのように。
しかし、ここから見える景色では限界がある。リルレットは恐る恐る考えを述べた。
「あの……もう少し先へ進んでみましょうか。そしたら何か分かるかも」
本当は進むのが怖い。漠然とだが、何かよくないものがこの先で待ち受けているような気がする。
北の山に住むという、山よりも大きな魔物が脳裏にちらつく。もちろん、リルレットはそんなもの見たことがない。しかし見たことがないだけに、より巨大に、より禍々しく影を伸ばすのだった。
『――そうね。そうしてくれる?』
怖気づく彼女の内心を察したのか、イフリータは気遣わしげな様子を見せながらも頼んだ。それに対してリルレットはこくりと頷くと、勇気を絞り出して一歩踏みこんだ。
故郷を心配するイフリータの気持ちが分かるからだ。彼女はこの山で何十年、何百年と過ごしたに違いない。何としてでも異変を突き止めたいとするだろう。だったら、それを手伝ってあげるのが友人というものではないか。
本音は怖いが、迷いはない。
リルレットは右側と正面を、イフリータは左側を注意深く睨みながら前へ進む。
沢を越え岩場を抜け、リルレットの何倍も高い木々が左右を挟む頃、どこからか愛を歌う鳥の声が聞こえてきた。甲高い声と、それより幾分落ち着いた声が交互に響いている。
二人はなおも奥へ進んだ。無言だった。
木は青々と生い茂り、柔らかい陽光が彼女たちの顔や手足に降り注いでいる。
つ……と、リルレットの頬を汗が伝い落ちた。
なんだか暑いな。熱気が山の中に篭っているような……いや、奥から伝わってきている?
リルレットは立ち止まり、イフリータと顔を見合わせた。その顔は、信じられないものを見たかのように愕然としている。
「冬から春に――春から夏になった……?」
とんでもない速さで、季節が巡っていた。
***
クラエスはウェスター家のサロンから外の眺めを見下ろしていた。眼下に広がる景色は、まるで緑の絨毯だ。波打っている様子がよく分かる。
屋敷は、起伏の激しい土地のいちばん高いところに建てられている。丘一帯がウェスター家の敷地で、北に広がる森も丸々有している。その森で行う狩りが、ヒューバート・ウェスター唯一の道楽らしい。
彼がどんな人物なのか、領主としての評判がそこそこ良いこと以外、クラエスはほとんどと言っていいほど知らなかった。世間と隔絶した生活を送り、長年他人に興味を持たなかったのだから当然だ。
調べようと思えば調べられたはずだが、それもしなかった。用があるのはコーデリアだけだ。そう自分に言い聞かせようとしたが、本当は知るのが怖かったのかもしれない。
ヒューバートがコーデリアの夫として相応しいのかどうか……。
クラエスは無表情を崩さず、室内へと視線を転じた。
艶の出るほど磨かれた重厚な机、ワインレッドの落ち着いたソファー。ウェスター夫人が弾くのだろうか、ピアノもある。天井には、涙型のガラスを雨のように降らしたシャンデリアがぶら下がっている。全体的に上品で落ち着いた部屋だ。
クラエス好みの内装ではあるが、なんとなく座る気になれず、ずっと壁に凭れている。
しんと静まり返った部屋の中、一向に現れない夫人を待つ彼は深く息を吐いた。
運が良いのか間が悪いのか、伯爵は不在だった。二週間ほどの予定で王都に出向いているというから、もしかしたらクラエスたちが来る途中にすれ違っていたかもしれない。そうだとしても、顔も家紋も知らないから気づきようがないのだが。
主人の留守中、屋敷のすべてを取り仕切っているのはコーデリアだ。明るく行動力のある彼女なら、女主人を立派に勤めあげるのも可能だろう。ただ、そこまで快復するのは並大抵の努力ではなかっただろうが……。
(……それにしても)
暗い想像に疲れて、クラエスは二本の指でこめかみをほぐしつつ、気難しげに眉根を寄せた。
(まさかナシートが密偵だったとは)
昨夜、本人の口から初めて知らされた事実だった。といっても、ナシートが自らをさして密偵と言ったのではない。ユイに命じられたことをこなしているに過ぎない――と、少なくとも彼は思っているようだ。自覚のない密偵と呼べばいいのだろうか。
ナシートがしていることは、ユイの手引でウェスター家に使用人として雇われ、「怪しいこと」がないかどうか探っているだけである。
よくもまあ、漠然とした命令を承諾したものだと呆れるが、彼にしてみれば他に方法がなかったとも言える。罪を清算し、故郷に帰るために。
そもそも、ナシートがこんなにも早く放免されたのは、首謀者であるイクセルの罰が特別な処置で済んだことにある。その裏にはリネーの政治的取引が関わっているのだが――それはともかくとして、ただの雇われ兵に首謀者より重い罰を科すわけにもいかない。
それにナシートは外国人だ。なんとかして故郷に帰りたかったという、情状酌量の余地もある。そこへちゃっかりと、ユイがつけこんだわけだ。
だから、ナシートはユイの命令に唯々諾々と従うしかない。それがどんなに不可解だとしても。
もっとも、彼は疑問を感じていないようだ。ユイを信用しているのか、単なる馬鹿なのか。
――ひとつだけ、ナシートのもたらした情報の中に気になることがあった。たとえ事件と関係なくても放ってはおけないことが。
しかし、それを確かめるのは後だ。今はコーデリアと会わなければ。
コーデリア・ウェスター。実際に会うのは数年ぶりだ。細かい年月は覚えていない。というより、あまり思い出したくない。
彼女が嫌いだからではない。また、友人と呼べるほど親交があったわけでもない。
ただ、彼女のことを考えると、漏れなく忌々しい記憶がついてくる。それを思い出したくないのだ。
にも関わらずウェスター邸を訪ねた理由は、はっきり言ってしまえば彼女が犯人ではないかと考えたからだ。
正確には、彼女は犯人でないという確信を得たくてやって来た。
自分の命を狙う犯人かもしれないと疑う一方で、そうではないことを願う。この相反する二つの感情に、クラエスは思った以上に苦しんでいる。
それ以上は何も考えたくなくなったので、クラエスはぼんやりと外を眺めた。
自然と視線をやった先に、かつて軍属として登った山が見える。山に罪はないが、そこでの出来事もまた、数少ない思い出の中でも特に思い出したくない部類に入る。
けれど、悪いことばかりではなかった。イフリータと初めて会った山でもあるからだ。
考えてみれば、彼は出会いに恵まれている。
アルヴィドをはじめ、ロルフにレイカ、イフリータ、そしてリルレット……。自分には勿体ないくらいの、心を許せる人がいる。
「……あれから十年近く経つか」
「本当に、月日の流れは早いものですね」
涼やかな声が入り口の方から聞こえ、クラエスは息をつまらせた。
振り返った先にいたのは、予想通りの人物。首から手首まできっちりと覆うドレスに身を包み、手は腰の前で軽く組んでいる。全身から育ちの良さが溢れ出している女性だった。
「お久しぶりですわ、クラエス様。お待たせして申し訳ありませんでした。忙しく、ついあなたの『何時間でも待つ』という、お言葉に甘えてしまいました」
彼女は微笑み、膝を曲げてたおやかに一礼した。まるで心地よい音楽でも流れてきそうな、独特の雰囲気がある。
「……立派になられましたね」
クラエスは思わず本音を口にしていた。それに気付くと、苦笑いをして、
「失礼しました。伯爵夫人」
「お気になさらないで。あなたに褒めていただけて嬉しいわ。でも、私はまだまだ未熟者なんです。もっと手際が良ければ、あなたをこんなにお待たせすることもなかったのに」
コーデリアは広い部屋を横切って窓際まで来ると、クラエスに椅子をすすめた。丘の下が一望できる、良い席だ。
執事がお茶を淹れ、入り口まで下がるのを待って彼は口を開いた。
「とても未熟には見えません。立派なお屋敷や肩書きの方が見劣りするくらいですよ」
「ふふ。随分とお世辞がお上手になりましたね、クラエス様は」
「以前は違いましたか?」
「ええ。無愛想も無愛想。ニコリともしないし、初めてお会いした時はそれはそれは恐ろしかったわ」
「はっきり仰る。が、否定はできませんね。
あの頃は子供でしたから」
「ふふっ、大きな子供でしたね」
束の間、コーデリアは顔を曇らせた。ほんのわずかな陰りでも、美しい顔には深い哀愁を刻みこむ。数分の一秒間にどれだけの意味や葛藤を詰めこめるのか、試しているかのようだ。
しかし曇り空はすぐに晴れ、クラエスは彼女の表情にどんな意味があったのか見出すことができないまま、しばらく他愛もない世間話を続けた。
「聞きました。王都で大変な事件があったんですってね」
「ええ。魔獣が大暴れしたらしいですよ」
「怪我をなさった方もいらしたとか」
「詳しいですね」
「その時ちょうど主人が王都に滞在していたの。陛下にお祝いの言葉を述べるために」
「ああ……。あなたは行かれなかったのですか?」
コーデリアはバツが悪そうに小さく笑った。
「私は風邪をこじらせてしまって。ずっと家で療養していたんです」
「それはお気の毒に。いや、運が良かったのかな。事件に巻きこまれていたかもしれないのだから」
「そうですわねえ。でもやっぱり行きたかったわ。毎年参加していたのだし……」
二人とも、最初は同じくらい口を動かしていた。どちらか一方が、ずっと聞き手にまわるということがない。ただ、双方ともどこか役柄を演じているような雰囲気があった。相性が悪いというわけではない。だが、どこか無理をしているようだ。
そのうち、次第にコーデリアの口は重くなり、表情は硬くなっていった。
彼女は胸のつかえを吐き出すように呟いた。
「本当に、歳月というものは……」
「え?」
聞き取れずに問い返すと、コーデリアは真っ直ぐ目を見返してくる。何かを決意したかのように。
やがて、コーデリアは悲しげにクスっと笑った。
「やっぱりダメだわ。あなたを見ると、どうしてもあの人を思い出してしまう。……ヴィンスのことを」
ほぐれかけた緊張が、瞬時にキュッと引き締まる。
分かっていても、クラエスは心のどこかで恐れていた――彼女がその名を口にすることを。
ヴィンス・ヘヴァン。クラエスのかつての同僚であり、コーデリアにとってはかつての婚約者であった男。
コーデリアを思い出すということは、彼を思い出すということだ。それを承知の上で会いに来たというのに。
視線に耐え切れずに目をそらすと、彼女も悲しげな表情のまま俯いた。




