表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ドールマン

作者: 闇夜

 ドールマン

 今や都市伝説となった伝説の人形。ある一説では人を食らい暮らす暗澹の悪魔。またある一説では、それとは相違なる存在。

 しかし、その真相はいまだに闇に包まれている。貴方はこの存在を信じますか?


 ♪

 

「いったい、どこよ此処?」

 気が付くといつの間にか知らないところにいる。しかも、なぜか手術用のベットに両腕を縛りつけられている。

 此処は、古い手術室のようだ。ボロボロのカーテンに薄汚く汚れている壁が見に入る。

 何で私がここにいるのよ。此処はどこなの?

 私は孤独と、どうしようもない恐怖でまったく何もできない。すると、奥の方から白衣を着たメガネの男性が出てきた。

「お目覚めかな、では手術を開始するよ。」

 不適な笑みを浮かべて男性は、机においてあるメスと注射器を手にする。

「大丈夫、痛くないからね〜」

 そういって注射器を腕にさす。

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 私は混乱といきなりの苦痛に叫んでしまった。

 しかし、男性は止めることなくメスで私の腹部を切り始めた。

 いきなりだったので私は声も出ず、目眩を覚えた。しかも感覚がない。

 すると、男性は腹部から長細い物を取り出す。

 何、これが胃腸?

「イヤァァァァァァァァ」

 

 ♪

 

 私は叫びと共に立ち上がる。

「ハァ、ハァ・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」

 私はいつもの教室にいた。

「どうした、吉岡よしおか。崖から落ちる夢でもみたか?」

 その教師の一言でクラス中、失笑の嵐が巻き起こる。

 私は恥ずかしくなって、顔を赤らめて、席に着く。

「どうしたの、未夢みむ、汗すごいよ!」

 前の席の絢香あやかがハンカチを差し出して話しかけてきた。

「最近、嫌な夢見るのよね。変な男性に殺されるの。」

「は?なにそれ」

絢香はあきれたように、返事を返す。

「知らないわよ」

私がこの夢を見るようになったのは、結構最近で、毎日毎日、同じ夢を見る。今みたいにちょっと授業中に居眠りしただけでも見るのだ。

でも、なぜこんなのを見るのか、私にはまったくわからない。

 しかも、いつも同じところで目が覚めるので、夜は、なかなかグッスリと眠ることができない。

 私は、精神的にも肉体的にもすこぶる疲れていた。

 


 そして今日、授業が終わり続々と家に帰るものや、部活に行くものがいる。

 私は、部活などはやってないので、すぐ帰ることにした。

 もう、だいぶ遅い時間なので絢香を誘ってみたが、今日は部活のミーティングがあるから、とか言って、結局私は一人で帰ることにした。 

 もう日は沈んでいて外は暗黒の空間が広がっていた。

 なんだか不気味だ。一人だと不安だなぁ〜、と少し弱気なことを言って渋々、家に向かう。

 もうだいぶ暗いからなのか、分からないけど道路には人一人いなかった。何処か別世界にいるような感覚がする。

 そして、誰もいないのに、後ろに気配を感じ何度も振り返った。

 いつもは、楽しく絢香と帰っているので気が付かなかったが、帰り道は異様に不気味で電柱の光が、また恐怖を与える。

「早く、帰ろう。」

 ひとりごちて早足で家に向かう。

 歩いていると、後ろのほうから光が差してきた。私はビクッとして後ろを振り返る。

 でも、普通に車が通り過ぎていくだけで何にもなかった。

 少し敏感になり過ぎだな・・・・・・

 また、しばらく歩いていると懐かしいところに出た。 

 小学校のときに絢香と見つけた近道だ。公園の薄暗い奥のほうを探検していたら、案外家の近くに出たので、近道として、たまに、使っていた。

 今日は少し怖かったので、近道を使うことにした。

 こっちのほうも、薄汚いビルがあって少し怖いが、早く帰れるのなら別にかまわないだろう。

 そう思って、公園の奥の草木を掻き分けて、より、いっそう暗い路地に出た。

 此処を直進すればすぐに家に着く。私は、安堵した。

 私は、テクテクと暗い路地を一人で歩く。

 なんだか、いかにも何か出そうだ。

 テクテクテク、テクテクテク

「え、うそ!」

 誰かにつけられてる。後ろから、私と同じペースで歩いてくる者がいる。

 いやいや、考えすぎだ。でも・・・・・・

 私はわざと携帯電話を落として、拾おうと立ち止まる。 

 すると、後ろから聞こえてきた足音が止まった。

 やっぱり、誰かがついてきている。なにこれ、ストーカー?

 私はなんだか、すごく恐れしくなって携帯を拾うとすぐに走りだした。けど、足音がバタバタと近づいてくる。

 私は、家の近くに来ていたが、もう体力が持たない、でも確実に足音は近づいている。 私は走るのをやめた。そして、思い切って後ろを振り返る。

 ・・・・・・誰もいな。そこには何も、誰もいなかった。

 やっぱり、敏感になりすぎだったのかな?

 始めはそれで納得して家に帰った。

 

  ♪


そして、次の日。

 今日は祭日なので学校は休みだった。

 私はいつもより遅い起床をむかえて、朝食を簡単に済ませる。

「未夢、手紙があるわよ」

 と母親が玄関から出てきた。

 私に手紙なんて、珍しいな〜とか思いながら受け取る。

 私は、自室に戻り手紙をみる。封筒には『未夢さまへ』としか書いていない。いったい、誰からだろう。と封筒を開けてみる。中には一枚の紙。

 “貴方を助けます”とただ一言、赤い字で書かれてある。

 私はなんだかモヤッとした感じと、恐怖が一時にあふれてきた。昨日のは、やっぱりストーカーだったんだ。

戦慄がはしる。

何もする気が出ないので、私は、部屋に籠もり本を読んでいた。

「未夢、高校生にもなって。勉強しなくていいの?」

 と母親が何度か来て言うが、今日はなんかそんな気分ではない。本を読んで少しでも気を紛らわしたかった。

 しかし、ずっと籠もっているのにも飽きてきたので、近くのコンビニに買い物でも行くことにした。

 

 

 コンビニはで取りあえず飲み物を買って帰る道。また、悲劇が起きた。

 まだ、昼間だというのに、誰かがまたついてきている。

 後ろを振り向くと確かに人影が後ろで隠れているのが見えた。

 私は、もう嫌になって全速力で家に帰った。

 家に帰って窓から外を見ても電信柱の影に人が立ってこっちを見ている。

 私は、また部屋にこもるしかなかった。いったいなんなのよ



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメ」

 寝汗をびっしょり掻きながら、起き上がる。いつの間にか寝ていたようだ。

 いつものようにあの気味の悪い夢を見てしまった。

 今度は、いつもより少し長く、いろいろな臓器をとられているところで起きた。

 何で、私、こんな夢ばっかなんだろう。ストーカーのせいかな?もう嫌だよ。

 私は心から、この世に嫌気を感じた。困惑した。 

 そして、今日はこのまま、悪夢と共に寝ることにした。

 

  ♪

 

休みは終わり、いつも通り朝が来た。

 なんだかとても体がだるい、夢のせいかな?

 まだ、少し寝ぼけたまま朝食をとり、早めに学校に向かった。 

 流石に学校に行くときはストーカーもついてこなかった。時間も早かったしね。

 授業は普通に受けた。

 なるべく寝ないようにしていたが、何度か悪夢にうなされた。

 そういえば、学校ではドールマンというのが流行ってるらしい。

 なんか、事件が起きたらしいよ。それがドールマンの仕業とか、なんとか。まぁ、そういう類には私は興味がなかった。あの時までは・・・・・・・・・

 授業は終わり、絢香と教室で話しているとドールマンの話題が出たのだ。

 それで詳しいことを聞いてみると、あるマンションで臓器を全部取られて死んでいる男が発見されたそうで、それがドールマンの仕業とか。

 私はそれを聞いて、あまりに夢に似ているので、恐怖より先に絢香に夢のことを詳しく話してみた。

「それは、もう、何かの前兆だね」

 絢香は簡単にそんなことを言った。

「でも、なんか最近、ストーカーにもあってるの。これってちょっとしてドールマンなのかな?」

「それ、ホント?」

「そうだよ、昨日のずっと家の前にいたのよ。もうこんなの嫌だよ。」

 私は、絶えず涙を流し、絢香にすがるように抱きついた。

 絢香はとても困った顔をしていたが、やがて、

「未夢、ドールマンを退治しようよ。」

 きなり、絢香はそんなを言い出した。

「でも、どうやって?ドールマンって化け物なんでしょ?」

「でもドールマンって言うんだから人形なんでしょ、だから燃やそう!」

 少し絢香が頭がよく見えた。

 

  ♪

 

私は絢香と一緒帰ることにした。そしてドールマンを倒すのだ。

 取りあえず、昨日と同じ道を進んでいるとやはり足音がした。

 どんどん近づいてくる。

 コツコツコツコッ

 もう、おそらく真後ろに来ているだろう。すると突然、絢香が

「甘〜い」

 とか言って学校から拝借したガソリンを後ろにぶちまけた。

 後ろには、やたらと顔の白い男性がいた。なかなかの美形だったが、それゆえに、まさしく人形だということがわかるし、なんといっても、球体関節がついている。

 ガソリンを浴びたその人形はとても怖く感じた。表情はないのだけどね。

 そして絢香はライターを取り出し、火をつけると共にドールマンに投げつけた。

 そして、私達は振り返ることなく逃げるように走った。

 

 ♪

 

だいぶ走っただろう。私達は息を絶え絶え立ち止まる。

「未夢、これで大丈夫だよ。だから、そんな顔、もうしちゃダメだからね!ってことでじゃあね!」

 そういって絢香は帰ってしまった。

 絢香は活発というか、挙動が読めないというか・・・・・・・・本当はとても優しいんだよね。そのことに気づき、また少し涙した。

 そういえば、私、どんな顔してるんだろう。

 気になって手鏡を取り出す。

「フフッ」

 苦笑

 確かにひどい顔をしていた。涙を流し、目には隈があり、肌は荒れてる。とても化粧に気を使う女子高生とは思えなかった。

「あれ、なんだろ?」

 鏡の後ろのほうになにやら人影が見える。

 しかし、もう遅かった鈍い音がして後頭部をたたかれ私は気を失った。

 

  ♪

 

「いったい、どこよ此処?・・・・・・・・・・・・・え、うそ!」

 此処はよく夢でみる、古びた手術室で、腕を縛られている。

 しばらくすると、メガネを掛けた男が出てきた。やっぱり夢で出てきたやつだ。

 私は、現状況と夢で起きたことが今実際に起ころうをしていることに、だた唖然とすることしかできなかった。もう、私、死んじゃうんだ。あれって神のお告げだったのかな?

 とか思っていると男が注射器を持って近づいてきた。

「君は悪い病気にかかっている、今すぐ手術をしましょうね」

「貴方が犯人だったの?」

「は、犯人?俺は助けたいだけだよ〜ハハハハッハッハッハ」

 瞳孔を見開いて不気味に笑う。完全にイカレてる。

「少し、眠ってもらうよ。」

 そういって注射器を腕に射そうとする。まさにその刹那、天井から何かが落ちてきた。

 それは人間だった。いやさっき撃退したはずのドールマンだ!

「君が吉岡未夢さんだね。助けに来たよ」

 ドールマンって喋れるんだ。じゃなくて後ろ、後ろ。ドールマンの後ろに目を血走らせた男がメスを握り、襲い掛かってきた。

「イヤヤヤヤヤヤヤヤヤ」

 ドールマンはグサリと背中を刺される。いったい、何しに来たのよ。

 しかし、ドールマンは無反応、そうか、人形だから痛みを感じないのかな?

 でも、ドールマンは少し気になったようでメガネの男をパンチ一発で吹き飛ばした。男は数メートル飛んでのびるている。

そしてからドールマンは、こちらを見る。表情がない分、不気味だ。

「あ、ごめん。今、自由にしてあげるよ。」

 予想とは裏腹に優しい声を掛けて、縄を解くいてくれた。

「え、あの、あの、なんで助けてくれるんですか?」

「君のお父さんに頼まれたんでね、君、よく変な夢を見ないか?」

「あ、はい、毎日見ます。」

「やっぱり、それは予知夢だよ。お父さんの力をしっかり受け継いでるようだね」

 まったく理解できなかったが取りあえずドールマンは悪いやつでないことはわかった。

「あの、さっきはいきなりごめんなさい」

 私は、ドールマンを撃退したことを思い出して少し気恥ずかしくなり、取りあえず謝っておいた。

「別にいいんだよ。じゃあ気をつけて帰るんだよ」 

 そういって一瞬のうちに消えてしまった。テレポートでも使えるのか?

 

 

 それから、あの夢を見ることはなくなった。

 でも、たまに夢で見たことが現実になることがある。これが予知夢と言うものだろうけど、別に怖いことはない。

 とにかく、今、私が授業を普通に受けているように、なんだかわりない日常が戻ってきた。

 黒板の方ではハゲた数学教師が長ったるい方程式を書く音が聞こえる。

 私は、そんな普通の毎日がどこか不思議で、ひじを机につけ、手を頬にあて、ふと窓の外を見た。

 窓の外には大きな雲がスカイブルーの青空にぽっかりと浮かんでいる。

 そういえば、あの白い人形。今、いったいどうしてるのだろうか?

 助けてくれたのに、まともにお礼もできなかったな。

 それと、お父さんに頼まれたとか言ってたっけ、お父さん死んでるのに。

 そうだ、明日お父さんの墓参りでも行こうか?

 金魚草でも持って。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  描写が少ないせいで、序盤の悪夢のシーンがともすればギャグに見えてしまう。  文字を一段下げるところ、そうでないところが統一されていない。  化け物だ、との思い込みがあるとはいえ、自分の後を…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ