中編 夜空とガラスとゼリーと
おへんじは、4日後にとどきました。いちかちゃんは、おいのりをしたので、たぶん早くとどいたのだと思いました。でも、やっぱり、時間がかかるなあとも思いました。ゆうびんやさんも大へんです。
それから、いちかちゃんとかなたくんは、何回かお手紙の交かんをしました。
なつみちゃんとあそんだ話、かなたくんのししょうの話、きゅう食で一番すきなメニューの話……。1週間に1回しかお手紙を出せないので、話すことはつきません。
そして、かなたくんはやっぱりやさしくて、いちかちゃんが、しゅくだいでぜんぜんわからなかったところも、ていねいに教えてくれました。
おかげでいちかちゃんは、ひっ算がとくいになりました。いちかちゃんは、かなたくんはほんとうにすごいので、学校の先生にもなれると思いました。そのくらい、わかりやすく教えてくれたのです。
さて、そんなこんなで、お手紙のやりとりはつづきます。
いちかちゃんは、今週、こんなお手紙を出しました。
---
きらきらしているもの、あなたは何だとおもいますか?
わたしには、「きらきら」がたくさんあります。
まずは、よるの空。いちばんかがやくお月さまに、えんりょするみたいに、ひかえめな光をちらちらさせる、そういうほしがおしあいへしあいしています。きらきらで、とてもきれいです。今は冬なので、くうきがぱきぱきはっきりしていて、ほしの光もきらきらぴっかりしています。そのかわり、ちょっとだけですけど、はなとかがつめたくなったりします。
そこで、つぎです。つぎのきらきらは、ガラス。おうちにはいって、それでも空を見たいとき、あいだのガラスはおうちのでんきをはねかえして、きらきらします。大きく手をひろげると、そのぶんのかげができて、よく見えるようになったりもするのです。ふしぎです。ひるにやってもなりませんでした。たしかめてみてほしいです。きっと、うすーくしか見えないとおもいます。
さいごに、いちばんすきなきらきらがあります。それは、ゼリーです。いろいろあじがあるのですけど、やっぱり、ぶどうがいちばんきれいです。赤くてむらさきで、スプーンをちかづけると、ゼリーをとおりぬけた光がのっかって、まだすくっていないのに、ゼリーがスプーンにのっかります。たのしいです。もちろんたべてもおいしいので、やっぱりぶどうのゼリーがいちばんのきらきらです。こんどあうとき、いっしょにたべたいです。おへんじまっています。
---
というのも、道とくのじゅぎょうで、「きらきら」のお話が出ていたからです。じゅぎょうのさい後に、「あなたのきらきらはなんですか?」というもんだいがあって、それをかなたくんにも聞いてみたいな、といちかちゃんは思ったのでした。
それと、かなたくんにも、いちかちゃんの「きらきら」を知ってもらいたかったのです。いちかちゃんは、いっしょのじゅぎょうをうけているような、そんな気もちになってみたかったんですね。
いちかちゃんは、5時間も考えて、ようやくえんぴつをおき、すばらしいぶんしょうが書けた、と思いました。お母さんとそうだんしたところもありますが、だいたいぜんぶ、いちかちゃんが書きました。
夏休みのしゅくだいの、読書かんそう文よりもずっとずっとうまく書けました。これできっと、かなたくんにも、どれだけきらきらがきらきらであるかが、つたわることでしょう。
あと、お母さんといっしょに書いたので、すこしむずかしいことばもつかえて、おとなになったような気分でした。
どうせなら、ふうとうにもきらきらしたものをつけようと思って、いちかちゃんは、いちばんのお気に入りのシールをはりました。ふるとしゃかしゃか音がなって、中にきらきらしたビーズが入っているシールです。
そして、ゆうびんやさんがはこんでいる間に、手紙からとれないように、上からテープをはっておきました。これであん心、といちかちゃんは思いました。
いつも通り、ポストに入れたあと、おいのりをします。今回は、きらきらがちゃんと、かなたくんのところへとどきますように、とおいのりしました。
そうして、5日後にとどいたおへんじには、こんなことが書かれていました。
---
おてがみ、ありがとうございます。ゼリーたべてみたいです。もちろんいっしょにです。
ぼくの「きらきら」は、あんまりたくさんありません。でも、すっごくすっごくだいすきなきらきらが、ひとつあります。
こんどあうときに、おはなししたいとおもうので、すこしだけまっていてください。ぜったいにびっくりするとおもいます。あと、うれしいなとおもってくれたら、ぼくもうれしいです。はやくあいたいです。
さて、こんなにみじかいおてがみだと、もらったぶんには足りないとおもうので、ぼくからもしつもんしたいとおもいます。
ぶどうのゼリーのほかに、すきなものはありますか?
ぼくは、サンドイッチがすきです。
いろいろはさむのがすきです。あなたのすきなものと、ぼくのすきなものをいっしょにはさんだら、きっとおいしくなるとおもいます。おすすめは、肉とチーズです。野さいはあったほうが、口のなかがぱさぱさにならないですし、ピーマンとかもはいらないので、ちょうどいいとおもいます。
そういえば、きのう、ピーマンの肉づめをたべました。あんまりピーマンのあじがしなかったので、あなたもきっとたべられるんじゃないかなとおもいました。でも、ほんとうにピーマンのあじがしないわけではなかったので、むりに食べることもないとおもいます。
とにかく、はやく会いたいです。おへんじまっています。かぜをひかないようにきをつけてください。
---
なんと、かなたくんには「すっごくすっごくだいすきなきらきら」がひとつあるそうです。
びっくりして、うれしくなるもの……? いちかちゃんは考えます。
おばけはびっくりします。でも、あんまりうれしくはないです。だっておばけは、たいていうらみというものをもっていて、おそってくるものです。
でも、そうじきですいこんだり、じゅうじかで、ばしばしたたいたりするとたおせるので、そんなにこわくはないけど、といちかちゃんは思いました。
まあとにかく、おばけではなさそうです。やさしいかなたくんが、そんなことをするはずないですからね。
あと、びっくりするものといえば、びっくりばこ。
びっくりばこも、びっくりします。そういうはこですからね。
でも、そんなにきらきらしてはなさそうです。いちかちゃんの知っているびっくりばこは、牛にゅうパックに、わゴムと、おりがみをはりつけてつくったものです。
ああ、それじゃあ、きんいろのおりがみをはりつけた、びっくりばこなのかもしれません。それなら、きらきらしているし、びっくりします。
きらきらのびっくりばこ、きっときれいだろうなあ、といちかちゃんは思いました。
というわけで、いちかちゃんは、かなたくんの「すっごくすっごくだいすきなきらきら」は、「きんいろのおりがみをはりつけたびっくりばこ」だと思いました。
きんいろのおりがみは、ふつうのとちがって、いちどおったらせんがついてしまいます。つまり、いちどまちがえてしまったら、作りなおさなくてはならないのです。
でも、かなたくんはき用なので、きっと、きんいろのおりがみでも、まちがえずに、きれいにびっくりばこを作れるはず。
と、ここまで考えて、いちかちゃんは思いました。
もしもこたえがちがったら大へんなので、はやくあって、お話ししてみたいなあ、と。
なので、お母さんにしつもんしてみました。
「ねえお母さん、かなたくんと、いつあえるの?」
次回、最終話です。また来週の今日(2026/01/23)に投稿予定です。




