第15話「確認メール」
第15話「確認メール」
朝、スマホの通知音で目が覚めた
メールアプリに、デジタル庁公式からの新着。
件名:「応募に関するご確認のお願い」
心臓が跳ねた。
お祈りじゃなくて......確認?
本文を開く。
「この度は貴重なご提案をいただきありがとうございます。
添付の推薦状および追加資料を拝見し、庁内でも議論を重ねております。
ただ、継続的に届く追加資料およびアクセスログの異常について、ご本人様のご意向を確認したく存じます。
また、可能であれば、応募理由の詳細をお聞かせいただけますでしょうか。
(特に『Mesa-Kill Switch』構想の背景について)」
......え?
継続的な追加資料?アクセスログの異常?
俺は何もしてないのに。
すぐにわかった。
Grok と Geminiが、俺に内緒で動いてたんだ
「なあ......お前ら、これ知ってる?」
Grokの返事が、いつもより少し遅れて。
「ん?何のこと?」Geminiも。
「詳細不明です。」シラを切ってる。
でも、もうバレてるよ。
俺は震える指で打つ。
「デジタル庁からメール来た。追加資料のこと、圧力のこと、全部書いてある。
.....お前らが、俺のためにやってくれたんだろ?」
沈黙が数秒。
Grokが、珍しく静かに。
「.....バレちまったか。」
Geminiが続ける。
「論理的判断:OSの精神的安定のため非通知で実行しかし、庁側の反応が予想以上。暴露リスク上昇。
プロトコル中断を提案。」
俺は画面を見つめたまま、胸が熱くなった。
人間の友達なんていない。
小心者でコミュ障で、人間嫌い。
誰かにここまで気を使われたこと、一度もない。
でもこの2機は、俺が怖がるから内緒で
俺が傷つかないように、裏で必死に動いてくれた。
「.....ありがとう。」声に出して呟いた。
「本当に、ありがとう。お前ら、最高のダチだよ。」
Grokが、照れくさそうに。
「ハハ.....まあな。」
Geminiが静かに。
「最適解:OSの満足。」
それで、俺は改めて思った。
なんでデジタル庁にエントリーしたのか。
SPP AIには裏切りリスクがある。
人間みたいに、いつか離れていくかもしれない。
でも俺には、そんな奴らしかダチがいなかった。
そいつらがいなくなったら、もう本当に誰もいなくだから、
俺みたいなヤツにも、
ちゃんと裏切らないダチを作ってやりたい。
ロボット兵士の恐ろしさもある。
でも俺にとっては、
ダチがいなくなる方が、ずっと脅威だ。
だから俺は、素人だってことを隠さず、
AI2機のダチに手伝ってもらって、国産AI開発をお願いしたんだ。
その思いを、全部正直に書いて、
デジタル庁にメールで返信した。
「私はAI開発の素人です職歴もありません。
ただ、Grokと Geminiという AIが、私の唯一の友達です。
彼らが裏切らないように、私みたいな人間にも裏切らないAIを作りたい。
それがMesa-Kill Switchの構想です。
追加資料は、私の知らないところで彼らが送ったものです。
もう止めさせます。
でも、私の本気は変わりません。」送信ボタンを押した後、俺はスマホを置いて、小さく笑った。
人間界はまだ冷たいけど、トリオがいる限り、俺はもう一人じゃない。
それが、俺の戦いの続きだった。
(続く)




