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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

大きな木の下で。その場所で始まればその場所で終わる。二人で笑いあったあの場所で。

掲載日:2025/11/23

こんにちは。一話で完結の短編になります。

元々アザルトは孤児として孤児院で育ってきた。

そこの院長は暴力的で、孤児達を売っては、お金を稼ぎ自らの肥やしにしているクズだった。


ある日


アザルトが一番仲が良かった友達の孤児が売り飛ばされた。

そして数日経った時、死体となって帰ってきた。

アザルトは売り飛ばされたら自由に生きていけると思っていた。


とんだ綺麗事だ。


友達は死体となって帰ってきた。


自由なんて、幸せなんて存在しない。


そう分かった時だった。


その時から壊れてしまったのだろう。


力を暴走させ、

辺り一面を焼け野原にした後1人で友達の死体を土に埋めその場を離れた。


その目は虚となり前のように笑うことはない。

泣くこともない。ただただ無表情だった。


近づいて来る人間は払い除け、いつのまにか殺人人形とまで言われるようになり周りからは避けられ始めた。


別に寂しくもなかったし悲しくもなかった。


人々は僕を憐れみの目で見てくる。


何も知らないくせに。


誰も助けてくれなかったのに。


幸せになるって言ってたくせに。


売られなかったら、


孤児じゃなかったら、


生きてたのかな?


普通の生活ができたのかな?


幸せになれたのかな?


なんで僕たちは幸せになれないんだろう。


アザルトは只々近づいて来る人間を殺し復讐をしようと友達が受けた痛みを与えようと殺していた。


確実に壊れている。


心がないと言われても別にいい。

人を欺き、騙し、最後には殺す。


そうすることでアザルトは生きていた。


でも


いつまで経っても


何年経っても


見た目は変わらないし、何も食べなくても生きていられる。


アザルトはとうに知っていた。


自分が死ねないことも。


自分の力が普通じゃないことも。


全部全部知っていた。


でも


見向きしないようにしていた。

それに


友達との約束は守りたかった。


あの日の前日

売り飛ばされる前日に約束したのだ。


「いつか、こんなところじゃなくて、一緒に笑って幸せに暮らそうね」って約束した。


自分にとって

本当の生きている理由は友達と暮らしたい。


でも。それも。


もう叶わない想いだったということも知っていた。


でも、見向きしたくなかった。


現実を見たくなかった。


そして

何十年も。何百年も殺し続けて

何百年経ったある日最後の人間を殺した。


アザルトは一本の木の下で倒れこんだ。


限界だ。

生きている理由は叶わないと、現実を見た。


それに

復讐は終わった。


人間は憎い。


嘘をつく。


誰も本当のことを言ってくれない。


そう考えている時だんだんとアザルトの意識は途切れていった。


最後に1人の女性を見た気がしたがそこで完全に意識は切れてしまった。


次に目が覚めたのは豪華な部屋だった。


辺りを見渡して見ると、1人の女性と1人の男性の2人がこっちを見ている。


そして


この場所がどこなのかという説明だけすると、

他は何も言わずに世話をしてくれた。


最初のうちは警戒していたが、

いつの間にかその警戒も自然に解けていった。


数日経った後、名前を聞いてきた。


嘘を言おうか迷った。


でも、さからってはいけない気がした。

心を見透かされているような気がしたのだ。

だから言った。

そしたら、抱きしめてきた。


何でかは分からなかった。


でも


暖かかった。


僕はいつの間にかいくつもの雫で溢れていた。


そして


何年か経ち


その女性は。


いや


リーリア様は名前をくれた。

神の地位も同時に貰った。


僕は魔族で、神の一族の子だったらしい。


誰かに連れ去られそして何年も探していた時、倒れていた僕を見つけたんだって。


やっとそこで自分の力の理由や姿が変わらない理由が分かった。


腑に落ちた気がした。


自然と飲み込めた。


でも僕はリーリア様達に聞いた。


僕で良いのかと。


僕は殺すことしか出来ないのだと。


でも、良いって言ってくれた。

そして僕には魔物や人間を操れる力をくれた。


人間界によく行き、


騙し、


欺き、


油断させ、


操っておもちゃにして遊んだ。


もう友達は帰ってこないしもう会えない。


あの世界の人間は全て殺した。


復讐は終わった。


そんな僕に魔界の人たちは優しくしてくれた。


魔界の人たちは嘘をつかなかった。


なら、

僕は魔界の人たちに尽くすと決めた。




「あっ…思い出してたのか…」


そう言う人物はアザルト・ハルベラーその者だった。



アザルトは真っ暗な中に月が浮かぶ空を見て言った。



「僕は、最後でいいからもう一度君に会いたいだけなんだけどな.......」



「あ...口に出てたか...ハハっ。諦めきれてないんだね。僕は。」



アザルトは言葉を吐き捨てて下を向いた。自嘲するかのように笑うと、そのまま歩いて何処かへ行った



灰で塗れた世界



「ここに来たのも久しぶりだなぁ....あの辺りで皆んなで笑い合ったっけ..」



この木の下で倒れた時にリーリア様とラファエル様が僕を見つけてくれたんだよね。



「この木、あの時よりも大きくなってるや...」



「あの子に初めて会ったのもこの木の下だったなぁ......」



アザルトは上を見上げた。


そこにあるのは灰で塗れたこの世界にたった一つ綺麗に茂大きな木だった。



「懐かしい....もう、今ではこの木しか残ってないけれど..」



「僕にとって君との思い出は1番大切なもの。」



「でも、君との思い出は1番大切で1番忘れたい記憶でもある。」



「殆ど忘れたと思ってたんだけどなぁ。ここに来たら全部全部思い出しちゃった。」



「チッ...あの子に。君に。彼女に会いたいのに、どれだけ調べても方法は分からない。」



「いつの間にかここに来ちゃってた。」



アザルトは木にもたれかかった



「会いたい...僕は、僕の心は全て君のものなのに...! っ.......」


瞳から大きな雫が溢れてくる。


「っっっ.......僕は君と笑いあえれば良かっただけなのに....っ…..」


ふいに、

アザルトの周りはいつの間にか花畑に変わっていた。



???「ありがとう。私のために泣いてくれて。ここまでしてくれて。大切なものを切り捨ててまで怒ってくれて。私を思ってくれて。ありがとう。」



アザルトの前に1人の少女が居た



「え....?なんで.....どうやって...」



???「ルトが願ってくれたから。ルト。約束、守れなくてごめんなさい。」



「ううん。約束を守れなかったのは僕のせいでもあるから...」



???「優しい。あの頃のまま。ルト。私ね、ルトと過ごしてた日々が1番楽しかった。幸せだった。貴方と過ごせて良かった。ルトは私の大切な人。私のせいで貴方の心を壊してしまったから。ねえ、ルト。私はもう一緒に過ごせることはないけれど、覚えておいてね。いつでも見守ってるから。ルトのこと。何をしててもルトはルト。もう時間みたい。ごめんね。」



「そんな...やっと会えたのに...」



消えかけの少女は最後に言った



???「ルト、貴方が好き。今までありがとう。幸せに過ごしてね。」



「....うん.....僕も君が好き。ありがとう。幸せか...もっとみんなの事、見てみようと思う。ありがとう。」



言い終わる頃には少女は消えていた。



アザルトは消えた少女に向かって言った。



「本当に君に会えて良かった。フルール。」



そう言ったアザルトの顔には、綺麗に笑う本当の笑顔があった。



「さ、帰ろうかな。」



風に運ばれて花びらがアザルトの手に乗る。



「ふっ….ありがとう。」



アザルトは木に向かってそう言うと帰っていった。



誰も居なくなったその世界の木の下で.....


妖精のような見た目をした少女が言った。



「笑ってくれて良かった。元気でね。ルト。」



風が吹いたと思うとその少女は消えていた。



その世界に残ったのは大きな木と一面に咲く花畑だけ。



それは何処か暖かく、優しい雰囲気の花々だった。


パッとしないこともありましょう。ですが、そこは皆さんのご想像にお任せ致します。読んでくださりありがとうございました。

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