農家との出会い
猟師のクエストが終わって、以前より村に活気がでた。
別に意識したわけじゃないが
村おこしみたいなものはできたみたいだ。
ワシは以前都会に住んでおり、田舎に移り住んだが…
閉鎖的なところじゃった。
よく「村おこしをしよう」といった意気込みで
都会から移住する人もいるが…
あんまり期待しないほうがいいぞ。
田舎は超保守的だからな。
逆に言えば超保守的だから、田舎なんじゃ。
あくまで
スローライフいいよな…程度で行くのがいいぞ。
と独り言をつぶやいてみる。
そういえば
猟師のクエストが完了してから
2週間連続の薬草採取
いい加減ここらへんの野草の生息地は
知り尽くしたぞ。
今日もガチャが同じなら上から順に選ぶ方式に
変えよう。
と受付嬢と会話する。
すると…
違うのきたーーーーー。
受付嬢がテンション高めで
「農家さんのお手伝いです」
とアピール。
農家の手伝いなら、シルバー人材センターでめちゃしたからのー。
「はいはい。やります。やります」
と
坂上茂吉は文句を言わず
働く男なのです。
地図を渡され
30分後農家の家までいった。
収穫シーズンは忙しいので人手がいる。
そこでたまに冒険者ギルドに
クエストを出すらしい。
報酬は0.8Gだった。
この村で見た農産物は
パンに使う小麦的なもの
大根っぽいもの
じゃがいもっぽいもの
ニンジンっぽいもの
の4種類。
名前は別にちゃんとあるが、
小麦、大根、じゃがいも、ニンジン
とよぼう。
歳をとると
固有名詞が覚えられなくて困る。
ワシは農家の収穫の手伝いを行いながら会話をする。
「この村では小麦、大根、じゃがいも、ニンジンくらいしか農産物はないのか?」
「そうじゃが?…。なんか他に食べるものとかあるのか?」
「いや。葉っぱものとか、そういうのは食べないのか?」
「そんなものは動物の食うもんじゃろ。わしらは食わんよ」
「そうなのか…じゃあ。大根の葉とかニンジンの葉も食わんのか?」
「そんなもん。食わんよ。お前さんは食べるのか?」
と不思議そうな顔をする。
「そうじゃの。スープに入れても上手いし、脂で炒めてもウマい」
「ほうそうかい。じゃあ。ここにある奴で、ちょっくら調理してみてくんないか」
口をとがらせて、何か面白いモノでも見つけた少年のような顔をする。
「ええぞ」
「なぁ母ちゃん。母ちゃん。この人に台所さ…案内して、ついでのこの人の料理みておいてくれ」
と家のほうに呼びかける。
「そんだこと。面倒だわ」
と奥さん風な人が顔をだす。
「このお人はな…。猟師にあの肉料理教えたお人じゃ。ウマいもんは得意じゃと思う」
とドヤ顔をしてワシを紹介する。
「それを早くいわんと。ほらこっち。私にも教えて」
狭い村ゆえ
話題になっておるようじゃった。
―――――
【農家の台所】
調理をしながら奥さんが愚痴をこぼす。
「ここいらも…昔はもっと緑が多かったんだけど、10年程前から雨が減って、ずいぶん様変わりした。私達ももうそろそろ移住を考えないといけないかもねー」
ワシはピンときた。
「もしかしたらあれか…
雨はまとめて降るのか?」
「そうそう。わけて降ってくれたら、いいのだけど…」
なるほどな。それなら解決はできる。
「あの奥さん。この辺りの土地は高いのか?あの山とか…」
「ちょっと待って。お父さん。この辺りの土地の値段について、教えてあげて」
「おー。土地を買うのか…ばくち打ちだな。ワシらの言ってこと聞かなかったのか。
まーいい。
村長に聞けばわかるが、あそこの山で10Gくらいだな」
「あのハゲてる山ならどれくらいだ」
「ハゲてるのは7G…。でも買い手が付かないから…よくわからんな」
「おおそうか。ありがとうな。あとできたぞ」
「おうこれか。よしみんな食べよう」
みんな大根の葉とニンジンの葉を炒めたものをパクパク食べてる。
スープも人気そうだ。
「葉っぱがこんなにウマいなら、もったいないことしてたねえ…これ、うちの子ども好きそうだわ」と奥さん
「これ真似していいか?みんなに教えて良いか?」
とみんな聞いてくる。
「もちろんだ」
とワシは言った。
その後この大根とニンジンの葉が村の定番メニューになったのは
当然のことであった。
―――――
報酬とは別に、大根とニンジンを手土産にもらった。
「妻は…おでんの大根が好きじゃったのう」
そうつぶやき、ふとネックレスの指輪に触れる――。
家につき、荷物を置いてから村長の家に向かう。
土地を買うためだ。
近隣には村を囲むようにハゲた山が5つあり。
全部まとめると30Gだった。
ワシはすぐそれらの山を買った。
なんでそんなものを買うかだって…
それはこれからのお楽しみじゃよ。