ドラゴンとの死闘
遠くで荷馬車がドラゴンに襲われている。
なんかロングヘアーの女の子がいた。
これはヤバいな。
ワシは投石機を使いドラゴンに投げつける。
ヒット―――
石はドラゴンの後頭部に直撃
こちらをゆっくりドラゴンは見る。
あー
どう見ても怒ってるよな。
ワシは一目散に逃げ出した。
ヤバ…
ロンギヌスじゃなかった
神の槍なしじゃ
あんなん倒せないって
ドラゴンが背後に迫る。
わっ食われる。そう思った瞬間
ドラゴンが方向を変えた。
なにがあった。
あの恋バナの若者が
先日の大猪討伐のあとに
ワシがやった投石機でドラゴンに一撃くらわしてた。
やー。大人になったのー。
とか関心している場合じゃない。
今度は恋バナの若者がピンチだ。
何か策はないか?
あっあそこに倒れたご神木がある。
ワシは一計を案じた。
ワシはご神木に近寄り
一願地蔵に祈りをささげる。
「オンカカカビサンマエイソワカ
オンカカカビサンマエイソワカ
オンカカカビサンマエイソワカ
地蔵様…
この世界を大蛇から救ってくれ
イケー!!!!!!!」
とワシは投石機でドラゴンにめがけて石を投げる。
石は偶然ドラゴンの目に当たり
ドラゴンは発狂
こちらに向かって飛んできた。
しまった。絶対詰んだ……。
ワシはネックレスに通した指輪をきつく握りしめる。
あー愛する妻よ。今からそっちに行くからな。
ガアーー
バシーーーー
「うぎゃあああああああああっ!」
という声を共に
辺りが真っ赤に染まった。
あーワシは終わったのか…。
坂上茂吉85歳イタマ村にて眠る―――
「じいさん。じいさん。おい。起きろって。英雄。ドラゴンスレイヤー」
うん。なんか騒がしい。
なんか若い男の腕に抱かれておる。
うん恋バナの若者か…
あーなんかこういうのもいいの。
えっ違うじゃろ。
「あれワシ…ドラゴンにやられたんじゃないの」
「違うよ。爺さんがドラゴンを倒したんだよ」
村人がみんな集まってきた。
あの女の子も保護されたようじゃ。
よかった。
老婆は言う。
「石神は、木にも宿るのじゃ。
ご神木が槍となったのは、まさに神の采配じゃな」
そうか…
ドラゴンはご神木に刺さったのか。
ご神木…
神の槍…
あーこの事ね。
…
「あーいいか。茂吉」
あれなにかが脳内に話しかけてくる。
「ちょうど良いタイミングじゃから、これは石神さまのお陰じゃって
地蔵を作ってな」
あー地蔵さんか…。
ワシはOKと答えておいた。
こういうことがあって、もしかすると地蔵が多いのかもしれないな。
…
ギルド長が側にやってきた
「爺さん。みんなに一言いってやれ」
とギルド長
なんか照れるのー。85歳にもなって英雄とか、ウケル!
「みんな。脅威は去った。あとはこいつを食って始末するぞ。
みんな復讐の準備はいいか!食うぞ!!!!!!!」
「おーーーーーーーー」
みんな食い意地だけは立派じゃな。
ドラゴンは村人総出て解体した。
ドラゴンの皮はとりあえず塩漬けにし保管しておく。
内臓と肉など余すことなく活用していく。
こないだの大猪の脂がたんまりあったんで
から揚げをたくさん作った。
この村ではから揚げ未経験だったようで
めちゃくちゃ人気になった。
ほとんどの村人がドラゴンの肉はウマいという
認識になった。
ドラゴン⇔人間
恐怖の狩られる対象から
狩る対象に変わった瞬間だった。
人は貪欲だ。
それがどんなに恐ろしいものであっても
ウマければ命がけで食う。
それが生命の根源であり
人間の業の深さであり
また人間の強さでもあるのだ。
今日この日は
ドラゴンの恐怖を村人たちが
克服できた日でもあったとワシは思う。
危険なのは一ミリも変わりないのじゃがな。