表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/12

ドラゴンが村に

急に外が騒がしくなった。


「大変だ。なんかトカゲが巨大化したみたいな奴が空を飛んできたぞ」

と村人がギルドに飛び込んできた。


「それがドラゴンだ」

と村長


一同

冒険者ギルドの2階にあがり

窓から覗く。


そこには荷馬車ほどの胴体のドラゴンが見えた。

空を飛んで、こちらを観察しているようだった。


「あれがドラゴンか始めて見た」

とギルド長


「お前もはじめてなんかい」

と軽く突っ込むワシ


「あー。ギルド長になる時の資格試験の勉強で、ならっただけだからな」

とギルド長


「その教科書には倒し方載ってなかったのか?」

とワシ


「あー載ってなかった。ほとんど出ないから覚える必要ないよと書いてあったしな」

とギルド長


おいおい―――

あかんやろーその教科書


ドラゴンを見た老婆が突然なにかを語り出した。


「イタマに陽と大蛇の災厄が起きたとき、石神の加護を持つ男があらわれる。

石と神の槍で“大蛇”を滅ぼす」


「婆さん。それはイタマの伝承だな」

とギルド長


「なんだよ。その石神って、この国にはそんな神はいねーぞ」

とモヒカン冒険者


みんなが騒ぐ中

ワシは一人考えた。


あれ…

石の神様って

もしかして――

お地蔵様


陽と大蛇の災厄

陽は水不足で

大蛇はドラゴン?

ということは

石神の加護を持つ男

ってワシ??


えっあんな象みたいなのと戦うの?

えっワシ85歳だよ。

後期高齢者だよ。

ふつう年金生活だよね。


それで

彼は石と神の槍で大蛇を滅ぼすってなに?


石は…

これ投石機のことかな?

ふつうに石だもんね。


あと神の槍だよね。

ロンギヌス?

この世界にもあるの?


「あの槍ってロンギヌスのこと?」

とワシは聞く。


「なんじゃそれ。しらん。みんな知っているか?」

とギルド長


一同シーン

知らないようだ。


「じゃあ神の槍って何?」


「さぁな。村長。婆さん。他のみんな知ってるか?」


一同シーン

知らないようだ。



おいおい詰んでない。

仮にその英雄っぽいのがワシでも

神の槍がなにかわからないようでは、無理じゃね。


いやー。

どうしよう。

でもなんか腹が減ってきた。

あのドラゴン食ったらウマいのかな。


「それで、あのドラゴンってウマいのか?」

とワシ


「じいさん。ドラゴン食べる気なのか?」

と恋バナの若者


「いや。討伐するなら食うじゃろ」

とワシ


「じいさん、どこまで前向きなんだよ…!」


「えっ討伐とか…無理だよ」


「逃げたほうがいいって」


「どこか隠れようぜ」


と一同ドン引き


「それでギルド長。討伐報酬は出るのか?」

とワシ


「うん…そうだな。激烈極悪指定猛獣枠だから1000Gと名誉勲章が授与される」

とギルド長


「肉とか素材も、もちろん冒険者のものだな」

とワシ


「もちろんだ。肉はな…たしかニワトリみたいな味だという話だ。蛇がそうだからな。あれも同じだろ」

とギルド長


「そうか…じゃあドラゴンでから揚げを作ろう」

とワシ


「みんな聞いたか!英雄なんか待たずにワシらでなんとかしようじゃねーか。だれか一緒にくる奴はいねーか」

とワシ。


誰も手を上げない。


そうこうしていると


「大変だ。向こうで行商人がドラゴンに襲われている」


その声でワシは投石機とナイフを掴み

外に飛び出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ