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最期の独り言。

作者: 殊暇こなた


 何故僕たちはこんな目にあっているのだろう――。



 


 今にも息絶えそうな、微かな呼吸。

 極限まで痩せ細った、今際の身体。

 晴れ渡る曇り空に、無数の流れ星。



 

 何故?どうして?

 



 今この瞬間も鳴り止まない轟音。

 そして、揺動の数々。


 人々が戦いを続ける結晶だ。


 

 人類はあらゆる争いを辿ってきた。


 争いは人類の歴史そのものなのだ。



 だが、争いには犠牲が付き物だ。

 何かを得る度に、何かを失っている。


 それが命であっても何であっても。




 はあ。こんなことを考えたってなにも変わらない。


 ただ大切な人が一人。

 今、隣にただ一人。


「ねえ、ティア。」

「……うん?」

 

 ああ。まだ息がある。

 まだこの世界に生命が引き止められている。


「ティアはさ。僕のこと、好き?」

「……うん。」

 

 ははは。嬉しいな。


 嬉しいな。


 嬉しい……な……。


 

 でもさ。

 こんな世の中じゃ、愛なんて役に立たない。


 友情も愛情も絆も何もかも。

 力の前では無力だ。


「そっか。」

「……うん。」


 朦朧とした意識を必死に引き止める。

 

 こんなこと、何の役にも立たないのにね。


 いくら生き延びたって、何も希望なんてないや。


 そうでしょ?


「ティアはさ。生まれ変わりって、信じる?」

「……うん。」


 生まれ変わり。


 来世も一緒にだとか、恋人でいようねだとか。


 来世で幸せなんて、そんなの意味ないよ。


 僕は今世で幸せになりたかったんだ。


 身体、名前、歴史、趣向、それら全てが変わってしまっても。


 その上で結ばれたとしても。


 そんなの幸せじゃない。


 そんなの僕じゃない。


 そんなの君じゃない。


「ティアはさ。神様って、信じる?」

「……うん。」


 神様。


 神様って何だろうね。


 救ってくれる?掬ってくれる?



 殺してくれる?



 神様は僕たちのことなんて見てやいない。


 そんな都合のいい存在じゃないよ。


 もし見てるなら



 僕たちを救ってよ。



 無力な僕たちを。



 神様に祈ったって何も変わりはしない。


 結局は自分次第?いや、他人次第だよ。


「ティアはさ。奇跡って、信じる?」

「……うん。」


 奇跡。


 そんなの起きたって何も変わりはしない。


 空から食べ物が、降ってくる?


 地から自然が、湧き上がる?



 僕たちの戦いが、ここで終わる?



 誰かとめてよ。


 奇跡でも何でもいい。


 僕たちの死ぬ運命を変えてよ。


 何も変わらないよ。


「ティアはさ。後悔って、ある?」

「……うん。」


 後悔。


 何もかもが後悔の連続だ。


 あの時、気持ちをちゃんと伝えていれば。


 あの時、感謝をちゃんと伝えていれば。


 あの時……。



 あの時、ちゃんと好きと伝えていれば。



 後悔の、連続だ。


「ティアはさ。自分って、信じる?」

「……うん。」


 自分。


 自分って何だろう。


 僕には、自分というものが分からなくなることがある。


 自分のした行動。


 自分が結んだ結末。


 

 自分の辿った終着点。



 何も、わからなくなる。


 今もそう。


 何を考えようと、わからない。


 失ったんだ。自分を。


「ティアはさ。孤独って、感じる?」

「……うん。」


 孤独。


 誰にも語られず、何も遺さず。


 僕たちは死んでいくのだろう。


 それも孤独かもしれない。


 でも僕には。大切な人がいる。


 今この瞬間も、隣に。


 それだけで、孤独が消え去っていく。



 外から見た孤独は、内から見た充足なのだ。



「ティアはさ。結末って、信じる?」

「……うん。」


 結末。


 物語には、色んな結末がある。


 嬉しい?寂しい?悲しい?


 

 僕たちは、どう見える?



 僕たちの結末は、未来にどう映る?




 そろそろ終わりにしよう。


 この物語にも、着実に終わりが近づいている。


「ティアはさ。涙って、信じる?」

「……うん。」


 涙。


 涙にはいろんなものがある。



 僕が流す涙は、どう見えますか?



 絶望の涙ですか?渇望の涙ですか?


 それとも。



 

 切望の涙ですか?




「ねえティア。」

「……うん?」


「とても綺麗だ。」

「……?」


「この空も、この地も、この体も。」

「……」


「そして君も。」

「……」


「僕はその全てが大好きだった――」

「……。」















「私も。」















「……。」


 空からやってくるのは、無数の流れ星。


 地に落ちてゆく。血に堕ちてゆく。


 無数の流れ星。


 綺麗だ。とてもとても綺麗だ。



 僕はこの世界の美しさが。





 ずっとずっと大好きだ――。

お読み下さりありがとうございました!

半ば殴り書きのような物を投稿してしまった…。

もっともっと精進していきます…!!

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