第7話 俺、やってやんよ
少し時間が出来たので、ちょっと書き物をしてみました
駄作ではありますが、読んでいただけたら幸いです
YO YO YO ヨォ オレ マサオ
今日はラップ調での挨拶DA
てなわけで、俺は今、ギルドの応接室に来ているぜ
「で… 今、この町で囁かれている噂は本当なのだね」
目の前のフルフェイス男… 秘密結社AFCのマスターさんと会談中
「ええ… その話は本当です。 一部内容に多少間違いはありますが、概ねその通りですよ」
そんなマスターさんに俺は計画の概要を既に説明済み
ん? 一体何の計画だって?
そりゃぁ… 俺のマネー回収… いや、この町のほとんどの奴らを巻き込んだ世紀のBIGイベントについてだ
そのBIGイベントの名は…
『アリサ・ミラクル・エンターテイメントショー』
この町でかなりの人気を誇る姉ちゃんを前面に出し、演劇等の催しをする
その際、姉ちゃんグッズ(コアなマニア向けではなく、全年齢使用)を大量に売りまくる
姉ちゃんの人気は鰻登り
俺の懐にはマネーがいっぱい
アホな奴ら(町の奴ら)は狂喜乱舞
みんなハッピーになるという、完璧なイベント
だが、そのアイデアはあっても俺のマネーではちょっと厳しい
確かに俺にはマネーがある
しかし、俺の可愛いマネーを大量に使うより、他の奴らのマネーを使う方が大々的にできるというもの
実際、マネーが俺にはあると言ったが、さる事情から俺のマネーは残り僅かなのだ…
そんな俺の事情とアホ共(町の奴ら)の利害が一致した
その為、AFCのマスターさんが俺にコンタクトを取ってきて今に至るということだ
「なるほど… 大体の事情は把握した… そう言った事なら我らAFCは全面的に資金援助や、人の確保、会場の設置全てを引き受けよう」
うはっ! ほぼ全てじゃねぇか!
「我ら、アリス(A) ファン(F) クラブ(C)はこの時を待っていたのだ! 皆に通達! これより第一級戦闘態勢に移行する」
マスターさんが高々に宣言すると応接室の外が急に騒がしくなる
「各自、配置につけ! 第一級戦闘態勢に移行!」
「各関係機関に通達開始」
「計器類オールグリーン いつでも行けます!」
「おぃ、そこ! 持ち場が違うぞ! マニュアル見直しておけ!」
「主砲発射準備完了!」
…おぃ、何か違ってないか? ま… まぁ… 安直なネーミングセンスから伺えるが…
こいつら本当にアホだな
色々と突っ込む箇所はあるが、こういう事に一々反応するだけ無駄のようだ
……………
どうも マサオです
あれから(AFCとの面会)から数日が経ちます
町の至る所で、大規模な工事がされています
舞台設営に数カ所
更には闘技場やら魔法障壁増し増しな魔法実演場など様々な建物が作られています
今までのどかな町の光景が様変わりしています
因みに、アホ共のマネーだけではなく、どうも領主様や、国からも大量の資金援助があったみたいですね
これには、さすがの俺もビビッてしまいましたよ
あ! 一応、姉ちゃんにはこの事を包み隠さず説明しておいた
だって、ここまでされると流石に誤魔化す事なんてできないからな
流石の姉ちゃんも、俺の説明を聞いて驚いてたが、無表情な事には変わらない
「まぁ、いつもの様にすれば良いのだな?」
最後にはこう言って姉ちゃんは納得してるし…
で… だ…
お前ら、色々あって解らんこともあるかと思って、この機会に俺様自らが、オツムの足りないお前らにレクチャーしてやるよ
ありがたく俺様の講義を聞きやがれ!
この、ビン・ギニングの町は総人口1500人程度
この数字には宿暮らしの冒険者は含まれていないぜ
昔は、主要産業ってもんは細々と農業をしてた程度だったが、先々代の領主が企画した町興しで少しこの町に変化があったようなんだ
それは、この町に初級冒険者を招くというものだ
確かに、この町周囲のモンスターはほとんどが弱い
だが、中には強いモンスターや、モンスターの群れが出没する事もある
そう言った時は、領主の私兵が強いモンスター等を蹴散らし、定期的にモンスターの間引きもしているのだ
特にこの町近郊にあるダンジョンがこの変のモンスターより格上の奴らが居てるらしい
その為、領主の私兵が常に見張っているし、定期的にダンジョンの調査もしてるって訳
つい最近までは姉ちゃんが単独で潜っていき、モンスターを撃滅する勢いで狩っていたみたいだが…
で、弱い雑魚モンスターの討伐や、簡単なクエストを領主が選定し、冒険者ギルドに卸しているって仕組み
もちろん、個人が直接ギルドに申し込むこともあるがな
そういった事もあって、この町が初級冒険者の町として有名になったって訳
どうだ?
ここまでは解ったか?
解った奴は良し! 解らなかった奴は…
朽ちてしまえ!
それでだ、次はこの町… ていうか、この国の一般的な収入について説明するぞ!
この国の奴らの1か月の収入ってば、大体大銀貨5枚(約5万円)程度だ
慎ましい生活をすれば1か月を大銀貨1枚あれば何とかなるってな具合
と言う事はだな… どれだけ俺がマネーを稼いでいたか解るだろ?
んで、どうしてこの町の奴らをアホ呼ばわりしてるかも理解できたと思う
あ! 何か他の事にも疑問持っている奴!
それは俺じゃなく、姉ちゃんに聞いてくれ
因みに、俺がレクチャーした内容も姉ちゃんに教えて貰った事だからな!
いやぁ、歩くウィキペディア(姉ちゃん)ってば本当に便利だわ
じゃぁ、今度はもっと町の景観が変わったころに会いましょう!
………………
どうも、約束は守る男、マサオです
町の景観はすっかりと変わってしまいました
今まで、領主の屋敷、冒険者ギルドぐらいしか主だって施設はなかったのですが、今では巨大建造物がいくつも目に入ります
急ピッチで増設されたそれらの巨大施設
その速度からして、確実に欠陥があるはず…
まぁ、俺の企画した『アリサ・ミラクル・エンターテイメントショー』さへ成功させれば後はどうなってしまっても構わん
で、Xデー(『アリサ・ミラクル・エンターテイメントショー』)の日取りも決定
それに伴い演劇の台本は主役を務める姉ちゃんが担当
そして、役者の手配、舞台設置、グッズ等はAFCが担当
更にはそれ以外の催し物に関しては、町の奴ら、そして領主まで絡んでいるって話だ
…簡単に言うと、俺の役割は特にない
だがな… 微々たる収益ではあるが俺にもマネーが入って来る
しかし、そんな微々たる収益なんて俺は興味ないぞ
俺の野望はな… これを足掛かりにこの世界に姉ちゃんフィーバーを巻き起こし、マネーを回収する事だ!
そして俺はこの世界の経済をがっちり握って裏から牛耳る
ダントツ! 超絶! 究極な勝ち組! になることこそ、俺の野望なのだ!
「おぃ、マサオ! ちゃんと聞いているのか? 気持ち悪い顔をして… また碌でもない事を考えているんだろうが」
ったく… 人が折角サクセスストーリーを考えていたのに…
「どうだ! この『ロミオとケロッコリン』って話は?」
「あぁ、これな… ボツ」
姉ちゃんが嬉々として俺に台本を見せてくるが…
これって一見、某有名劇作家が書いた恋愛物の様に見えるが、どうして銃撃戦があって、井戸からゴーストが飛び出し、巫女さんと対決って流れになるんだ!
それに、あの8頭身カエルが主役って…
そもそも銃撃戦って、銃の無いこの世界でどう表現するつもりだよ!
「どうして駄目なのだ! このアクションなんて最高だと思わんのか?」
いや、そもそも『ロミオとジュリエッ〇』にそんな濃厚なアクションシーンありませんから
「なら、マサオ! これはどうだ!」
何か腑に落ちない様子だったが、姉ちゃんが俺に新たな台本を手渡してくる
「ん? 『ケロッコリンとジュリエット』」
…内容はほぼ一緒
配役が微妙に違うだけの台本を手渡してきたんだが…
「あぁ、これも… ボツ」
当然だ! 姉ちゃんのセンスがたまに… いや、しょっちゅうか… 解らんことがある
「どうしてだマサオ! ケロッコリンだぞ! ケロッコリンなんだぞ! あの、ケロッコリンだというのに!」
いや… そんなにケロッコリンと連呼されても…
「ところで姉ちゃん。 ケロッコリン、ケロッコリンって言ってるけど、誰がケロッコリンをするんだ? 舞台小道具にケロッコリンの着ぐるみとかなかったし」
俺も一応関係者だから、小道具に何があるかは把握している
「ん? その事か? それは、ボンクラッティ殿が開発したケロッコリンゴーレムにして貰うつもりだ」
…そういう事か、姉ちゃんがあのマッド(ボンクラッティ)の所にここ最近行ってた理由が判明したわ
だって、完成した1/1スケールのケロッコリンゴーレムを見た時、凄く目を輝かせていたもんな
「でもな、姉ちゃん… 町の連中は多分だが… ケロッコリンより姉ちゃんが見たいと思うぞ。 だからな…」
と、俺が全部言おうとした瞬間だった
「ケロッコリンだぞ! ケロッコリン見たいだろ! 私なんかより絶対ケロッコリンだ!」
いや、そんなに顔近づけてきて言われても…
ケロッコリンなんて、この世界の奴らにとっては新手のモンスターにしか認識されないって
「いやな… 姉ちゃん。 取り敢えず騙されたと思ってだな… 一度、姉ちゃんを主役にしてだな… ケロッコリンを…」
俺はこの後数時間かけて姉ちゃんを説得する羽目になってしまった
……………
はいはいどうも、マサオです
只今、『ケロッコリンとケロッコリン』を行う舞台に来ています
ん? 『ケロッコリンとケロッコリン』ってなんだって?
そんなの俺に聞かんでくれ
これって、姉ちゃんが書いた劇の題名だ
その内容は… うん難解怪奇な物… とだけ言っておく
まぁ、一応俺の説得により、主役は姉ちゃんである事だけは言っておこう
で、どうしてここに来ているかというと、今日は役者も交えてのリハーサルをする為だ
まぁ、日にちも差し迫ってきたから、このタイミングで舞台合わせをしておこうって流れになったらしい
で、役者として町の奴らや冒険者の奴ら等不特定多数の奴らが名乗りを上げた
その為、俺も立ち会ったんだがオーディション形式で役者を選別
まぁ、役者を希望してきた奴らの熱量が半端ないってのが印象だったな
さて、そろそろ時間だな…
演技指導や、舞台演出はすべてあの完璧超人(姉ちゃん)に任せておけばいい
だって、俺にはこの演劇がどんな物になるかさっぱり解らんからな
それよりもだ…
「なぁ、ポンコ… いや、ボンクラッティさん。 礼の物は出来上がっているのか?」
「あぁ、出来上がっているぞ。 それに調整も完璧だ」
俺は隣で演劇の様子(正確にはケロッコリンゴーレムの様子)を見守っているマッドなサイエンティストに声を掛ける
うむ、良い返事が貰えて俺はほくそ笑む
「おぉ、ここに居てたか。 マサオ殿、日程調整について再度話をしたいが今大丈夫か?」
フルフェイスの兜を被った男が俺に声を掛けてくる
「あ、マスターさんですか。 すぐに行くので先に待っていてください」
はぁ… 企画者だから仕方ないが、急に忙しくなったな…
…………
はい、どうもマサオです
とうとう来ましたよ!
『アリサ・ミラクル・エンターテイメントショー』開催ですよぉ!
良い子のみんな! そして、お兄さんやお姉さん。 良識ある紳士に淑女の皆さん。
この日がやってきましたよ!
さぁ、愚民共! この祭りでマネーを落としやがれ!
この祭りは1週間取り行われる
まずは4日間かけて闘技大会って物騒な物が催される
そして、魔術大会ってのが次の催しだ
で、それが終わったら本番のアリサ・ミラクル・エンターテイメントショーを行って、パレードをして終わる
これが、今回の祭りの行程だ
で、この祭り、首都で行われる大規模な祭りと同じ規模で取り行われる
国内の奴らはもちろん他国の奴も来るらしい
その為、宿屋など宿泊施設を急ピッチで準備したぞ
まぁ、何度も言うがこの規模の祭りだが、俺の懐には微々たるマネーしか入らない
だがな…
姉ちゃんを宣伝する材料としては申し分ない
これを皮切りに… イヒヒヒヒヒヒ
「おぃ、マサオ! 聞いているのか? はぁ、またアホな事を考えているな」
「あ、姉ちゃんどうした? 緊張してるのか?」
どうした? さすがの姉ちゃんでもこの規模の祭りの主役をするのは気が引けるのか?
「舞台当日まで暇だから、闘技大会に出るぞ。 良いな!」
いや、そりゃダメでしょ!
「あのなぁ、姉ちゃん。 姉ちゃんが舞台の主役でしょ? もし、闘技大会で怪我でもしたらどうするのさ!」
「あ? そんなのケロッコリンがいてるだろ? 第一、私だぞ? マサオはまだ私の事を解っていない様だな!」
そうですよ
普段から、無表情な姉ちゃんの事を理解できるはずないですよ
「てことで、受付は済ませておいたからな!」
って、おい!
「いや、駄目だろ! すぐに取り止めてこい! 姉ちゃんが行かないなら、俺が行く」
「あ? マサオ… お前、言っただろ? 私が主役だって! なら闘技大会に出ないと皆が納得せんではないか!」
「いや、だからってもしもの事が…」
「私だぞ? もしもの事とはどういう事なのだ?」
ううう… 妙な圧を俺に掛けないでくれ…
負けた… 姉ちゃんの圧に完敗だ…
俺はしぶしぶ承諾するが… 怪我をしそうだったら棄権する事を約束させた
「で、後、魔術大会にも出るからな!」
って、姉ちゃん魔法なんて使えないだろうが!
「いや、そんなのもっと駄目だろ! 姉ちゃんいつから魔法使える様になったのだ?」
「ん? そんなの使えんが、なんか面白そうではないか! だから出る」
いやいやいや… 何言ってるのこの人は!
「意味が解らん! 姉ちゃん、ちょっと出る根拠… いや、魔法をやってみせて」
いつも姉ちゃんは俺の予想の斜め上を行く事をしでかすからな…
一応確認はしておかないと
「あぁ、これはな… 最近教えて貰ったんだが、手から火の玉を出す魔法とやらをだな… まぁ見ておけ」
多分、姉ちゃんの言いたいのは『ファイアーボール』をするって事だよな
ま、ファンタジー物の定番魔法って奴だから、どんな事をするかは凡そ理解できる
て、姉ちゃん…
小石を拾って何をする気?
「じゃぁマサオ行くぞ!」
なんか小石を握って、投げる構えをとったけど…
「ふんっ!」
うわっ
姉ちゃんが勢いよく小石を空に投げたぞ
…
小石が空気抵抗により燃えながら空へ消えていった
「ふぁいあ~ぼ~る」
いや、花火見るときの「た~まや~」じゃないんだから…
まぁ、今のをみて解った
姉ちゃんの場合、腕力のみで魔法を体現するって事なのね
「でな! マサオ! 魔法をする時にはな、何をしたのかちゃんと言わないといけないルールがあってだな…」
何かドヤ顔決めて姉ちゃんが魔法について語っているが、それほとんどが間違っているからな
俺は優しい良い弟だから、何も言わないでおくが…
「まぁ、解った… 魔術大会の出場も良いが… 絶対に会場を破壊するなよ!」
これだけは絶対に守って欲しいからな
姉ちゃんが突拍子も無い事をしでかさないように、先に釘をさしておかないと
まぁ、魔術大会ってのは闘技大会みたいに、誰かを傷つける事はしない
あくまで魔術を披露するだけだから行程に影響する事はないはず… ないはずだよね?
……………
どうも マサオです
はい、今、闘技場に来ています
姉ちゃんの気まぐれで闘技大会に出場するって事なので、応援しにきましたよ
純粋に応援するつもりだが、闘技大会の試合を賭けに使っている不貞輩がいるって話を聞いたのだ
そんな奴らを懲らしめる為、仕方なく俺も賭けに参戦する事にした
賭け事は駄目って事を教えねば!
さぁて、予選からしっかりと応援しなければ…
だが、いきなり賭けには参戦しないぞ
こういった賭け事ってのはデータ戦だ
正直、俺の持っているデータは姉ちゃんしかない
で、その姉ちゃんに賭けても恐らく微々たる儲けにしかならん
てか、賭けが成立するかも怪しいからな
だから俺は姉ちゃん以外の試合で勝負するつもりだ
って事で有力な候補を見出すまでは賭けを控える
控えるつもりだが… 少しくらいは遊ぶつもりだ
そう、あくまでも遊ぶ程度
「うぉおおおお! ザコイーナ! 勝て! 勝つんだ! そして俺様にマネーを!」
「勝者ツヨーイン選手!」
ちっ… まだだ、まだ俺には大量のマネーがある!
「よぉぉし! いけ! 切りつけろ! ゴミスケール! そして俺様にマネーを!」
「勝者カチマスー選手!」
ぐっ… 次は勝ってやる… そして負けた分を取り返せば良いだけだ…
「頼んだぞ! カマセーヌ! お前に掛けているんだ! だから勝ってくれ! そして俺様にマネーを!」
「勝者スゴイゾー選手!」
ぬぅ… 次だ! 次で巻き返せばチャンスが…
って、次は姉ちゃんの試合だな
ふむふむ、対戦相手は…
コケドオシーって大剣使いか
うんうん、見た感じ良い体格をしてるな
何より良いのは『いかつい顔』
周囲を威圧する風貌にその面構えは圧倒的強者に違いない
で…オッズ(賭け率)は?
姉ちゃんが1.000000001倍に対して
コケドオシーが10万倍
うん、姉ちゃんの人気と実力ならこれでもマシな方か
だが、この倍率って銀行の金利より低いぞ
てことで… 俺は有り金全部をコケドオシーに賭ける!
男ってのはロマンを求める生き物だからな!
今までの負けをこの試合で取り返してやる!
さぁて、勇者コケドオシーと魔王アリサの試合が始まったな
「きゃぁぁあああ! アリサ様! 応援してます!」
「アリサ様! こっち向いてください!」
「アリサ様! 俺と一緒に酒飲みにいきませんか?」
姉ちゃんが出て来たからって馬鹿みたいに騒いでからに…
てか、姉ちゃんはまだ未成年だから酒はNGだからな!
でもな… お前ら…
この試合で姉ちゃんは負けるんだぞ!
「なぁに? あの筋肉だるまは…」
「あの醜い姿… アリサ様とは役者が違うわね」
「おぃ! お前! アリサ様に殴られるなんて… うらやましいぞ!」
対戦相手のコケドオシーにはブーイングの嵐だ
だが、俺は応援してるぜ! 勇者コケドオシーよ!
にしても、予選から凄い人気だわ
でもな… 魔王は絶対に敗れる! そして、見た事も無い桁のマネーが俺の懐に入るんだ!
これ決定事項な!
ふふふ… その証拠にコケドオシーは周囲のブーイングなんて物ともしていないぞ
それどころか魔王を応援している奴らを煽ってやがる
「良いぞ! 勇者コケドオシー! 姉ちゃんの追っかけ共に吼えずらかかせてやれ!」
俺は人一倍大きな声で応援を送る
すると、勇者は俺の声が聞こえたのか、俺に不敵な笑みを浮かべてくれたぞ
そんな勇者にサムズアップで応える事にした
さぁて、試合だ…
審判が魔王と勇者の間に立つ
「では、アリサ様とコケドオシーの試合を開始します。 両者構え!」
審判がそう告げると、勇者が口を開く
「ふん、アリサ様、アリサ様って言われているから、どんな奴が来るかと思っていたが、只の『でかい』姉ちゃんじゃねぇか」
あ! 馬鹿! それ言っちゃ…
…
「勝者アリサ様」
…
もう、なんて言うかね…
俺の人生って… こんなもんなんだよね…
あの馬鹿は姉ちゃんに天高く投げられちゃったよ…
そして、俺のマネーも天高く消えていったよ…
……………………
マサオ 以上
もう挨拶する気にもならねぇよ!
闘技大会が終わった
そして俺も終わった
起死回生を図る為、姉ちゃんの財布から多少借りたが、結局無一文になってしまった
幸いこの祭りの支払いは全て先に済ませてある
だから姉ちゃんにさへバレなければなんとかなるのだが…
ん? 闘技大会の経過?
んなもん、俺の精神ダメージが凄すぎて見てないわ!
え? 今度は闘技大会の結果?
それ、言わないと駄目か?
そんなの決まっているだろ
魔王が圧倒的暴力で優勝したぞ
なんか知らんが、軍務卿って奴から何か貰っていたが、そんなのどうでも良い
なんで、いつもいつも俺のプランはこうも簡単に潰えてしまうんだ?
それに、俺だけ苦労しているのに、姉ちゃんはいつも周りからチヤホヤされている
余りに不公平じゃないか?
こうなったら… ちょっと早いが、俺… やってやんよ!
俺は急いで奴の元へ行く
奴は露店で悠長に菓子を食っていた
菓子を食う奴の耳元で俺は命令した
「例の作戦だが、ちょっと早いがすぐに実行だ」
俺の決意を知ったのか、菓子を食う手を止め奴は俺の顔を見ながら言ってきた
「本当に良いのだな、実験体1号よ! だが、すぐには無理だ! どんなに急いでも魔術大会が終わってからだな!」
奴もプロだ
出来る事と出来ない事はしっかりと言ってくる
「なら仕方ない… では魔術大会が終わり次第やってくれ」
俺がボソッと呟くように言う
「取り返しのつかない事になるが… いや、お前の目を見れば解る。 成功を!」
奴もボソッと呟く
さぁて、見てろよ… ビン・ギニングの奴らにこの国の奴ら!
そして、俺が作ったと思わしておいて全くの別物の異世界!
それから、マツザカ アリサ お前もだ!
俺をコケにした奴全員、後悔させてやるからな!
お前らの命も魔術大会が終わるまでだ
精々、残り僅かな時間を楽しむが良い!
貴重な時間を、この作品に費やして下さり感謝しています
色々と読みにくい箇所がありますが、そこはスルーして貰えれば嬉しいです
最後にもしこの作品が良ければコメント頂ければ励みになります