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第6話 俺、準備に勤しむ

少し時間が出来たので、ちょっと書き物をしてみました


駄作ではありますが、読んでいただけたら幸いです

どうもぉ~ マツザカ家のマサオでぇ~す


そして、相方のアリサは… 今はいてませ~ん


てな訳で、今は俺一人だ


ここ最近、姉ちゃん一人で出かける事が多い気がする


まぁ、どうせダンジョンでも行って遊んでいるんだろうけど


んで、一人の時にする事と言えば…


あのアホ共から金を徴収… ではなく、バイトをする… のが普通だが、今はバイトをしなくても大丈夫


なんてったって、かなりのマネーがあるからな!


ふはははは! 俺、勝ち組!


んで、お前ら負け組!


まぁ、くよくよするな!


俺みたいな勝ち組は、お前らみたいな負け組が存在するからなれる訳だからな!


って事で、今日は久々に暇を持て余している


で、今、姉ちゃんが居ないわけだ…


ならする事は一つ


姉ちゃんの持ち物チェックだ!


だって、外行くの面倒だし、かといってゲームなんてこの世界ないから、マジで暇なんだぞ!


さて、まずは… うん、サイフだな


と言っても、この世界、普通の財布なんてないぞ


あるのは、硬貨をいれる小さな袋のみ


んで、姉ちゃんの財布の中身はっと


「……」


うん、嫌な物を見てしまった…


俺、勝ち組とか言ってたけど… 姉ちゃんに比べたら…


さて、そんな事は忘れて次、行ってみようか!


うん、宿の部屋に備え付けられているタンスの中身だな


姉ちゃんって、いつもYシャツにズボンと言ったラフな服装ばかり来てるからな…


タンス、オープン!


「……」


予想はしてたが… 


うん、つまらん…


色違いのシャツやらズボンしかない…


てっきり俺の知らない服とか持っていないか期待していたのに…


にしても、スカートとか、フリル付きの服とかそう言ったネタ衣装が全くないな


意外と、そういうのが似合わないと自覚してるのかな?


では、下着を… ていうか、これは普段から見慣れているし、別にいっか…


……


はい、僅か数分で姉ちゃんの持ち物チェック終了!


暇だぁ! 暇すぎるぞ!


…ってあれ?


なんか、タンスの引き出しに見慣れない手帳が?


なんだコレ?


俺は手帳を手に取りおもむろに中を確認する事にした


「1日目


知らない所に居た


びっくりした


調査する」


ん? これって、一体


「2日目


人に出会った


親切な人だった」


なんだ? この短文は?


「3日目


変な生き物がいた


美味かった」


え? 何? これ意味わからん


「4日目


町に行った


人が大勢いた」


そりゃ、町なんだから人も大勢いるでしょ


って、この字で、この内容… これって姉ちゃんの日記では?


良い物みっけ!


よしよし、姉ちゃんの日記を読んで暇を潰すとしよう


「45日目


なんかマサオが居てる気がする


人様に迷惑が掛からないように、先に回収しなくては」


ちょっとまて…


回収って俺は荷物扱いかよ!


「46日目


マサオ居た


相も変わらずマサオだった」


いや、何? そりゃ俺、マサオだけど、これって一体どういう意味だ?


「47日目


良い機会だ


マサオを更生させなくては」


更生って、俺何か悪い事したのかよ!


「〇〇日目


変な奴に会った


仕事だから仕方ない


変な人形壊れた


これって動くならケロッコリンにしたい」


あんな気持ち悪い動く人形とか悪夢だろ!


……


俺は姉ちゃんの日記を読み漁った


俺について理解不能な事も書かれてはいるものの、ほとんど、どうでも良い内容ばかりだ


にしても、読んでみた感想だが… 短かすぎて意味が解らん


なんか、どっと疲れたな…


「どうだった? 人の日記を読んだ感想は?」


「あぁ、めちゃつまらなかったぞ」


え? ついとっさに返事しちまったが… ま・さ・か…


俺は恐る恐る後ろを見る


「あ、姉ちゃん。 お仕事お疲れ様…」


俺は素敵な笑顔で姉ちゃんを労う


「あぁ、留守番ありがとう」


そんな笑顔に答えるかのように姉ちゃんも素敵な笑顔だった


フンギャァァァアアアアアアアアア


はい、俺マサオは今、地中に居てます


さっきまでは2階にある自室に居てたのですが、魔王アリサの転移魔術によって強制移動させられてしまいました


ここは真っ暗な世界です


下半身は辛うじて地上に出ているのでしょうか、股間がスゥスゥしています


簡単に言うとですね…


頭から地面に突き刺さっています


「ねぇ、ママあれなぁに?」


「見ちゃいけません!」


恐らく、道沿いに突き刺さっているんでしょうかね


色々な人の声が鮮明に聞き取れます


「あ! ポチ! こんなのかじっちゃいけません!」


うん、俺の右足を何かが噛んでいるのが解ります


非常に痛いです


ところで一言だけ宜しいでしょうか?


誰か助けてぇぇぇええええええ


……………


こんにちわ、こんばんわ、おはようございます… ワールドワイドな活躍を今後する予定のマサオです


てことで、今、俺は姉ちゃんと一緒にギルドのクエストをしています


ただ、今日はいつもと違って、お客様達もご一緒しています


題して『アリサと一緒にクエストしようツアー』


はい、普段は遠目からしか姉ちゃんの活躍を見れないそこのあなた!


遠慮せず、まじかで見れるチャンスですよ!


更には、姉ちゃんから守って貰える特典付き


お代はお一人様金貨2枚(約20万円相当)


先着5名様に限りますので、是非ご参加下さい


ん? もっと人数増やせば儲かるのではって?


あぁ~… 君達… 素人だねぇ~


こういったイベントはプレミアが重要なのよ


参加者は変更せずに、金貨2枚の所を、次は3枚とか4枚に釣り上げていった方が安定してマネーが入るからな


ふむふむ、今回のお客様は… うん、全員女冒険者のみか…


職業は… 戦士と盗賊と僧侶、 それから… 魔法使いにレンジャーか…


まぁ、お客様だしな… 


余り活躍の場はないが、そういった事を期待している連中でないのは一目瞭然


もちろん、姉ちゃんにはこの事は内緒にしている


だって、そんな事バレたら何をされるか…


因みに客共もこの事は周知してるし、かなり意識して注意を払ってくれてるな


今日は、ビン・ギニングの郊外にある森の中でのモンスター討伐クエストだ


「ふむ、皆大丈夫か? 疲れていないか?」


おっと、姉ちゃんがファンサービスをし始めたぞ


これには、客共も顔を赤らめ喜んでいる


ていうか、俺にはこういった事、一度も言ってくれたことはないがな…


時折、休憩を入れつつ森の中を探索


「おぃ、そこっ! 危ないぞ! 頭を下げろ!」


おっと、客の一人にモンスターが襲い掛かってきたぞ!


それを難なく姉ちゃんが対処する(物理で殴るだけ)


襲われていた客の服にモンスターの返り血が飛び散る


あ・・・ これはもしや… クレーム来るかも…


「アリサ様… ありがとうございます… 私なんかの為に…」


「いや、私の不注意だ。 あんなにもモンスターに接近を許すとは、本当に申し訳ない」


おっと、これはもしや… 


返り血で服が汚れた客は、姉ちゃんが間近に近寄って声を掛けた事に興奮している


自分の今の姿なんて、全く気にしていない様だ


ウゲッ


そんな光景を見て何を思ったのか、他の奴らが茂みや木陰といった、如何にもモンスターが居てそうな場所に走っていく


案の定だ…


「アリサさま! 助けてください!」


「キャァァァ。 モンスター!」


「痛い! こんな所にモンスターが!」


「ダメ! 私は良いから他の子を…!」


おぃ、なんの茶番だ? これは…


これ、絶対に自分達から襲われに行ったよな…


「む! 皆があぶない!」


姉ちゃんが皆の元に走っていくが…


全く危なくないですよぉ… こいつらわざと襲われに行っただけですからねぇ~


だって、その証拠に姉ちゃんの戦う姿を間近でみてウットリしてるし…


更に至近距離で姉ちゃんが安否の確認をすると目を輝かせて答えてやがるからな


「おぃ! マサオ。 この子が怪我をしてるぞ! 何か持ってないか?」


ん? ちょっと膝を擦り剝いているだけじゃないか


こんなの唾付けときゃ治るって!


「何をボサッとしてる。 えぇい! もういい! おぃ、これで傷口を抑えておけ!」


姉ちゃんが客の一人に傷の手当てをし始めた


といっても、擦り剝いた箇所に自分のハンカチを巻き付けるだけの簡単なものだ


その間、手当てして貰っている客は辛そうな表情を…


いや、していない


一見すると確かに辛そうにはしているが、時折傷口を手当てしている姉ちゃんの事をチラ見していやがる


嫌な予感が・・・


ウォッ!


やっぱりこうなるのか!


一斉に他の客共が、自分の持っていた刃物や地面、周囲の木々等を使って擦り傷や切り傷を作り出している


「あぁ、痛い!」


「棘が刺さってしまったわ」


「キャッ、血が」


「ううう… き、傷が…」


う~ん、何というか、こいつらって…


んで、姉ちゃんも姉ちゃんだよな


こんな奴ら一人一人にそこまで真剣にならなくても…


ん? 待てよ… そう言えば、俺の時となんか対応が違う様な…


「なぁ、姉ちゃん? 俺の時もこんな事してくれた…か?」


素朴な疑問を治療に専念している姉ちゃんに尋ねる


「あぁ? そんな事、今はどうでも良いだろう! この子達は女なんだぞ! 肌に傷が残ってみろ! 取り返しのつかない事になってしまうだろうが!」


はい、空気読まずに尋ねた俺が馬鹿でした


って、この女共…


今のやり取りを見て、又ウットリしてやがる!


あのなぁ~… ウットリする要素なんて無かっただろうが!


………


疲れた…


何か体力以外の何かがゴッソリと持っていかれた気がする…


はい、マサオです…


多少ハプニングはございましたが、何とか無事にギルドに戻ってきました


「アリサ様! 今日は本当にありがとうございました! またご同行させて貰える日を心よりお待ちしています」


「あぁ、私はいつでも良いぞ。 お前達も今日は疲れただろう。 家に帰ってゆっくり休めよ」


なんか客共が姉ちゃんに挨拶して帰っていったんだが…


こりゃぁ、金貨2枚は安すぎるな… 一人4枚は貰わんと割に合わん…


にしても、姉ちゃんは元気だよなぁ


「おぃ、マサオ。 マサオはマサオだ。 そして何より私のマサオなのだからな! だからマサオの事は解っているつもりだ!」


ん? 姉ちゃんもやっぱり疲れてるのかな? 


なんか意味の解らんことを呟いているぞ


……………


やぁ、俺 マサオだよ


今日はねぇ、とっても良い事考えたので、その下準備をし始めているよ


とっても、とっても、とぉっても良い事だよ!


だって、マネー君達が俺のポケットにわんさと集まってくるからね


さて、その為には初期投資の資金が必要だが、それは問題ない


愚民共(冒険者&ギルドの職員)から金をふんだんに徴収したからな


で、今俺はマッドなサイエンティスト『ボンクラッティ』の家の前にいてる


俺の野望実現の為には、目の前の家の主『ボンクラッティ』の協力が必要不可欠なのだ


何度か、この家の主には酷い目にあった


俺は被験者として、この家の主にガラクタの実験に付き合わされたこともある


しかしだ… その中でちょっと使えそうな物もあった


もちろん、そのままでは使えないガラクタのままだが、俺のマネーがあれば使える物になる


しかも… 大量のマネーが俺の手に入る事になるだろう!


「ボンクラッティさん、居てますか?」


俺は大きな声で家の主に声を掛ける


「……」


何も返事がない


ん? 留守かな?


いや、あのマッドなサイエンティストは絶対に家の中に居てるはず


だって、あんなサイコ野郎が健全な生活を送っている訳ないのだ


日中に太陽の下、汗水垂らして働く姿なんて想像できんからな


という訳で、何度も大声で呼びかける事にした


呼びかける事、数分


ガチャ


家の扉が開く音がした


しかし、俺の予想は裏切られる事に…


「なんだ? ん? マサオか?」


え? 姉ちゃん?


「ど… どうして、姉ちゃんがこんな所に居てるんだ?」


なんで、こんな小汚い家に姉ちゃんが居てるのかさっぱり意味が解らん


「ん? 私か? そりゃぁ、ボンクラッティ殿に用事があるからに決まっているだろう」


え? 姉ちゃんがこんなガラクタ製造機ボンクラッティに用事って?


そう言えば、姉ちゃんの日記にそんな事書かれていた様な…


「ところで、マサオこそここに何用できたのだ?」


そりゃぁ… マネーの為… とは流石に言えない…


「いや… 俺は… うん、あれだ! ボンクラッティさんの発明に興味があって…」


はい、嘘です


全く興味はございません


「ふむ、そうか… ちょっと待っていろ。今大丈夫か聞いて来るからな」


姉ちゃんが家の中に消えていく


待つ事数分… 


すると白衣に身を包んだ細身の男が現れた


血色の悪い青白い肌に、眼鏡をかけたその顔


うん、忘れるはずがない、『ボンクラッティ』その人だ


「で? 私に用があるのか? 実験体1号よ」


え? 実験体1号って… 俺の事?


確かにお前のくだらん実験に何度か付き合ったが… 


いつから俺はお前専属の実験体になったんだ!


まぁ、そんな事は良いとして、姉ちゃんと何しているかが気になる


適当に話を合わせて、中に入れて貰おう



「うわっ! なんだこりゃ?」


マッドなサイエンティストの家に入ると至る所にマネキンのパーツが散乱している


腕や足はもちろん、顔や胴体… さらには眼球まで無造作にテーブルの上に置かれている


そして、いくつもある棚には何かの部品が…


如何にもって感じだが、以前来た時は、違うものが散乱していた様な…


「すまんな、散らかっていて… これらは私の才を高く評価してくれたパトロンのおかげだ」


え? こんな怪しい奴にパトロンなんて付くのか?


って… もしかして… パトロンって…


「あぁ、ボンクラッティ殿にはどうしても作って欲しい物があったからな!」


なんか姉ちゃんが話し出す


というか、作って欲しいものって何なんだ?


「まぁ、私の方もアリサ殿のおかげで、資金面でも技術面でも感謝している。 特にこの関節部だが、丸形にすれば滑らかな動きが実現できる。それ以外にも…」


うん、それって某ロボットアニメのプラモデルの関節部分に使われている奴だな…


なんかボンクラッティが更に熱弁を奮っているが… 全く意味が解らん


「で、姉ちゃんは一体何を作って貰う気なんだ?」


まぁ、二人して人型の何かを作ろうとしてる事は何となく解るのだが…


「ん? それはだな…」


え? 何? 声が小さくて聞こえないのですけど!


なんか姉ちゃんが下を向き、モゾモゾとしている


あのなぁ… 巨大な能面女がそんな事をしても全く可愛くないんだが…


「アリサ殿はな、なんかカエルの様な人型モンスターの形状をしたゴーレムをだな、この偉大なボンクラッティに制作を依頼してきたのだ!」


あ・・・ あれか… 異世界に来たら絶対に見る事がないと思っていたアレか!


「マ… マサオ… 私はだな… あの人形の部品を見てだな… もっと良い物が作れると思ってだな…」


凄く顔を赤らめしどろもどろになりながら俺に説明してくれるのは良いが…


てことは、あの日、姉ちゃんが壊したゴーレムを見て何か閃いたって訳だよな


「いやな… 製作費はだな… 私の金でだな… 本当だぞ! お前と一緒に働いて稼いだ金には一切手を付けてはいないからな」


あぁ、それは解っているぞ!


だって、俺の持っている全財産の何十倍って持っているもんな


「で、ちょっとボンクラッティ殿に相談するとだな… 共同制作と言う事でだな… 話が付いた訳だ…」


まぁ、姉ちゃんの金だから良いんだけど…


ん? 待てよ…


ふひひひひ…


良い事閃いた!


この話って、ちょっと俺も乗っかってみたらいけるかもしれない


俺の野望へかなりの近道になるな!


少し涙目になりながら姉ちゃんが落ち着きなく、こちらを見たり周囲を見たりしている


俺は非常に優し気な笑顔で言う


「姉ちゃん… ケロッコリン好きだったもんな… よし! 俺も協力させてくれ」


すると姉ちゃんが俺の方をジッと見てくる


「本当か! 本当に良いのか! マサオ感謝する!」


ケケケケケ… チョロい!


チョロすぎるぞ! マツザカ アリサ!


姉ちゃんはどう思って『ケロッコリン』とか言うキモいカエルのゴーレムを作ろうとしているか知らんが、その技術、そっくり頂いてやるぞ!


……………


朝起きて、飯食って、ギルドに行って、仕事して、飯食って、ギルドに戻って、バイトして、時々マッドなサイエンティストの家

に行って、宿に戻って、飯食って、風呂入ってから寝る


といった規則正しい生活を送るマサオです


そんなマサオですが、今日はちょっと違った所へ来ています


姉ちゃん不在なので、俺一人ですよ


俺が今居てるのは仕立て屋だ


どうした? 服でも作って貰うつもりかだって?


あぁ、そうだぞ! 仕立て屋に来たのだから服を作って貰うに決まっているだろう


だがな… 俺の服じゃないからな!


じゃぁ誰の服を作ってもらうのかだって?


それはだな… 姉ちゃんの服を作って貰うのだよ


お前、姉ちゃんへのプレゼントを用意するとは偉いって?


偉いだろ! そう、俺の真心がこもったプレゼントだよ


どうしてこのタイミングでプレゼントなんだって?


あぁ、それはだな… ここ最近、バイトの調子がな…


俺のバイトって、アホ共(冒険者&冒険者ギルドのスタッフ共)に姉ちゃんグッズ(姉ちゃんが身に着けていると称して、俺の使

い古した物)を売って稼いでいるんだが…


最近売れ行きが悪いんだ


姉ちゃんの人気は、未だ凄いのだが、どうもグッズがマンネリ化しているらしい


確かに過激な物を販売しようかと思ったが、流石にバレた時に死ぬより恐ろしい結末が待っている


そこでだ、姉ちゃんの人気を更に上げ、俺の懐にも大量のマネーを呼び寄せる為にここへ来たって訳だぞ!


どうして仕立て屋かって?


そりゃ服をだな… いや、これだと同じ事を言う事になってしまうな


いやな、実は前にいた世界の、学際の事を思い出したんだよ


俺は正直、学際が嫌いだった


まぁ、正確に言えば、学際の準備をする時期が嫌いだったのだ


と言うのも、その時だけは俺は女子共に囲まれる事になる


うん、多分、中学の時から毎年囲まれていたな


もちろん、それは俺の溢れる魅力から… ではない


女子共の狙いは俺じゃなく、事もあろうか姉ちゃんなんだ


で、その弟である俺は、姉ちゃんのクラスの女子共から囲まれて、姉ちゃんの体のサイズを聞かれる


もちろん、そんな事は知らないし、興味もないのだが…


そんな俺の事など気にせず女子共は聞いて来る


余りにも強い圧を俺に当てつけてくるもんだから、渋々調べなきゃいけない状況になっちまっていたんだ


で、必ずと言って良いほど、姉ちゃんのクラスは演劇をする


どんだけクラスメイトが変わっても、必ず演劇なのだ


初めのうちは何も解らなかったが、何年も見ていると気が付く


姉ちゃんのクラスの女子共は、姉ちゃんに男装をさせている事に…


どうも、俺に聞いてきたのは、服を作るための寸法を知りたかっただけなのだ


因みに、姉ちゃんは主役を必ず演じていた


とうの本人はその事に未だ気が付いていないみたいだが、弟の俺は女子共の魂胆が解っていたぞ


だが、この事がビジネスチャンスに結び付くんだな


この世界の女共も、前の世界の姉ちゃんのクラスの女共と同じような思考だと判明


なら、そんな女共が喜びそうな事をすれば姉ちゃんの人気が上がる


そして、俺の懐も温もるって方程式が成り立つわけなのだ!


さて、ここまで話したなら俺の考えは理解してもらえただろう


「ちぇーっす」


俺は元気に仕立て屋に入る


「あ、お客さんですね。 少しお待ちください」


仕立て屋の奥から足音が聞こえてくる


「げ… あんたかよ… 一体何の用なわけ?」


ちょ! 俺は客だぞ! しかも、初対面だぞ!


いや、こういった事は、初めてじゃないし… ここは冷静に…


うん、本当にこういった事は初めてじゃないんだよな…


なんか、俺と姉ちゃんのやり取りをどうも町の奴らは知っているみたいなのだ


で… 綱無しバンジーとか、変なオブジェにされたりとか、人間ミサイルになったりとか、そういった事が知れ渡っている


普通、こう言った事は加害者が嫌な目で見られるのが普通なのに、姉ちゃんの人気は上がる一方


逆に、被害者である俺の方が嫌な目で見られている


特に女共から顕著にその傾向が伺えるのだ


そんな理不尽な世界なのだよ… 異世界って奴は…


いかんいかん!


目の前のアマにちゃんと言わなければ…


「いや、服を仕立てて貰おうと思ってだな…」


「あ、もう閉店にするので後日… いえ、永遠に来ないでください」


いや、おかしいだろ! さっき店を開けたばっかだろうが!


しかも、客に対して永遠に来るなって!


まぁ、まて… 目の前のアマもこの町に居てる女共のうちの一人だ


悔しいが顔はどいつもこいつも良い… 良いのだが…


性格は最悪


だが、そんな顔だけの女共も、このキーワードには弱いはず


「俺の服じゃないんだ。 服を仕立てたいのは、俺の姉ちゃん、アリサの服なんだが… まぁ、閉店なら仕方ないよな…」


「ちょっと、そこのあなた! その話、詳しく!」


…解ってはいたが、何か釈然としないぞ


俺は、姉ちゃんの衣装について説明をした


「…ってな感じの服って、ここで作れるか? あと、試着もここでして貰えないだろうか?」


俺の話を聞いている仕立て屋の女は何か違う所に意識が行っているようだが… まじで大丈夫かこの店?


「是非ともその仕事させて下さい。 それと… その話は本当なのですね… 絶対ですよ! それと当然お代は結構です。 無料でさせて貰います。 ただし… 試着には私が立ち会いますので!」


ん? お前、何かこの女に吹き込んだだろうって?


そこは… ビジネスに関する事なので、まだ言えないな…


ケケケケケケケケ…


わんさとマネーの大群がやって来る足音が聞こえてくるぜ!


…………

貴重な時間を、この作品に費やして下さり感謝しています


色々と読みにくい箇所がありますが、そこはスルーして貰えれば嬉しいです


最後にもしこの作品が良ければコメント頂ければ励みになります

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