第5話 俺、もっとお仕事に励んでいる
少し時間が出来たので、ちょっと書き物をしてみました
駄作ではありますが、読んでいただけたら幸いです
どうもマサオです
はい、平常な状態です
いつもは、絶叫だの愚痴だの言っていますが、今の所は無事に情緒安定中
俺は個人依頼の為、宿へ戻っている
部屋には俺と姉ちゃんの二人きり
え? お前ら兄弟と言っても、男と女だろ? それなのに同じ部屋で良いのかって?
それは… うん、全っくといって問題ないぞ
姉ちゃんから襲われるって心配はないし、俺から何かするなんて… 恐ろし過ぎる…
でも、着替えとかはどうするかって?
それな… 他の家では考えにくいかもしれないが… 俺の所は余りそう言った事は気にしないぞ
だって、姉ちゃん… スッポンポンで俺の周りをウロウロしているからな
で、俺の方が気を使っているくらいだ
一応、辛うじて公衆の面前ではそう言った事はしないが… それも怪しいものだ…
うん、痴女一歩手前だな
「ちょ! 姉ちゃん! いい加減下着姿で布団の上をゴロゴロするのは止めろ! ったくどこの痴女なんだよ!」
はい、今も俺の目の前で、下着姿でだらけている
「ん? なんだ? マサオ! お前、私の姿を見て欲情してるのか? まぁ、マサオだから仕方ないのかもしれんが」
いや、全く悪びれた様子もないし、俺の事もなんか変な評価しているし!
「ってか、そんなんじゃ、いつまで経っても結婚なんてできないからな!」
一応、巨大ではあるが顔も体付きも完璧な物を持ってはいるが、これじゃぁ浮いた話なんて…
「何を言うかと思ったら、マサオの癖に私の心配をしているのか?」
そりゃぁ、一応、俺の姉ちゃんだし、家族だし…
「まぁ、マサオが一人前になってからだな… そういった事を考えるのは」
いや、姉ちゃんは俺の保護者かよ! 俺も姉ちゃんと同じ父親と母親を持っているんだからな!
「あ、そう言えば… 姉ちゃんって好きな奴とか今までいなかったのか? 一応、年齢も年齢だし」
そう言えば、姉ちゃんって全くそう言った事を言わないし、雰囲気も全く出さない
だって… 基本は無表情だから解りにくいんだ
「ん? 居てたぞ。 お前も会っているはずだ」
まじか!
しかも俺も知っている奴とは!
「姉ちゃん… 今でもそいつの事が好きなのか?」
俺には信じられんが、聞かずにはおれなかった
「あぁ、こっちに来てからは、もう会えないが好きだぞ!」
何事も無いかの様に平然と言ってくる
「…その話、詳しく」
姉ちゃんの話を聞くと、どうも俺が小さかった頃から居てるらしい
しかも、顔馴染みとの事だ…
「あの方の熱い抱擁。 そして、つぶらな瞳。 あの方の事を思い出すと、胸がキュッとするのだ… これが乙女の恋心と言うものなのだな」
うわっ… 能面巨大女が何故かうっとりとした顔をしてやがる
「お前はあの方の事を余り気にはしていないようだが、私にとってはかけがえのない御方なのだ」
だろうな… だって、誰の事を言っているのかさっぱり解らんし…
一応、俺は黙って目の前の巨大女の話を聞く
巨大な能面女のニヤケた面って… うん、ホラーだな…
それで、姉ちゃんの初恋?の相手がどんな奴か、いくら聞いてもさっぱり解らなかった
「う~ん… 悪い!姉ちゃん! 全く思い出せん! てことで、絵を描いて教えて貰えるか?」
うん、目の前の巨大女は絵が得意だ
これ…写真って思える様な描写はもちろん、心をえぐるような描写も得意だ
「おぉ! いいぞ! 今のマサオだったら、私の思いと共感してくれるはずだろう!」
ありゃ? なんか凄い乗り気になりやがった
なんか嬉々として紙に絵を描き始めたぞ
「うむ、できたぞ! これが私の愛しいあの方だ!」
「……」
いや、あの… これが姉ちゃんの愛しい人?
「どうだ! 思い出したか? マサオどうだ! 私の言ったとおりだろ」
「……」
いや、これな… あれだわ… うん
まず、これは決して人ではない!
それは断言できる
で… だ…
そもそも、存在なんてすらしていない!
「お前も小さい頃、お母さまと一緒にデパートの屋上で会ったではないか! どうだ、思い出しただろう!」
「……」
いや、思い出してはいるんだが…
うん、確かに姉ちゃんの言う通り、俺も母さんと一緒にデパートの屋上で会っている
「これ… 姉ちゃんが昔から好きだった『ケロッコリン』だよな…」
8頭身で2足歩行をしたカエルが紙に描かれ俺に手渡されている
昔から、姉ちゃんが好きだったアニメ『カエル帝国の逆襲』のキャラクターだ
姉ちゃんは昔からこのアニメに夢中だった
でも、俺にはこのアニメが理解できない
SFファンタジー宇宙戦記にジャンルされてはいるものの、俺には気持ち悪いキャラクターにSF物特有の未知の単語がどうも性に合わないからだ
しかし、俺の事などお構いなしに姉ちゃんは母さんにお願いをして、デパートの屋上でしていた『ケロッコリンショー』を見に行った事がある
その時、8頭身のキモいカエルの着ぐるみにハグされてうっとりしていた姉ちゃんを思い出したわ
もし、あの着ぐるみの中身がオッサンだったら… ウワッ! 気持ちわるっ!
「うむ、あの時の温もり… 今でも鮮明に覚えている。 あ、そう言えばマサオ…」
そりゃ、温いに決まっているだろ、着ぐるみなんだから
「あの時、小さいのにケロッコリンの横にマイクを持って立っていた女に発情していただろう。 流石にあれは私でも引いたぞ」
はぁ? なにを言ってるんだ? この下着姿の巨大女は!
「だって、マサオ… 女に抱き着いて、脇の匂いを必死に嗅いでいただろう」
いやいや、あの時は幼かったし、純粋に可愛い男の子をしていただけだぞ
でも、少し汗の匂いがしてなんか良かった思い出が…
「そんな事はどうでも良いだろ! 姉ちゃん! 今、好きなヒトだ! こう、恋愛とかの対象になるようなヒトはいてないのか?」
あぶねぇ、あぶねぇ… 昔の思い出にどっぷり浸かっちまう所だったぜ…
「ん? 今か? うむ… そうだな… うん、全くいないな! さっきも言ったが、お前が一人前になるまでは、どうもそういう気になれんのだ」
なんか、全くいないと言う答えは予想していたが…
だけど、その原因が俺にあるっていうのが、何とも言えん
…………………
どうも、代り映えがしない挨拶しかしないマサオです
今、俺はギルドのとある応接室に来ている
何故なら、俺は仕事を終えたからだ
ふふふ… お前ら気が付かなかっただろう?
実は昨日、姉ちゃんから聞いた話こそ、前に言われた個別依頼の内容だったのだよ
すぐに気がついた奴! えらい!
気がつかなかった奴… 次回頑張ろう!
でだ、今秘密結社AFCのマスターさんに報告に来たのだが…
相も変わらず、マスターさんはフルフェイスの鉄兜を被っていて顔が解らん
声で男っていうのは解るが…
いや、そうじゃなかった…
どうして、この部屋にこんなにも人が集まっているんだ?
人口密度高すぎだろ!
しかもだ、全員仮面を被ったりして顔を隠している
ん? 何人かは仮面ではなく、その辺の袋に目をくり抜いて被ってやがる
だけどなぁ、言いたくはないが顔を隠してもなぁ…
お前ら全員来ている服で誰だか解っているからな!
明らかに、さっきまでいた冒険者のオッサン共や、小僧ども…
更にはビキニアーマーみたいなけしからん装備をしている女戦士に、いつも姉ちゃんに付き纏っている女冒険者共!
そして… お前らだ! お前ら!
いつも、俺を小馬鹿にしているギルドの受付共!
お前ら本当は、正体隠す気ないだろ!
…いかん、冷静にならなければ
俺はそっと紙をマスターさんの前に差し出す
その意図をくみ取ったのか、マスターさんは黙って紙を眺めている
「では、この紙に今回の依頼の結果が載っているわけだな…」
この中で唯一正体がはっきりとしないマスターさんが紙を手に取る
そして、手にとった紙をゆっくり開けて眺めている
「む… なんと…」
なんとも言えない声でマスターさんが呟いた
「まぁ、解った。 では約束の金だ… 受け取れ」
う~ん… 余り適当な事を書いてもなんだかなぁ… って思ったから、俺には珍しく忖度無しに正直に書いて渡したのだ
まぁ、マスターさんも紙の内容に納得して、俺も金を貰ってお互いWINWINって奴だよな!
俺は7枚の金貨をポケットにしまい、応接室から去った
その後、応接室の方から何人もの大きな声が聞こえてきたが、俺には関係ない
ん?
依頼の内容と紙に書いた内容だって?
それはな、姉ちゃんの思い人の有無についてだ
だから、俺は正直に『該当者無し』って書いて渡したぞ
流石に、『ケロッコリン』とは書けないからな…
…………
こんにちわ マサオです
あれから数日が経ちます
それで今、俺は冒険者を未だしています
でもね… 今は冒険者稼業をしつつ良いバイトもしているんですよ
いやぁ~、やっぱり勤労は尊いですねぇ
人の為に汗を流し、感謝される
うん、仕事はとっても良い事です
「あ… あのぉ… 礼のアレ… 手に入りましたか?」
お! バイトの時間かぁ
よしよし、カモが… いや、お客様がやってきましたよ
「ええ、しっかりと入手しましたよ。 いやぁ、アレを手に入れるのは大変でしたよ」
俺はカモ… ではなく、お客様と早速交渉を開始
「確か銀貨5枚と聞いたのですが…」
目の前のお客様が俺に尋ねてくる
「えぇ、本当なら銀貨8枚ですけど、お客様は初回なので銀貨5枚で結構です」
そう言うと、客は周囲を気にしながら銀貨5枚を渡してくる
しっかりマネーの枚数を確認した後で、俺は袋に入れたアレを客に渡す
すると、客はこちらの事など気にせず、袋を抱えそそくさと何処かへ走り去っていった
すると今度はギルドの受付の女から声が掛かる
「ちょっと、月契約の件。大丈夫なのよね? 昨日、銀貨1枚払ったのよ」
ふふふ… これもビジネスだからな…
「あぁ、ちゃんと約束したじゃないか。 だから今もお前の所に来てただろ」
俺は不敵な笑みを浮かべ、受付の女に答えてやる
「まぁ、確かに来て下さったわよ… 今月は必ず来てもらってよね」
良いねぇ! 良いねぇ! こうやって、こいつらが俺の思惑通りに… いや、対価を貰っているからには誠実にビジネスをしないとな!
うん、契約事項はしっかりと守るのがマサオ流ビジネス!
信用第一! 信用はプライスレス
「おぃ、マサオ、そんな所で何をしゃべっているんだ? さっさと行くぞ!」
おっと、俺の金ずる… いや、姉ちゃんが俺を呼んでいる
てことで、バイトは中断!
本業に戻らないと…
ふふふ… ビジネスチャンスっていうのは、日々の生活を送っていると必ず訪れる
それを気づくか気づかないかの差
ただそれだけだ
で、俺は気づいたんだよな…
姉ちゃんの事を商売にするって事でマネーが寄ってくるって事に!
………
「よし、こんなもんだろう… これで粗方片付いたはずだ」
はい、マサオです
只今、ギルドから請け負ったモンスター討伐の依頼を達成
達成したのは良いが… 雑魚モンスターを狩るのに緑豊かな草原が、焦土になっている
それもこれも全ては姉ちゃんの仕業だ
「サーチ アンド デストローイ」
とか叫びつつ、相も変わらず無表情で殺戮しまくっていたな
まぁ、依頼は達成したのだから、後の事は他の奴らに任せよう
俺は、姉ちゃんが倒したモンスターの慣れの果てを回収
回収といっても体の一部を剥ぎ取るだけだ
うん… 原型がもう解らん
かなりグロい光景…
最初の頃は気持ち悪くて触れなかったが、今では平気になったぞ
「うん、回収も済んだようだな! マサオ、帰るぞ!」
そうだな、姉ちゃんの言う通りビン・ギニングの町に帰るとしようか…
「って、マサオ… お前ってこんなにも綺麗好きだったか?」
ん? どうしたのだ? 姉ちゃんが俺の事をマジマジと見ているが…
俺が不思議そうに姉ちゃんを見てると、姉ちゃんから質問される
「いや、ここ最近、マサオ… いつも仕事が終わると靴下を履き替えているが…」
あぁ、この事か…
実は、この靴下が物凄くいい仕事をしてくれるからな!
俺は適当に誤魔化し、脱いだ靴下を袋に包んだ
………
どうも、場面転換ごとに挨拶を欠かさずにする律儀な男 マサオです!
今、俺はギルドに戻ってきている
「よし、今日も受付には私が報告をしといてやろう」
姉ちゃんがいつもの様にズカズカと受付の方に歩いて行く
「おっと! 姉ちゃん! そっちの窓口は止めておいて、こっちの方に並ぼうか!」
俺は、姉ちゃんが勝手に空いている窓口へ行こうとするから、慌ててちゃんとした方の窓口へ誘導
「いや、マサオ… そっちの方が空いているではないか!」
空いている方に座っていた窓口の受付が俺の事を鋭い目つきで睨みつけたが、そんな事気にしない!
だって、お前は俺に金を払っていないのだからな!
俺は姉ちゃんに適当な事を言い、なんとか納得させる
姉ちゃんの並んでいる列は、あれよあれよと言う間もなく前の人が捌かれている
うわっ! この列を担当している受付の奴… めちゃ適当に仕事してやがるぞ!
んで、姉ちゃんの番が回ってきた
「あ… アリサ様… クエスト終了お疲れまでした」
…なんだコイツ
他の奴らにはめちゃ塩対応してた癖に…
なんか、物凄く馴染んで世間話とかしはじめたぞ
仕事はどうした仕事は!
ちょっと、茶まで出してきやがったぞ
ううう… 仕事だから仕方ないけど、後ろで待っている奴らには… 全く罪悪感を感じないYO!
だって、金貰っているし、お客様からは喜ばれているみたいだし
良い事してるね! 俺!
客じゃない方の受付の奴… くくく、ざまぁみろ!
そっちに冒険者共が流れて仕事が盛りだくさんになっていやがる
ちょくちょく俺を睨みつけてくるが、そんなの知らんよ
それがお前の仕事じゃねぇか
「おぃ、マサオ! 待たせてすまなかった。 では宿に帰ろうとするか」
お、話を切り上げ、姉ちゃんがこっちにやって来たな
客の方の受付の奴はまだなんか話したそうにしているが、今月の間は幾らでもチャンスはあるから安心しろ
俺は客に対しサムズアップをし、安心させる
そんな俺に対し頷いて答えを返してきた
「あ、姉ちゃん。 俺、別件で用事があるから先に宿へ行ってくれ。 俺も用事済ませたらすぐに帰るから」
そう言うと、不思議そうに俺の事を見ている
しかし、どうでも良いのかギルドから立ち去って行った
姉ちゃんが立ち去った事を確認!
よし、本日のメインイベントをしようか…
俺はギルドのロビーにテーブルを置いた
テーブルの上にクエスト終了するまで履いていた靴下を置く
更に、懐からは水の入った怪しい小瓶も置く
準備は整った…
「「「お前ら! セリを始めるぞ!」」」
俺はギルド中に響き渡る様に腹の底から声をだす
「うぉぉぉおおおお! 待ってました!」
「今日こそ、アレを手に入れるわよ!」
俺の声に感化されるかの様に、ギルド中が騒がしくなった
ふふふ… 皆の勢いも良い調子だ…
こりゃ期待できるな
「さぁ、最初はこれだ!」
俺は手にクエスト中に履いていた靴下の片割れを手に取り叫んだ
「今しがた手に入った、脱ぎたての靴下! しかもクエスト中に履いていた一品だ!」
周囲から歓声が聞こえる
「俺の姉ちゃん… いや、アリサの脱ぎたてホヤホヤ、仕事中に染み込んだ、汗と匂い付きの一品だぜ!」
キャァァアアアアアアア
もう、声にもなっていない奇声がギルド中を覆っていた
「では、大銀貨1枚からいってみようか!」
さぁ、セリの開始だ!
ふふふ、こいつらこの靴下が姉ちゃんの履いていたやつと勘違いしてやがる
俺が履いていたやつなんて全く思ってもいないよな
といっても、俺と姉ちゃんが使っている石鹸とか全く一緒だし、食っているものも、ほとんど一緒だ!
だから、俺の匂いも姉ちゃんと大した違いはないはず
まぁ、こんな靴下が何に使われるかは想像したくないが、手にするマネーは変わらんから全く問題ない
おっと、そんな事考えていたら、あれよあれよと大銀貨8枚にまで値段が上がっていたぞ
こんな物に大銀貨8枚(8万円)も出すなんて… こいつら馬鹿だよな…
元値は、そこいらの雑貨屋から銅貨1枚(100円)で買ったものだ
うん、ボロい商売だ
んで靴下2足分のセリが終わってみると、金貨3枚と大銀貨5枚(約35万円)が俺の手元に転がり込んできやがったぜ!
ウヒャヒャヒャヒャ! こいつらチョロすぎる!
「よっしゃぁ! アリサ様の匂いが俺の物! これ、寝るときにスゥーハァーするぞ!」
「やったわ! セリ落としたわよ! これでいつでもクンスカできる!」
うんうん、俺の履いていた靴下を好きに使ってくれ
だが、ここで気を緩めてはいけない
次が本番なんだからな!
ふふふ… お前ら… これを見たら絶対に欲しがるだろう…
さぁ、叫べ、喜べ、歓喜しろ! そして、俺にマネーを!
「では、次に行くぞ」
俺は少し静かな口調でみんなに伝える
辺りがさっきとは打って変わって静まり返る
「次が、本チャンだからな… お前ら、この小瓶なんだかわかるか?」
会場(冒険者ギルドのロビー)にいる皆がテーブルの上に置いてある無色透明の液体が入った小瓶に注目している
「これはなぁ、姉ちゃん… いや、アリサが入っていた風呂の湯だ」
俺は周囲に目を配らせながら更に説明を続ける
「てことはだ… アリサの成分がふんだんにこの湯の中に染み込んでいるって訳だ! さぁ、アリサの出汁! 金貨3枚からいってみようか!」
俺が説明を終えると、周囲の空気が変わった
さっきまでは熱気に包まれ、少し冷め初めたと思ったが、狂気を帯びた物々しいものへと変化する
「ぐぉぉぉおおおお! 欲しいぞ! アリサ様成分配合の奇跡の水!」
「絶対、私は勝わ! 何としてでもセリ落とすのだから!」
良いですねぇ… 非常に良いですよ!
こいつらには、ああ言ったが、この水って、俺、マサオ成分配合のお湯だからな…
まぁ、只のお湯でないだけ、俺にも良心があるってもんだ
そんな事とは全く知らず、このボンクラ共は勝手に熱くなっているな
「金貨7枚だ!」
「こっちは金貨9枚よ!」
「なら大金貨1枚」
ケケケケケ! もう笑いが止まらん!
そうこうしているうちに、アリサ(本当は俺)成分配合のお湯は大金貨2枚と金貨4枚(240万円相当)で落札された
うん、次回はもっと過激な物を用意してマネーを回収しないといけないかもしれんな!
因みに落札したのは、さっき俺を睨みつけていた受付の女だ
「ふふふふふ! これの為に、私はアリサ様1か月専属券を放棄し、脱ぎたて靴下を買うのも我慢したのよ!」
うん、次に用意する過激な姉ちゃんグッズもこいつが落札しそうだな
「これ、半分飲んで、アリサ様と一緒になるの… 心も体も… そして、残り半分を全身に塗って、私もアリサ様みたいになってみせるわ!」
…うん、それってつまりは俺みたいになってしまうって事だよな?
まぁ、使い道なんてどうでも良いけど…
だけど、たったこれだけの短時間で大量のマネーが俺にやってきたわ
もっとマネーをこの愚民共から回収しないと、マネー達が可哀そうだな
そう、俺はマネーをアホ共から助けなければいけないという崇高な使命があるのだ!
こうして、俺はこの想いを胸に秘め、その場を去った
………
ヨッ オラ マサオ!
てことで定例の挨拶終了
今、俺はマッドなサイエンティストのボンクラッティの家の前にきているぞ
もちろん姉ちゃんも一緒だ
本当は来たくなかったけど、仕事だから仕方ない
一応、本業もしっかりしておかないとな!(そうしないと姉ちゃんに何されるか解らん)
さて、今回の依頼はボンクラッティが作った魔法人形の耐久テストだ
「では、アリサさん。 このゴーレム1型『勤労3号』と戦ってくれ」
俺らは、ボンクラッティの家の裏庭でお仕事中
この裏庭って、以前俺が生えていた所だ
しかも、俺が生えていた付近だけ、今も妙に草が生えている
「ん? 本当に良いのか? 壊してしまうかもしれんぞ」
姉ちゃんが無表情で、依頼主のボンクラッティに確認をとっている
…って、このゴーレム1型『勤労3号』って、なんか見た事あるかも
うん、あれだ… 全体的に四角いその出で立ちは、俺の宿敵『ラスボースン』と似ているな
確か… 『ラスボースン』って姉ちゃんのせいで潰されちゃった様な…
因みに『ラスボースン』と俺の熱いバトルが知りたい奴は、第1話を見ると良いぜ!
「あぁ、良いぞ! 壊せるなら、徹底的に壊して貰っても良い。 ただ、その後で感想を聞かせて貰えたら助かる」
お、姉ちゃん! 破壊許可が降りたぞ!
「ふむ、なら…」
あ・・・
「あっ…」
「へ?」
うん、この場に居てる3人とも同じ感想に至ったな…
なんか勝手に『勤労3号』は壊れちゃったよ
綺麗に粉々になってしまって、そこいらに破片が散乱しちまっている
俺、掃除とかしないからな!
「まさか、軽く蹴りをしただけなんだが…」
姉ちゃんが無表情ではあるものの、なんか困った顔になっている
てか、今もその場で軽く蹴りを繰り出しているのだが…
いや、姉ちゃん… それだよそれ… 原因は姉ちゃんだな!
だって、蹴りを1回繰り出すごとに、轟音と共に周囲に衝撃波を放っているからな…
たぶん、この衝撃波が原因で『勤労3号』は木っ端みじんになっちまったんだろう
因みに、ここって剣と魔法のファンタジー世界だよな?
どうして、格闘漫画の世界になっているんだ!
「すまん… 感想は… 思いつかん… 本当に申し訳ない」
余りにもあっけない結末に、ボンクラッティの目が点になっていた
しかし、眼鏡を掛け直しボンクラッティは勤労3号であった部品の一つ一つを注意深く見ている
んで、壊した当の本人も何故か、ボンクラッティ同様、部品の一つ一つを見ている
「姉ちゃん! もうクエスト達成したんだから、報告しに行こうぜ」
俺は、破壊屋アリサに声を掛ける
「……」
俺の声が聞こえていないのか、未だ地面に転がる破片を見ているぞ
まぁ、いっか、俺一人でギルドに戻って報告しよう
んで、姉ちゃんが居ない間に、バイトもしないとな…
貴重な時間を、この作品に費やして下さり感謝しています
色々と読みにくい箇所がありますが、そこはスルーして貰えれば嬉しいです
最後にもしこの作品が良ければコメント頂ければ励みになります