レイド戦。
最後の死闘──レイド戦
大地を削り取る砂塵竜巻
黒衣が剥ぎ取られる風圧
誰も討伐し得なかった暗黒世紀
HP2億5000万の傀儡
星の化身 神々の堕天
それらが数多
浴びれば瀕死 触れれば即死
千手の観音
暗闇の雲間から逆さまに覗く神々の巨頭
開眼の光はあの世とこの世を焦がして
新しき魔物を未曾有に生み出す遙かな時の地平線
気が遠くなる
どの道 全ての存在は消え去る
なのに、何処から集まったか最後の勇者が180人。
逆転を信じて。
どうやら、俺もその一人。
一介の魔導師として最期の魔力を骨張った指先に
託す祈り 赤い魔石 懐に抱いて
『なんのために戦うんだろうな』
『何言ってるの? 今さら?』
気丈に振る舞う我が相棒
冒険紹介所で見つけた俺の欠片
惚れた俺の思い込み
見惚れる背中の白肌に 輝く伝説月刃
未だ触れられない腰 ぶら下がる三日月大剣
可憐な相棒の女魔剣士
二刀流。ただの片想い。
美しい金の髪の先端が流れ落ちる胸の谷間
命より大切な光玉 相棒の誕生日に贈った
『俺はお前と生きたかった』
『何? 求婚のつもり?』
煌々と大地を照らす烈炎の先端
相棒の言葉を聴く最期
文字通り、終焉。
視線の先に零れ落ちる欠片の胸の鎧
白く輝く双肌がたわわ 触れられない
昂ぶり隠せない俺の魔力
最後の死闘──レイド戦
焼け焦がれそうな視線を意識の外にやれば
遙か夜空の水平線に輝く未知なる指環の輝き
彼方の魔法光陣
漆黒を焦がす昇炎の輝き
惑星に召喚された蠢く神々が複合合成化
先陣の勇者たちが死んではデスペナルティ
蘇生を繰り返すも魔力終息
魔法自体が、この惑星の生命そのもの故に幽玄
狂ったこの惑星は照らす
最期の時間を地表に降ろす
星々が赤く降る雷鳴と轟音の衝突
薙ぎ払われる全てが
人の肉を血切る
神々と精霊たちを多次元から呼び覚ます星の終焉
混沌から生まれし者たち
望むのは無より遥か空の果て
『行ける?』
『あぁ……』
浮かび上がる暗闇に相棒の横顔
惚れた女
蜃気楼の果て
夜空に昇る竜雲
俺の魔力
星々を消す
極光の雷轟
僅かな瞼を開くと地表を埋めた
赤黒い業火 巨神たちが吐く
この惑星の命運
『どうせこの星も俺たちも死ぬ。神々を遺して』
『まだ言う? 目の前でたくさんの人たちが死んでるのに?』
もしも願いが叶うなら
俺が相棒の盾になろう
この惑星の魔力が終わりを告げる時
全ては星もろとも砕け散るだろう
最期の魔力──
──『転生の秘術』。
保険に掛けといたよ
地球で生まれ変われるように
君と
俺と二人
愛するなら
どの道 君を守って……。
『エリック!!』
『生きろ!! 生きるんだ!! エリーナ!!』
最期の光。
惑星の大爆発で全てが消え去る。
神々の思惑通り
輪廻転生が再び時を連ねる
もしも、そこで会えたなら。
僕はまた、君と──今とは違った人生を歩めたのかも知れない




