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【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~  作者: シオヤマ琴
第五章 希望

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第95話 心変わりの種

筒井太一はどうやら北原すみれに一目惚れしてしまったようだった。

俺とメタムンのことなど眼中にないのだろう、

「お願いだっ。おれと付き合ってくれっ!」

筒井は北原すみれの手を握り締め声を大にする。


一方の北原すみれは、

「い、嫌ですっ……て、手を放して……くださいっ……」

困惑しながらもそれを断っていた。


『ねえ、善。助けた方がいいんじゃない? すみれ、嫌がってるよ』

「あ、ああ、そうだな……」

正直全然気が進まないが、このままでは話も進まないので仕方なく俺は二人の間に割って入ることにする。


北原すみれの手を握っている筒井の腕を掴む俺。

「嫌がってるから放してやってくれ」

「な、なんだよ。邪魔するなって。今おれは愛の告白をしているんだぞっ!」

「いや、でも、嫌がってるし」


俺は無意識のうちに腕に力を込めていたようで、

「い、いててててっ……! は、放せっ! 放してくれっ!!」

筒井が急に痛みを訴え出した。

筒井の手が離れ自由になった北原すみれは俺の後ろに身を隠す。


「あっ、悪い」

「くっそ、いってーな、このやろーっ、くそっ、いてててて……」

「わ、悪かったって。言っとくけどわざとじゃないぞ」

「ふざけるなっ! もういいっ! お前たちの頼みなんか聞かないからなっ! さっさと出てけっ!」

「いや、ちょっと、待てって……」

「うるさいっ!」


逆ギレした筒井に俺たちは小屋の外へと押し出されてしまった。

もちろん抵抗して小屋の中に居座ることも出来たが、そんなことをしても筒井の気持ちまでは変えようがない。

筒井が蘇生呪文を使ってくれない限り、北原たちは生き返ることが出来ないのだから。


「ど、どうしよ……」

「……す、すみません……わ、私のせいです……」

「今さらレベルを分けてやるって言っても無理だよな……」

「……わ、私が、つ、付き合えば……」

『おいら、よくわかんないや』


小屋の前で立ち尽くす俺たち。

どうしようも出来ず、ただ時間だけが過ぎていった。

とそこで俺はあることに思い至る。


「あっ、あれを使えばなんとかなるかもっ」

「……?」

『善、あれって何?』

「えっと、前に手に入れていたアイテムで心変わりの種っていうのがあるんだけど、それを筒井に飲ませれば気が変わるはずだ。多分な」

『あー、あれか。マインドバードを倒した時に手に入れたやつだねっ』

「ああ」


とはいえ、人の心をアイテムで操作してしまうのはどうなんだろう。

それではやってることは広本と変わらないのではないか。

俺は心の中で葛藤する。

だがそんな俺の気持ちを察してか、背中を後押ししてくれる者がいた。

それは北原すみれだった。


「や、やりましょう……だ、大丈夫です、こ、これは、人助けのためですから……か、神様もきっと、ゆ、許してくれますよっ……」


さらにメタムンも、

『善っ、みんなを生き返すんでしょっ!』

俺に檄を飛ばす。


「あ、ああ……そ、そうだな……よし、やるかっ」


こうして決意を固めた俺はこのあと小屋のドアをノックし、出てきた筒井の口に心変わりの種を投げ込んだ。

そして心変わりの種の効力により、見事筒井の協力を得ることに成功したのだった。

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