第91話 コカトリスゾンビ
昼食をすませた俺とメタムンと北原すみれは筒井のもとへとただひたすら歩く。
死神のデスサイスの効果で今は北原たちの遺体は腐敗する様子はないが、もしかしたらその効果が切れてしまうかもしれない可能性を考慮して俺たちは先を急いでいた。
その道中、二体のコカトリスゾンビが俺たちの行く手を塞いだ。
コカトリスがゾンビ化したモンスターで、コカトリスの上位互換のモンスターでもある。
「二人は隠れててくれっ」
俺はとっさに指示を出す。
それを受けてメタムンと北原すみれはそれぞれ木の陰と岩の陰に身をひそめた。
コカトリスゾンビ。
コカトリスと同じくその唾には石化作用がある。
俺は過去にコカトリスの唾に当たって石になってしまったことがあるが、そんなヘマは二度としない。
『グェェッ!』
『グェェェッ!』
締まりのない顔に締まりのない鳴き声。
しかし俺は一切油断することはなくコカトリスゾンビたちの背後に回った。
『グェェッ!?』
『グェェェッ!?』
俺の姿を見失ったことでコカトリスゾンビたちが首をきょろきょろさせる。
「遅いっ」
俺は一体のコカトリスゾンビの尻尾を掴むと、それを持ち上げもう一体に思いきり叩きつけた。
『グェッ……!』
『グゥェッ……!』
コカトリスゾンビの頭部同士が激しくぶつかり合い、中から脳しょうが噴き出る。
ただでさえにおいのきついコカトリスゾンビがより一層醜悪なにおいを放ち出した。
しかしさすがゾンビというだけあって、脳を破壊されたのにまだ戦意を失ってはいない。
コカトリスゾンビたちはふらふらになりながらも、俺を見据えてくる。
『グ、グェェッ!』
『グェェェッ!!』
そして最後の手段とばかりに俺めがけ唾を吐き出してきた。
二体のコカトリスゾンビが吐き出した唾が目の前に迫ってきて――
「ハイランド!」
俺は岩石創生呪文で創り出した岩石でこれをガード。
『グェェッ!?』
『グェェェッ!?』
虚を突かれているコカトリスゾンビたちに一足飛びで近寄ると、
「終わりだっ!」
手刀でもって二体の首をいっぺんにはね飛ばした。
どさどさっと地面に落ちるコカトリスゾンビたちの首。
その直後、コカトリスゾンビたちの死骸が消滅し、
ピピー、ピピー、ピピー!
俺のスマホが戦闘の終わりを告げたのだった。
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