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第90話 バーベキュー

「お待たせ」


洞窟に入ってからおよそ一時間後、俺は一人洞窟から抜け出た。

洞窟の入り口付近でバーベキューをしていたメタムンと北原すみれに声を飛ばす。


『おかえり、善っ』

「ああ、ただいま」

『魔力草は手に入ったっ?』

「ばっちりだ。充分すぎるほど手に入れてきたぞ」


メタムンと会話を交わしていると北原すみれがそわそわしながら口を開いた。


「あ、あのっ……お、お昼ご飯には、まだ早いと思ったんですけど……メ、メタムンさんが用意しておこうって……」

「あー、そうなんだ。まあ、いいんじゃない、少し早いけど昼食にしよう」

「は、はいっ……」

『おいらお腹ぺっこぺこっ』

朝食からまだあまり時間が経っていないのに、メタムンはもうお腹が減ってきているようだ。

燃費の悪い体だな。



☆ ☆ ☆



いい感じに焼けた肉と野菜に舌鼓を打ちつつ、俺はスマホの画面でアイテムを再度確認していた。

これまで持っていた分とさっき手に入れた分を合わせると、魔力草は合計で124個。

魔力草は食べるとMPを約200回復できるので、1個につき蘇生呪文を二回唱えられる計算だ。

これを蘇生呪文を覚えているという筒井に食べてもらえば、死んでいるみんなを全員生き返すことが出来るというわけだった。


『なに難しい顔してるのさ、善っ。せっかくの食事なんだからもっと楽しそうにしようよっ』

「ん、あ、ああ、そうだな。悪い」

考え事をしていたせいで険しい表情になっていたらしい。


『すみれもだよっ。そんな暗い顔してないで明るく明るくっ。笑おう、ねっ!』

「あ、は、は、は、はいっ……」

メタムン、北原すみれにそれは酷というものだろう。

ただでさえ俺と似たようなタイプの性格なのに、その上今は姉である北原が死んでしまっているのだからな。


だが北原すみれは俺の予想に反してメタムンに言われた通りに笑おうとしているようで、口元をぎこちなく動かして無理矢理笑顔を作ってみせた。

「……ど、どう、ですか……?」

どうですかと言われても慣れない作り笑顔で顔がこわばっていて、笑っているのにかなり不気味だ。

俺も笑顔の時にああなっているのかと思うとぞっとする。


『いいじゃん、いいじゃん! すみれは笑顔の方がずっといいよっ。おいらはそう思うなぁっ』

「え、そ、そ、そうですか……」

『うん、そうだよっ。ねっ、善っ?』

あろうことか答えにくい質問を俺に振ってくるメタムン。

余計なことを。


『善だって、すみれは笑顔の方がいいって思うでしょっ?』

「いや、そんなことはない。その笑顔は不気味だ」などと言えるはずもなく、

「あ、ああ、そうだな。うん、笑顔の方が似合ってるんじゃないかな、うん」

ととりあえず話を合わせておいた。

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