表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~  作者: シオヤマ琴
第四章 岐路

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/109

第86話 処遇

「僕を殺すかい?」


手足を縛りあげられた米村が涼しい顔で俺を見上げる。

そんな米村は無視して俺はメタムンのもとへと歩を進めた。


「メタムン、大丈夫か?」

『問題ないってば。心配性だな、善は』

「そっか」


俺はメタムンから視線を上げ正面に立つ女子学生に声をかける。


「メタムンを助けてくれて本当にありがとう。一時はどうなることかと思ったよ」

「い、い、いえっ……全然気にしないでくださいっ……そ、それより、姉のことを頼んでいたのに、勝手に行動しちゃってて、す、すみませんでしたっ……」

と北原すみれは相変わらずのようだ。


そう。先ほどメタムンを助けてくれたのは北原すみれだったのだ。

認識阻害呪文で姿を消して米村からメタムンを救い出してくれたのだった。

その呪文も今は効果が切れている。


北原すみれは姉である北原奏美が米村によって殺されたことはまだ知らないのだろう。

一刻も早く教えるべきなのだろうが、今は米村の処遇をどうするかが問題だ。


俺はメタムンと北原すみれを置いて、米村のもとに戻る。


「僕を殺すかい?」


米村が再度問うてきた。


「そうしてやりたい気持ちはなくはない」

「ふふふ、そうだろうね。きみのおそらく唯一の女性友達である北原さんを殺されてしまったんだからね、そう思うのも当然だよ」

そう言った米村の声が北原すみれには届いていなかったようで俺はホッと胸をなでおろす。


「でもきみには無理だよね。だって僕を殺したらそれこそきみが殺人犯になってしまうんだからね」


そうなのだ。

モンスターは嫌というほど殺してきたが、それはあくまで相手がモンスターだったからでしかない。

人間を殺したら当然殺人罪で罰せられる。ここが日本じゃないとかそんなことは関係ない。

いや、そもそもこの【魔物島】が仮に殺人罪などが存在していない惑星にあるとしてもだ。

俺は人を殺すことなど到底出来ない。


とはいえ自由にするわけにもいかない。

この米村は死神のデスサイスによって、百人以上の人の魂を奪ってしまったのだから。


「僕を殺す気がないのなら解放してくれないかな? それともずっとこのままかい? このまま放っておかれて僕がモンスターに殺されたり、お腹が空いて餓死したらそれは善くん、きみの責任だよ」

「……」

「僕は心を入れ替えるよ。もうひどいことはしない。天に誓う。だから見逃してくれないかな?」

米村は俺の心を見透かしたかのように語りかけてくる。

こう言えば俺の心が揺らぐだろうとわかっていて口にしている。


「仕方ないか……」

俺は気が進まないがある方法にすべてを託すことにした。


「ん? 見逃す気になったかな?」

「いや……見逃したりはしないよ。でも殺しもしない……というか正直どうなるか俺もわからないんだ」

「うん? 何を言っているんだい? 善くん」


俺は右手を伸ばすと、

「ダークホール!」

と唱えた。

刹那、ブラックホールのような漆黒の球体が現れる。

そして、

「うおっ? な、なんだいこれはっ!?」

近くにあるものを吸い込み始めた。


米村があっという間にそれに飲み込まれていく。

「ぐ、ぐあぁっ、ちょ、ちょっと待ってくれ、た、助け――」

最後の最後には助けを請うていたようだが、時すでに遅く、米村は俺にすらわからないどこかへと消えていってしまった。

ブクマや評価、感想ありがとうございます!

これからも応援よろしくお願いしますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] すみれかよ ☆\(゜ロ゜ ) そうだ、確かにすみれもステルス能力だったなw すっかり忘れてた え、じゃあ小人の彼はもう出てこないのかな? [一言] このまま解放はないとは思ったけど、 予想…
[一言] いや、これで自分は殺したわけではないって自己認識を誤魔化すわけ?なんかもう卑怯だわ 妹も姉を殺されてるのに普段通りなのが怖いし
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ