第81話 死神のデスサイスの行方
「梶谷っ……」
「へっへっへ。やったぜっ、おれの閃光呪文がこんなところで役に立ちやがったぜっ!」
梶谷は高笑いを浮かべつつ、俺を見下ろして言った。
「お前、レベルが高いからって油断してただろっ。それがあだになったんだぜっ、馬鹿がっ!」
閃光呪文……うかつだった。
まさかそんな手を隠していたなんて……。
「梶谷、あとでおれにも貸してくれよなっ」
「おう、おれが使ったあとでなら貸してやらぁっ」
「サンキュー、梶谷っ!」
などと笑い合っている梶谷と深町。
それを遠巻きに眺めている奪いそこなった連中。
俺は米村さんに申し訳なく思い、
「す、すみません、米村さん、俺……ってあれっ?」
振り向くと米村さんはいなかった。
と次の瞬間、
「はぁっ!」
米村さんがミニマムソードで梶谷が手にしていた死神のデスサイスを弾き飛ばした。
「米村さんっ!」
「なにっ!?」
「てめぇっ!」
カランカランッ。
死神のデスサイスが地面を転がる。
それを見たそこにいた者全員が、死神のデスサイスめがけて我先にと一斉に飛びついた。
それはもう一瞬の出来事だった。
――そして、死神のデスサイスを掴み取ったのは、
「やったよ、善くん」
そう。
米村さんだったのだ。
「米村さんっ、やったっ」
だが、俺が喜んだのも束の間、今度は米村さんの持つ死神のデスサイスを奪い取ろうとほかの連中が動き出した。
「米村さん、逃げてっ」
「逃がすかよっ!」
「返せ、この野郎っ!」
「そいつを寄こせっ!」
「おれのもんだっ!」
いくら米村さんが強いといっても大勢に飛びかかられてはひとたまりもない。
俺は米村さんの身を案じて大声を上げた。
「米村さぁんっ!」
するとその直後、俺の目に信じられないものが映った。
米村さんに一番に飛びかかっていた深町が、米村さんが振るった死神のデスサイスによって地面に倒されたのだ。
「よ、米村さん……?」
俺は一瞬何が起こったのかわからなかった。
それは周りにいた者たちも同じだったようだ。
しかし梶谷だけは違った。
梶谷は深町がやられたことに怒り、米村さんに持っていた剣で斬りかかった。
「よくも深町を――」
「邪魔だよ」
そんな梶谷を米村さんは眉一つ動かさずに涼しい顔のまま、死神のデスサイスで斬って捨てたのだった。
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