第46話 一通のメール
その時は突然訪れた。
俺がマンイーターという植物タイプの大きなモンスターを倒したすぐあとのことだった。
・マンイーターを倒したことで2500の経験値を獲得しました。
・レベルが1上がり、レベル2000になりました。
ドロップアイテムの有無と新たな呪文を覚えていないかを、いつものようにスマホを見て確認していると、
ピピピピー、ピピピピー、ピピピピー!
聞いたことのない着信音がけたたましく鳴り響いた。
なにごとかと俺は画面を切り替える。
すると驚くべきことに俺のスマホにメールが届いていた。
メール機能はまったく使えなかったはずなのにメールをたった今受信したのだ。
俺は一瞬戸惑ったが、すぐさまそのメールを開く。
とそこには以下のような文章が並んでいた。
[このメールは【魔物島】の現参加者437名全員のスマホに一斉送信されました。
参加者の一人である柴木善がたった今レベル2000に到達しました。
よってここからはノーマルモードからハードモードへ移行します。
出現モンスターの強さがワンランク上がり、それと同時にモンスターの絶対数が増えます。
さらにモンスターのアイテムドロップ率もわずかに減少します。
そして参加者同士によるチャットでの連絡、ならびにこれまでの獲得経験値を消費することで【魔物島】に関するありとあらゆる情報を入手することが可能となります。
なお、総獲得経験値が最初に700万を超えた参加者一名には【魔物島】の攻略に非常に有利となるレアアイテムを贈呈します。]
「な……マジかよ、これ」
メールの文面には俺の名前がはっきりと載っていた。
これでは否が応でも目立ってしまうではないか。
しかもメールを読む限りでは俺のせいで状況が悪化したと考えられなくもない。
そう感じる人たちが出てきてもなんらおかしくはないぞ。
そう思った矢先、早速チャットを始める人たちが次々と現れだした。
そして案の定、俺のことが話題に上っていた。
《柴木善って何者なんだ?》
《レベル2000とかありえないんだけどっ!?》
《柴木善って奴のせいでハードモードとかになっちゃったぞ。おい! どうしてくれるんだっ》
《今以上にモンスターが強くなるとかマジで無理だよ~》
《責任とれよな、柴木っ》
どんどんと流れていくチャットの文字列を俺はじっとみつめながら、
「ヤッバ、俺が悪者になってる……」
顔から血の気が引くのを感じていた。