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【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~  作者: シオヤマ琴
序章 目覚め

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第22話 三つの呪文

俺が現在使える呪文は三つ。

呪文自体はレベルが上がった際に運がよければ覚えられるようだが、俺のレベルは757。

今までに756回呪文を覚えるチャンスがあったにしては、覚えている呪文がたった三つというのは正直言ってかなり運に見放されているような気がする。

北原すみれがレベル11で二つの呪文を覚えていたことから考えても、やはり俺は運が悪いのかもしれない。


俺が覚えている呪文の一つ目は以前にも説明したがキュアという回復呪文。

消費MP30であらゆる傷を癒すことが出来るというかなり便利な呪文だ。

もしこの呪文を覚えていなかったならおそらく今俺はここに存在していないだろう。

それくらいこの呪文には何度も窮地を救われている。

特にこの島に来た当初は、出遭うモンスター、出遭うモンスターが初めて見るものばかりだったので、それらの特徴や戦い方を学ぶまでに相当の時間を要した。

そのため必然的にダメージもどんどん蓄積していき、回復呪文がなければ俺はそうそうにこのデスゲームから脱落していたはずだ。


俺の使える呪文の二つ目はチャージというちょっと特殊な呪文だ。

というのもこの呪文は消費MPが0だからだ。

さらにこの呪文を唱えることで俺のMPが5だけ回復するのである。

つまりこの呪文によって俺は常にMPを全快にした状態にして戦いに臨めるのだった。

消費したMPはアイテムを使うか、寝て体を休めるかしないと回復しない。

しかし俺はこの呪文のおかげで回復呪文を制限なしに使うことが出来たし、それがあったからこそ多少の無茶も出来た。

レベルが上がりMPの最大値が400を超えた今では使う機会はほとんどないが、【魔物島】の探索を始めたばかりの頃はかなりお世話になったとても使える呪文だ。


最後に三つ目の呪文であるリリースだが、これはどんな呪文かというと――


『ギャアァァァァオッ!!』

『ギャァァァァォッ!!』

『ギャァァァァァーオッ!!』


海辺を歩いていた俺の目の前に海から三体のウォータードラゴンが一斉に現れた。

海水をまき散らし大きな咆哮を上げるその姿は圧巻の一言で、普通の人間ならばその場で腰を抜かして気を失うか、大絶叫とともに一目散に逃げ出すに違いない。


かく言う俺もレベル50くらいの時に海辺で一体のウォータードラゴンと出くわしたことがあるが、まったく歯が立たず退散した経験がある。

そんなウォータードラゴンが今俺の目の前に三体もそろっている。


ウォータードラゴンは俺がこれまで出遭ったモンスターの中でも一、二を争うほど大きく、また一、二を争うほど強い。

レベル757の俺でもさすがに三体を同時に相手にするとなると多少の怪我は覚悟せざるを得ない。


『ギャアァァァァオッ!!』

『ギャァァァァォッ!!』

『ギャァァァァァーオッ!!』


その圧倒的な強さに似合わずウォータードラゴンは海水のないところでは動けないようなので、逃げようと思えば誰でも逃げられるのだが、強い分倒した時の獲得経験値も多いため俺はもちろん逃げたりはしない。

とはいえ痛い思いをするのも嫌なので、俺はここで三つ目の呪文であるリリースを唱えることにした。


「リリース!」


そう口にした瞬間、俺の全身に力がみなぎってくるのを感じる。

とめどなくあふれ出てくるパワーに俺自身、身震いしてしまうほどだ。

この呪文は消費MP50で俺のすべてのステータスを三分の間だけ倍にするという身体強化の呪文で、さらに重ね掛けをすることも可能という、かなりイカレた呪文なのだった。


ただでさえとっくに人間離れをした強さを手にしていてどんなモンスター相手にも勝てる俺が、リリースを使って負ける道理はない。


「全部まとめて倒してやるっ」


『ギャアァァァァオッ!!』

『ギャァァァァォッ!!』

『ギャァァァァァーオッ!!』



――この直後、俺は襲いかかってきた三体のウォータードラゴンすべてを、右こぶしから繰り出される一撃で、見事一瞬のうちに返り討ちにしてみせた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 壊れてんなあ リリースの制限時間はどれくらいなんだ?
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