パイオーツ・モミ・シダキアン
俺は多分、閉じ込められたのだろう。今、自宅の地下室に居る。大人の秘密基地ってやつだ。1階から階段で下りてドアを閉めた時に物音がした。どうやら1階の段ボール箱が崩れて階段とドアの間にされる挟まったのだろう。ドアが開かない。頭を使え! どうやったら脱出出来る!? 音楽を大音量で流せば誰か気付いてくれるか? 隣には両親と姉が住んでる母屋がある。
俺はやってみた。音楽を最大音量で流す。よく考えたら防音設備だ。耳がキーーンとなっただけで意味はなかった。音楽を止める。どうしよう。今こそテレポやデジョンを唱えたい。
そうだ! 今は朝だ。飯は母屋で食べてる。飯の時間になれば助けてくれるだろう。俺は待つことにした。
ーー8時になっても助けが来ない。かみさんも居ないのに若くしてこんな家を建てるじゃなかった。あっ! 携帯電話! ポケットに入ってる! 助かった~。…………って電波が圏外。マジかー。一瞬喜んだ俺のバカ!
ーー9時。そろそろ助けが来てもいい頃だ。しかし、なぜ来ない? まさか遊びに行ってると思われてる!? どうすれば脱出出来る!? 万事休すか…………。
それにしても腹が減った。地下室には災害非常食が備蓄されてる。食っちゃう? 俺は棚から食料を取り出す。乾パンに水。最近流行りの水だけでピラフが作れるヤツも。俺は乾パンの蓋を開けて食べる。硬い…………そして美味しい。空腹は最高のスパイスだ。
ぐらっ………………ぐらぐらぐらぐらーー! 揺れ!? こんな時に地震かよ! 怖いよー。
揺れが収まった。体感では震度4~5弱ってところだ。死ぬかと思った。電気が通ってるのが不幸中の幸いだ。これで助けが来るといいが。
ガチャ。ドアが開いた。助けが来たーー! 姉ちゃんだ。姉ちゃんがドアを開けたーー!
「何やってんのよ、タケフサ。ご飯食べないの?」
「姉ちゃん、ありがと。地震は大丈夫だった?」
「ダメだったの」
「ダメ?」
「私、多分、死んでる」
「幽霊!? 姉ちゃん、嘘だろ?」
「本当よ。皆、死んじゃった」
「そんな…………」
「大丈夫。タケフサも連れていってあげるから」
死んだ姉ちゃんが近付いて来る。腰が抜けた。怖いよー。俺は目を瞑る。
「なーんてね。冗談よ、バカ」
「えっ?」
「幽霊がドアを開けれるわけないでしょ」
「脅かさないでよ。ただでさえ閉じ込められて心細かったのに」
「閉じ込められた? 段ボール箱が崩れてドアの前に散乱してたけど、押したら開いたよ」
「あっ…………中からは手前に引けば開くんだった」
「テンパり過ぎよ、バカ。新築に慣れなさいな」
俺は外に出る。街は無事のようだ。母屋も被害はない。俺は今、幸せだ~。