第39話・「異世界の図書館きた~~~~~~~~っ」
あの騒動の後、ミセリとアイリはルシアへの対抗策を考えると言ってお城に帰ってしまい、ヘルとリツカは2人で図書館に来ていた。
「来た。ついに異世界の図書館来た~~~~~~~~~~っ」
その、転生したことがある者なら誰もがあこがれるであろう『異世界あるある』にツカサは興奮を隠せなかった。
が、彼女はすぐにとてつもなく厳しい現実に直面していた。
本の数が多すぎるのだ。
魔導書だけでも専用の棟があり、呪い関係だけでも数万冊もあるのだという。
彼女はその中から目的の本を見つけるべくリツカと2人で捜し始めた。
が、あまりの数の多さに時間だけが過ぎていく。
「ごめんリツカ。こんなことに付き合わせちゃって」
ヘルは申し訳なさそうに謝るが、
「い、いえ」
リツカはヘルと2人だけでいられることが信じられなかった。
普段は自分も彼女も警護や取り巻きがたくさんいて、リツカは自分がヘルを独占しているかのようなこの状況が嬉しくて仕方なかった。
「う~~ん」
するとヘルは、椅子の背もたれに体重を預けるように背伸びをしながら、足を机の上に投げ出していた。
「へ、ヘル!?」
その、あまりにはしたない、いや、あまりに自由すぎる彼女の行動をリツカは半ば呆然と見つめていた。
一国の王女が、誰に見られているかも分からない公共の場所で、こんな格好するなどあり得ない話だった。
「だって疲れたんだもん。少し休憩」
「もうヘルったら」
〝カランっ″
その時、乾いた音が聞こえた。
そちらを見ると、リツカの鉛筆が机から落ちてヘルの方に転がっていくのが見えた。
「あっ!!」
彼女は机の下に潜り込むと四つん這いになり、転がる鉛筆をヘルが腰かける椅子の足元まで追いかけていった。
そしてそれを拾い、ふと視線を上げた彼女の目に飛び込んできたのは、足を揃えて机に上げたことでスカートが捲れて露になったヘルの脚の付け根の、〝つるつる″で〝ぷにぷに″の肉丘と、その真ん中を艶めかしく縦に走るスリットと、そのすぐ下で〝きゅっ″と萎むちっちゃなすぼみだった。
「!?」
そう。ヘルは今日も下着を身に着けていなかった。
そしていつも下着を身に着けていない彼女は、そのことをすっかり失念していた。
「リツカ、どうしたの?」
その声に、リツカは自分が息をするのも忘れて彼女のそこをガン見していたことに気付いた。
「い、いえ。なんでも・・・」
するとヘルが机から足を降ろし、机の下を覗き込もうと屈むのを見た彼女は、慌てて立ち上がろうとして机に頭を〝ゴンっ″と思いっきりぶつけていた。
「いったぁ~~~~~っ」
目から火花が散るほどの激痛と恥ずかしさと気まずさそこから出ようとする。
が、身体を低くした慣れない姿勢で、しかも大急ぎで出ようとした為にあっけなくバランスを崩し、前のめりに転がっていた。
「あぶないっ」
〝ガタっ″
鈍い音が図書館内に響き渡る。
が、リツカは無事だった。
彼女は板張りの床ではなく、弾き返さんばかりの弾力を持つ2つの膨らみに顔を埋めていた。
「大丈夫?」
そう言って優しく抱きしめられ、彼女は自分が顔を埋めているのがヘルの胸の膨らみだと気付いた。
そう、前のめりに転がりそうな勢いで飛び出したリツカは、机の下を覗き込もうとしゃがんだヘルの胸に飛び込む格好になり、ヘルも、尻もちをつきながらも彼女を受け止め、抱きしめてくれていたのだ。
その、埋まる顔を弾き返さんばかりの弾力と、生地越しに伝わる彼女の体温に、リツカは戸惑いを隠せない。
更に彼女は、右の膝頭にも何か熱くて柔らかいものが触れていることに気付いた。
そっと視線を下げると、右膝が、彼女の脚の付け根、つまりは股間に密着していた。
「!?」
右膝を通してヘルの、〝つるつる″で〝ぷにぷに″の双丘や、その真ん中を艶めかしく縦に走るスリットの切れ込みで〝ぷくっ″と膨らむちっちゃな新芽とそれを包む種皮、そしてそのすぐ下で〝ちょこん″と顔を覗かせる2枚の花びらの感触が伝わってくる。
そのあまりの衝撃に、リツカは1ミリも動けなくなっていた。
「あっ!!たんこぶできてる」
「え!?」
彼女にそう指摘され、それを確かめるべく頭を触ろうとするとするリツカを、
「触っちゃだめ」
ヘルはそう制していた。
「保健室にいこう」
「え!?で、でも・・・」
どうしても現状のままでいたいリツカは、なんとか知恵を絞り、
「あ、あの、これぐらいのケガなら、飛竜族の治癒力で治りますから大丈夫です」
そう返していた。
「え!?そうなの?」
「はい。だから、しばらくこのままでいてもいいですか?」
胸に顔を埋めたままそう言うリツカに、
「分かったわ。じゃあ、このままでいましょう」
ヘルがそう言って優しく抱きしめると、
「あ、ありがとうございます」
リツカはヘルに甘えるように、生地越しに伝わる膨らみの頂点で〝つん″と自己主張するちっちゃな蕾の感触を確かめるように頬を擦り付けながら、右膝を彼女の肉丘に更に押し付けていた。
どれくらいの時間が過ぎただろうか?
〝ご~~ん、ご~~ん、ご~~ん″
時計塔の鐘が鳴り響いた。
「時報?」
「お昼を知らせる鐘です」
「え!?もうお昼なんだ?お昼はどうしてるの?」
「お昼は学園の食堂で・・・」
「食堂っ!!」
「はい」
『異世界の女学園の食堂』
そのパワーワードにツカサが喰い付かないワケがない。
「そこって何が美味しいの?リツカはいつも何食べてるの?お薦めのメニューってある?」
あのあまりの興奮ぶりに、リツカは〝たじたじ″だった。
「ヘル落ち着いて。実は今、食堂はお休みで・・・」
「え!?なんで?」
「対抗戦の会場で両学園の食堂がフードコートをやるんです」
「フードコート?」
「はい。対抗戦のもう1つの戦いです。ガルダンシアのより美味しい食事を出す為の仕込みを始めているので、食堂はお休みなんです」
「そ、そうなんだ」
ヘルが残念そうにそう言うと、彼女のお腹が〝ぐぐ~~~っ″と鳴っていた。
「それで、お昼はどうするの?」
「私はお城に帰って1人で食べます」
「え!?なんで?」
「父様が心配するので、・・・あっ!!でも今日は画材屋さんに寄らないと・・・」
「が、が、が、画材屋さん!?」
『異世界の画材屋さん』
その、なろう系ライトノベルのタイトルになりそうなぐらいのパワーワードに、ツカサは背中の羽根を広げ、喜びを爆発させるように〝バサっ、バサっ″とばたつかせていた。
「リツカ、そこ、スケッチブックとかペン先とかペン軸とかインクとかある?」
「え!?は、はい。多分」
「そこ行きたい。連れてって」
「え!?」
「スケッチブックはいつもアイリが用意してくれてたんだけど。・・・そうよね、スケッチブックがあるんだから画材屋さんもあるわよね」
ヘルはそう言って、リツカの手を〝ぎゅっ″と握っていた。
「は、はい。ですが、あ、あの、その・・・」
が、リツカは困った様子だった。
「どうしたの?」
「はい。その、じ、実は、お店の場所を知らないんです」
「え!?」
「この辺りは同じような建物が並ぶ細い路地が迷路のように入り組んでて、いつもは忍びの子が道案内してくれるのですが、今日はルシアさんを捕まえにいかせましたから・・・」
申し訳なさそうにそう言うリツカに、
「それなら私が探すから。お店の建物の特徴を教えて」
ヘルはそう返していた。
「そんなことができるのですか?」
そう言われ、お店の特徴を教えると、
「まかせて。私には悪魔の力があるんだから。ヘルアイっ」
彼女はヘルアイで、あっけなく画材屋を見つけていた。
「すごいですヘル」
リツカに羨望の眼差しで見つめられ、
「いや、それほどでも・・・」
嬉しそうに照れながら、
「よし、目的地も見つかったし、行こうリツカ」
そう言って歩き始めた彼女に、
「あ、あの・・・」
リツカは勇気を振り絞って声を掛けていた。
「なに?」
「あ、あの、・・・手を繋いでもらっていいですか?」
「え!?」
「い、いえ、あの、その、・・・わ、私、迷子になるといけないから・・・」
そう言って、頬を赤らめながら〝もじもじ″するリツカの手をヘルは握っていた。
「へ、ヘルっ」
リツカは思わず声を裏返らせてしまっていた。
淡い期待は抱いていたが、まさか本当に繋いでもらえるなんて。
「行こう」
「はい」
路地を歩く間、リツカはヘルの顔と、繋がれた2人の手を見つめていた。
ヘルが笑顔で何か話しかけているのが分かるが、熱でも帯びたかのように頭が〝ぼ~~~っ″として考えが上手くまとまらない。
そして、永遠とも一瞬とも思える時間が過ぎ、2人は画材屋にたどり着いていた。
〝カラン、カラン″
ドアベルを鳴らしながら店内に入り、
「こ、こんにちわ」
リツカが照れくさそうに挨拶すると、
「あらリツカちゃんいらっしゃい。きょうはお友達を連れて来てくれたの」
店主の女性もそれに笑顔で返していた。
が、そんな2人の会話もツカサの耳には届いていなかった。
彼女は店内に所狭しと並べられた画材道具に感嘆の声をあげると、興味津々の様子で店内を歩き始めた。
そして、欲しいものだけを選び抜くリツカとは対照的に、あれもこれもとレジに運び、2人分の代金をドロップで支払って店主を卒倒させていた。
「こ、これじゃあ高額過ぎてお釣りが払えないわ」
「そお?じゃあ運送料も出しますからお城まで運んでください」
「それでも焼け石に水です」
「それなら、残りのお金で買える分の画材を、フェアデリア女学園の美術部に寄付します。届けてもらえますか?」
「へ、ヘルっ!!」
いきなりの提案に驚きを隠せないリツカに、
「いいの。私も美術部だったから分かるんだけど、意外とお金がかかるのよね。だから寄付させて」
ヘルはそう言って店主にドロップを手渡していた。
「あ、ありがとうございました」
深々と頭を下げる店主に見送られ、2人はお店を後にした。
「ヘル、ありがとうございます。部の皆もきっと喜びます」
「ううん。お礼を言わなきゃならないのはこっちの方。
ありがとうリツカ。今日はすっごく充実した1日になったわ」
〝ぐぐ~~~っ″
その時小さく鳴ったのはリツカのお腹だった。
彼女は恥ずかしそうに顔を赤く染め、うつ向いてしまっていた。
そんな彼女の手をヘルは再び握ると、
「今度は私に付き合って」
「えっ!?」
彼女の手を引っ張り、更に人気のない通りの奥へと歩き始めた。
その先には、ピンクやオレンジに彩られたお城のような建物が幾つも立ち並んでいた。
「へ、ヘル。あちらに行くのですか?」
「そうよ」
いくら世間知らずのリツカでも、美術部の皆とのガールズトークから得た情報でそれらがなにかぐらいは知っていた。
そこはラブホ街だった。
「あそこを・・・」
「待ってヘル。私まだ心の準備が、・・・でも、でも、ヘルがどうしてもと言うのなら、私、私、」
「通り抜けるのが屋台街への近道なの」
「えっ!?近道?」
「うん。さっきヘルアイでこの辺りを見渡してて気付いたんだ。リツカ、どうかしたの?顔が真っ赤よ?」
「う、ううん。なんでもない。なんでもないですから気にしないで」
「そお?」
2人はそのまま細い路地を通り抜けて、屋台街のある大通りに出ていた。
〈つづく〉




