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腐女子OL、悪魔姫に転生す  作者: 木天蓼亘介
37/40

第37話・「来たっ。ついに来た!!」




「来たっ。ついに来た!!」

 ツカサは興奮を抑えきれない様子で、大きな門の前に経っていた。

 そして、目の前にそそり立つ石の門柱には、『フェアデリア女学院』と書かれていた。

「私も嬉しいです」

 その隣でリツカも嬉しそうに立っていた。

 何故ヘルが女学院に来たのかというと、そのきっかけはミセリとアイリの『いけないこと』を見てしまったことだった。

 それが魔法か呪いに違いないと考えたツカサは、2人のことは伏せて、ミカヅキに遠回しに魔法や呪いの解除について尋ねた。

 すると彼女から返ってきたのが、

「そういう文献ならフェアデリア女学院の図書館にいくらでもあるから行ってみたら?」

 というものだった。

 そのフェアデリア女学院こそが、お妃が飛竜王にリツカをフェアデリアに住まわせてあげて欲しいとお願いした時に言っていた留学先だったのだ。

 そんな、アニメやマンガでしか見たことのない異世界の女学院と図書館に行けるという夢のような展開に、ツカサのテンションは爆上がりだった。

 しかもしかも、彼女にはもう1つテンション爆上がりな理由があった。

 せっかく行くのだからとリツカに薦められ、女学院の制服を着ていくことになったのだ。

「ヘル様。その制服、とてもお似合いです」

「そ、そお?」

 元々腐女子でレイヤーな彼女にとって、異世界の女学院の制服、しかも本物を着ているという事実と、それを似合うと褒められたことに興奮を抑えきれない。

「ミセリもスッゴく似合ってるわよ」

 そう、学園内で違和感なく2人を護衛するためミセリも制服を着ていた。

 しかも刀を(たずさ)えていた。

 その凛とした出で立ちに、ツカサは感動すら覚えていた。

「ホント、異世界転生モノの主人公みたい。カッコいい」

「そ、そんな!!私など御二人に比べたら・・・」

 まさか制服姿をヘルに褒められると思っていなかったミセリはどうしたらいいのか分からず、顔を耳まで真っ赤に染めてうつ向いてしまう。

「そんなことない。素敵よ」

 ヘルはかがむと、彼女の顔を覗き込みウインクしていた。

「へ、ヘル様!!わ、分かりました。明日からこの制服を着て護衛します」

「えっ!?」

「いえ、な、なんでもありません」

「そお?」

 そう言い、改めて3人の制服を見比べ、ツカサには1つ気になることがあった。

「ねぇリツカ。私達の制服、背中の布面積少な過ぎない?」

 そう。ヘルもリツカも制服の背中がバックりと開いていたのだ。

「それは私達の背中に翼があるからです」

「えっ!?そうなの?」

「はい。()()は世界中から多種多様な種族の方が集まりますから、その身体的特徴に合わせて制服もいろんなタイプがあるんですよ」

「そうなんだ。でも背中開き過ぎじゃない?ミセリはどう思う?」

 そう聞かれたミセリは、その背中のキレイさに“ドキドキ”が止まらず、

「えっと、私的にはもう少し開いていても良いかと・・・」

 そう返すので精一杯だった。

「そおかな?」

 そんな彼女に、

「あっ!!あそこを歩いてる彼女を見てください」

 リツカがそう話し掛けた。

「彼女?」

 リツカが指差す方を見ると、宇宙服みたいな制服が歩いていた。

「な、なにあれ?」

「あれは水棲人の制服です」

「水棲人!?」

「はい。あの制服の中は海水で満たされていて、()()を背中の箱の中に納められている2種類の魔法石で浄化しながら循環させてるそうなんです」

「へ~、そうなんだ」

 そう聞かされ改めて周りを見渡すと、いろんな制服を着たいろんな種族の人達が学園内を歩いていた。

「すごい、このまま学園ごとコミケ会場に転移したら皆驚くだろうなぁ。そして大撮影会が始まるんだろうなぁ」

「えっ!?」

「ううん。なんでもない。よし。じゃあ行きましょう」

「はい。案内します」

「はい。お供します」

 3人が学園の敷地に入ると、そこはまさにアニメやマンガでしか見たことがないお嬢様学園そのものだった。

「スゴい、凄すぎる」

 建物の造りや内装もさることながら、生徒達の若さが弾ける“キラキラ”の笑顔にツカサは圧倒されていた。

(まぶ)しっ!!」

 すると、廊下の向こうから何人かの生徒が歩いて来た。

「リツカさん。おはよう」

 すれ違いざまに挨拶され、

「おはようございます」

 彼女もそれに笑顔で返す。

 その様子を見てヘルは“ほっ”としていた。

 初めて会った時、リツカは人見知りが激しくて、自暴自棄なところがあって、何よりドラゴンハーフである自分を責めていた。

 だから、今の彼女の姿が嬉しくてたまらなかった。

(これも、イオリやサクラやアイリやミセリ。そしてお妃様のおかげね)

 ツカサは皆への感謝の気持ちに胸が一杯になりながら、

「ねぇリツカ、今のはお友達?」

 そう訊ねていた。

「はい。クラスは違うのですが部活動が同じで・・・」

「部活動!?リツカは何部なの?」

「美術部です」

「美術部ぅ!!???」

 そのパワーワードに、ツカサは思わず声を張り上げていた。

「ヘル様、美術部がどうかされたのですか?」

 その声の大きさに、リツカとミセリは戸惑いを隠せない。

「あっ!!ごめんなさい。私も美術部だったの」

「えっ!?」

 ヘルからの思いもかけない告白にリツカは、

「ヘル様も美術部なのですか?」

 そしてミセリも、

「悪魔国にも美術部があるのですか?」

 驚きを隠せない様子でそう聞き返していた。

「うん。中高の6年間」

「よかったら部室に寄ってみませんか?」

 それを聞いてリツカは興奮気味にそう提案していた。

「えっ!?いいの?」

「はい」

「でも私、部外者だし」

「ヘル様なら大歓迎です」

「そ、そお?じゃあ、少しだけ」

 2人はリツカに案内され廊下を歩き始めた。

「ヘル様は美術部で何を専攻なさっていたのですか?」

「専攻?」

「はい。絵画とか彫刻とか粘土造形とか・・・」

「・・・えっと、皆で好きなアニメやマンガの話しばっかりしてて、あと同人誌作ったり・・・」

「アニメ?、マンガ?、ドウジンシ?それ、何かの呪文ですか?」

「えっと・・・」

 そう返事に困りながら、スイカやナスやきゅうりみたいな野菜が実る菜園を通り過ぎると、3人の前に体育館らしき建物があらわれた。

 その横を通りながら中を見ると、いろんな種族の生徒が、見たことあるようなないようなスポーツに打ち込んでいた。

「さっきのグランドもだけど、この学園てスポーツが盛んなのね」

 そう感心するヘルに、

「はい。もうすぐ学園対抗の競技大会がありますから、皆さん熱が入ってるんです」

 リツカがそう答えていた。

「学園対抗の競技大会?」

 その、ラノベでしか聞いたことがなかった言葉にツカサが食いつかないワケがない。

「学園対抗って、どこかの女学園とやるの?」

「いえ、ガルダンシアにある『聖ガルダンシア学園』という男子校とです」

「だ、だ、だ、男子校~~~っ」

 その、破壊力のありすぎるパワーワードに、ツカサはひっくり返っていた。

「へ、ヘル様~~っ」

 2人が慌ててしゃがみ彼女を抱き起こした。

「大丈夫ですかヘル様?」

「ヘル、急にどうしたの?」

 2人の、自分のことを心配するその形相に、

「ご、ごめんなさい」

 ツカサは思わず謝りなから2人の顔を見た。

 そんな彼女のことを気遣うようにミセリが、

「いえ。体調がすぐれないのですか?」

 そう声をかけると、

「それなら、今すぐ保健室にご案内します」

 リツカも心配そうにそう返していた。

「ち、違うの」

「えっ!?違うとは?」

「だから、あの、その、せ、聖ガルダンシア学園て、どんなとこ?」

「「はっ!?」」

「だ、だから、聖ガルダンシア学園・・・」

 何やら興奮気味のヘルにそう聞かれ、ミセリがたじろぎ気味に話し始めた。

「聖ガルダンシア学園は、その名の通りガルダンシアにある全寮制の男子校です」

「ぜ、全寮制~~~っ」

 その新たなパワーワードに、ヘルはまたしてもひっくり返っていた。

「ヘル様!!」

「ヘル、しっかりして、保健室に行きましょう」

 だが、肝心のヘルは興奮冷めやらぬ様子で2人の手を“ぎゅっ”と握りながら、

「保健室!?それよっ」

「えっ!?」

「そのガルダンシア学園の保健室で働けないかな?あっ!!私、教員免許持ってないや・・・」

 そう呟いていた。

「「えっ!?」」

 突然そんなことを言われ戸惑う2人を置き去りにして、何やら“ブツブツ”呟いていたヘルは突然閃いたように、

「・・・あっ!!そうだ!!寮で働けばいいんだ」

 そう叫んでいた。

「えっ!?」

「ヘル様?」

「ガルダンシア学園の寮で働くの。もちろん住み込みで」

「ヘル様、何をおっしゃっているのですか?バカなことはお止めください。」

 浮かれまくりのヘルをミセリはそうたしなめていた。

「ガルダンシア学園の男子寮ともなれば、そこで暮らす生徒も何百人にもなります。そのような所で働くなど、自ら野獣の群れの中に飛び込むようなもの。

 そんな危険な場所にヘル様をお送りすることなどできません」

「危険?何言ってるの?異世界にある男子校の学生寮は私達腐女子の理想郷、シャンバラよ。飛竜国との国境にあった要塞もホテルになっちゃったし、私にはもう()()しかないの。ミセリ、お願いっ」

 両手を合わせてそう訴えるが、

「ダメです」

 ミセリは取り合わない。

「ミセリ聞いて。別に他意はないの。私はただ純粋に可愛い男の子達の力になってあげたいだけで」

「ダメです」

「例えば部屋を(あさ)る・・・じゃない、掃除してあげたり」

「ダメです」

「洗濯はぜんぶ私が手揉み洗いで丁寧に・・・」

「ダメです」

「朝起きれないお寝坊さんを押し倒し・・・じゃない、起こしてあげたり」

「ダメです」

「お風呂が苦手な子は・・・わ、私が、お湯で絞ったタオルで身体を拭いてあげて、そ、それで、それで・・・」

 “ぶしゅ~~~っ”

 何を想像したのか?

 次の瞬間ヘルは、間欠泉のように鼻血を噴き出して卒倒していた。

「へ、ヘル様~~~っ」

「ヘルっ」

 2人は慌てて駆け寄り、再びヘルを抱き起こしていた。

「ヘル様、お気を確かに」

「ミセリさん、私が案内します。今すぐヘルを保健室に」

「ま、待って」

 そのままヘルをお姫様抱っこしようとするミセリを、ツカサは必死に止めていた。

「ヘル様?」

「じゃあ、私の願いを聞いてくれたら、2人の願いも、それがどんな願いでも叶えてあげる。それならどう?」

「ど、どんな願いでもっ!!!?」

 その瞬間ミセリの頭の中に、ウェディングドレスを着たヘルをタキシードを着た自分がお姫様抱っこし、教会で式をあげる光景が浮かんでいた。

「ミセリ、聞いてる?」

「・・・えっ!?あ、あの、それって、本当にどんな願いでも?」

「もちろんよ」

「そ、それなら・・・」

 “わ~~~~~~~~っ”

 “きゃ~~~~~~~っ”

 “助けて~~~~~~っ”

 その時だった。

 どこからか生徒達の悲鳴が聞こえてきた。

「ヘル、グランドの方からです」

「うん。行こう」

「はい」

 3人は、パニックになりながら逃げ惑う生徒達を掻き分けるようにしてグランドに出た。

 すると、30メートルはあろうかという巨大なゴーレムが暴れていて、逃げ遅れて転んだ生徒を踏み潰していた。

「大丈夫?ケガはない?」

「えっ!?」

 いや、彼女は無事だった

 その直前、翼を広げたヘルが超低空で接近し、まさに踏み潰される寸前の彼女を間一髪で救出していたのだ。

 ヘルが助けたのは眼鏡が似合う猫耳の女の子だった。

「貴女は?」

 彼女はヘルの腕の中で震えながらそう訊ねたが、

「教えて、何があったの?」

 その言葉はヘルからの問い掛けに掻き消されていた。

「なんでゴーレムが暴れてるの?」

「・・・錬成魔術の練習をしていて」

「錬成魔術?」

「競技大会で、どちらがより強くより大きいゴーレムを錬成できるかを競う種目があって、それで・・・」

「そういうことか」

「ヘルっ、あぶないっ」

「えっ!?」

 自分の名を呼ぶ、普段のリツカからは想像もできないような必死の叫びに“チラっ”と後ろを見ると、ゴーレムの指が自分の足を掴みそうなぐらいの近さまで迫っていた。

「えっ!?えぇっ!?」

 ゴーレムは、その巨体からは想像できないような速さで2人に迫っていた。

「くっ」

 ツカサは慌てて急上昇した。

 いや、急上昇しようとした彼女の足首をゴーレムの巨大な指が掴んでいた。

「しまっ・・・」

 “どっごぉおおおんっ”

 次の瞬間、ヘル達はグランドに叩きつけられていた。

「ヘル様~~~~~っ」

 だが、2人は無事だった。

 ヘルが広げた翼で抱きかかえる女の子を包み込むようにしながら身体を捻り、自らが背中から地面に叩きつけられるようにして彼女を守っていたのだ。

 そして、もう一度大地に叩きつけようと腕を振り上げた瞬間、

「ヘル様を離せ~~~っ」

 ゴーレムの腕はミセリに切り落とされていた。

 “ガラガラガラガラガラガラっ”

 切り落とされた腕がバラバラに崩壊し、ヘルと女の子はグランドに落ちていた。

「ヘル様っ」

 慌ててミセリが駆け寄る。

「大丈夫。私もこの娘も無事よ」

 すると、バラバラに崩れ落ちたゴーレムの腕が、切断された面に吸い寄せられるように集まって元通りになっていた。

「再生した?」

「はい。ゴーレムはコアを破壊しない限り何度でも復活します」

「そんな設定いらない」

 そしてゴーレムは間髪入れずに、高々と上げた拳をヘル達めがけて振り下ろしといた。

 “ドドドドドドドドドドドっ”

 その刹那、ゴーレムの腕は再びバラバラに崩壊していた。

「ヘル、早く逃げて」

「リツカ」

 ツカサが振り向くと、50メートルぐらい上に翼を広げたリツカがいた。

 そして、何故か彼女は楕円形の大きなスイカを物凄い勢いで丸(かじ)りにしていた。

「えっ!?スイカ?」

 だがリツカはそう戸惑うヘルを置き去りにして、ハムスターのように頬の中をいっぱいの種で〝ぷくっ″と膨らませながら、尖らせた唇からゴーレムめがけて種を飛ばした。

 いや、正確に言うと、超高温の火球で包んだ種を、音速を遥かに超えるスピードで、しかもマシンガンのごとき勢いで口から打ち出し続けていた。

〝ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドっ″

 結果ゴーレムは、蜂の巣のように穴まるけにされて瓦解していた。

 すると、瓦礫の中からコアが浮き上がり、()()に向かって石や砂が吸い寄せられるように舞い上がっていく。

「いけない。再生するつもりです」

「私に任せて」

 ヘルは翼を広げ、コアを破壊すべく飛び上がろうとした。

 が、次の瞬間。

 コアは大地を蹴ってジャンプしたミセリによって一刀両断され、爆散していた。

「・・・ミセリ」

 ヘルは糸が切れた操り人形みたいに、“へなへな”とその場に崩れ落ちていた。

「ヘル様~~~っ」

 それを見たミセリが慌てて駆け寄る。

「ヘル様、大丈夫ですか?お怪我は?」

「うん。全然平気。鉄球の特訓のおかげかな?それよりミセリ」

「なんですか?」

「すっごいカッコよかったわよ」

「えっ!?」

 ヘルに褒められ、

「い、いえ。あれは、その、あの、コアを剥き出しにしてくれたリツカ様のおかげで、私はただ斬っただけで・・・」

 そう()()()()()()になりながら、ミセリの顔がみるみる赤く染まっていく。

「リツカもありがとう。助かったわ」

 ツカサはそう言って地上に降り立ったリツカに笑顔で感謝の気持ちを伝えた。

 だが彼女は、目に涙を浮かべ、悲しそうにこちらを見つめていた。

「どうしたの!?」

 そんなリツカをヘルは慌てて抱きしめた。

「どこかケガでもした?」

「ち、ちがうの」

「違う?何が?」

「・・・禁を破っちゃった」

 リツカは消え入りそうな声でそう呟いていた。

「禁を破った?どういうこと?」

「昔、母様がまだ生きてた頃に、スイカの種を飛ばして遊んでいて山を燃やしてしまったことがあって。・・・その時に母様と約束したの。もう二度と種飛ばしはしないと・・・」

 そう涙を流す彼女を、

「なに言ってるの」

 ツカサは“ぎゅっ”と抱きしめていた。

「リツカがスイカの種を飛ばしてくれたからゴーレムを倒せた。1人の犠牲者も出さずに済んだ。リツカは皆を、私を守ってくれたんだよ。だからお母さんだってきっと許してくれる。ううん。褒めてくれると思う」

「・・・ヘル」

 するとミセリが、

「あのリツカ様。もしよろしければ私にもスイカの種を遠くに飛ばすコツを教えていただけませんか?」

 リツカにそうお願いしていた。

「えっと、どういうことですか!?」

「実は、夏になると妹達や近衛の皆とよくスイカの種飛ばしをするのですが、私、その、苦手で、一度も勝ったことがなくて・・・」

 そう恥ずかしそうに顔を赤らめながら、頭を〝ぽりぽり″掻いていた。

「えっ!?ミセリが?」

 ミセリの思わぬ告白に驚きを隠せないヘルに、

「そ、そんなに驚かないでください。・・・その、ヘル様はどうなのですか?」

 ミセリは返す刀でそう聞き返していた。

「えっ!?じ、実はね、私も苦手なの」

 ヘルもバツが悪そうにそう告白していた。

「ヘルもなの?」

「というか、悪魔国にも種飛ばしってあるのですか?」

 そう驚く2人に、

「私も小さい頃はよくやったわよ。友達や弟と。でも私、ああゆうのが苦手で・・・」

 と言っていた。

 いや、言ってしまっていた。

「えぇっ、弟!?ダンテ様も種飛ばしとかなさってたのですか???」

 そのミセリの、ひっくり返らんばかりのリアクションに、

「しまった」

 と、ツカサは思った。

 そう。弟は弟でも転生前の弟のことで、言うなら弟違いでダンテのことではない。

 それに、こんな話しが父や母や、何よりダンテ本人の耳に入ったら、話しがややこしくなるのは間違いない。

「いや、えっと、その、ち、違うの。弟は弟でも見たことも聞いたこともない血の繋がらない生き別れの弟というか。ダンテじゃないというか・・・」

 だが、その言い訳が、更に火に油を(そそ)いでいた。

 ミセリとアイリはヘルに背を向けると、

「それって、異母姉弟?ヘル様のお父様が浮気されいたということですか?」

 ミセリはリツカにそう“ヒソヒソ”声で訊ねた。

「でも、ヘルのお父上って虫も殺せなさそうな方ですよね?」

 そんな彼女に、リツカも“ヒソヒソ”声でそう返す。

「でも、そうはいっても悪魔王様ですから。愛人の100人や200人ぐらい・・・」

「と、いうことは、ヘルには本当に自分も知らないぐらい沢山の弟君がいらっしゃるということですか?」

「ええ、実は1000人姉弟ということも・・・」

「ないない。あるか!!そんなもん」

 そんな2人の会話に、ツカサはそう突っ込んでいた。

 





                                                                  〈つづく〉

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