♥ 庭園 3 / 師匠と初めまして! 3
タシィルドレテク・セルロッタ
「 そうそう、ババァルにマントをあげないとね 」
ババァル・ストーク
「 マント…ですか? 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 フィールドに出るとモンスターと遭遇してしまうんだよ。
フィールドの場所に依ってはモンスターの出現率も違うし、出現するモンスターの種類も変わるんだよ。
朝方,日中,夕方,夜──って感じで出現するモンスターの種類や数も変わるんだ。
モンスターは気配に敏感だから見付かると近寄って来て戦闘になるから、遭遇率を下げる為に気配を消せるマントを作ったんだよ。
ワタシが羽織っているマントは傑作品だよ 」
そう言った師匠は私に御揃いのマントをくれた。
フードは付いてないみたい?
師匠がマントを羽織らせてくれる。
左右にボタンが付いてるけど、何のボタンかと思ったら、後付けフードに付いてる穴に入れるボタンだった。
羽織ったマントの上に髪を乗せたら、髪の上にフードを乗せられて被せられる。
タシィルドレテク・セルロッタ
「 フードは顔が隠せるぐらい大きくしているんだ。
全身を包むぐらいしないと気配を消せないからね 」
フードを被ったまま左右のボタンを止められて、ボタンが外れないように丈夫そうな紐でボタンの回りをクルクルと巻かれる。
胸の前で紐を結ばれた後にブローチを付けられた。
ババァル・ストーク
「 師匠…このブローチは? 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ババァルがワタシの “ 正真正銘の弟子 ” である証のブローチだよ。
超越者の石を使って作った特別品だよ。
大事な物はブローチの中へ入れとくと良い。
大きな物は入れられないけど、水袋,銭袋……ババァルが手に持っている聖具も入るよ。
防犯魔法を掛けてあるから無くないし、盗られたりもしないから安心すると良い 」
ババァル・ストーク
「 有り難う御座います! 」
スマホって聖具なんだ??
タシィルドレテク・セルロッタ
「 似合っているね。
そのマントは丈夫で耐久性,通気性,防水性,防寒性に優れているよ。
マントは防具として装備されたし、ブローチは装飾品として装備された筈だよ。
ブーツも履き替えてしまおう。
泥濘,雪の中,山道,岩山でも滑らずに歩けて足への負担も軽減してくれるブーツでね、汚れないし俊敏力を上げてくれるんだよ 」
ババァル・ストーク
「 有り難う御座います、師匠… 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ブーツも防具として装備されるよ。
ババァルは装飾品を幾つ装備する事が出来るのかな? 」
ババァル・ストーク
「 5つです 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 なら、後4つだね。
魔法具,魔術具,魔導具を1つずつ身に付けようか。
腕輪,指輪で良いかな。
何度でも使える代物で壊れたりしないよ。
腕輪と指輪に嵌め込んでいる宝石みたいに見える色の違う石は属性魔法を込めた魔鉱石だよ 」
ババァル・ストーク
「 綺麗です…。
私が貰ってもいいんですか? 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 勿論だよ。
自信作だからね 」
師匠から渡された腕輪の2つは右腕と左腕に通して、指輪は右手の人差し指に入れた。
確かに色付きの石は、宝石みたいにキラキラしていて本当に綺麗…。
1つの魔鉱石に属性魔法を1つ込めてあるらしくて、全属性が揃っているみたい。
お洒落なアクセサリーみたい!
タシィルドレテク・セルロッタ
「 あぁ…1つ足りないね。
他に何かなかったかな? 」
ババァル・ストーク
「 いえっ!!
もう十分です!
十分過ぎる程、頂いてます!!
これ以上は流石に…… 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 遠慮しなくていいのに。
ワタシの弟子は謙虚だね?
そうだ!
魔結晶で作ったピアスをあげよう。
魔法攻撃無効化と気配察知を附与したピアスと 無属性攻撃無効化と殺気察知を附与したピアスだよ。
これも自信作なんだよね 」
ババァル・ストーク
「 あ…有り難う御座います…。
私ったら貰ってばかりですね…(////)」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 弟子は師匠から貰う立場なんだから、遠慮せず素直に貰えばいいんだよ。
師匠の機嫌を損ねないのも弟子の腕の見せどころじゃないかな?
師匠の懐へ飛び込こんで来るぐらい図々しくないと、ワタシの弟子は続かないよ 」
ババァル・ストーク
「 そういうものですか??
私…習い事をした事がないので師匠と呼べる人が居なくて……良く分からなくて… 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ふぅん?
ワタシがババァルの初めてになるんだね。
それは嬉しいかな。
ピアスを付けてあげるよ 」
ババァル・ストーク
「 えと…耳に穴を開けるんですか?? 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ん?
耳に穴??
随分と旧式な方法だね。
今時のピアスは、耳に穴を開けなくても簡単に付けれるんだよ 」
ババァル・ストーク
「 それって、磁石やシールって事ですか? 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 磁石?
シール??
ピアスは魔法で付けるんだよ。
動かないで…じっとしていて── 」
師匠は私の左右の耳朶にピアスを付けてくれた。
この世界の人達って魔法でピアスを付けるんだ…。
魔法って凄いな…。
綺麗な紫色をした魔結晶のピアスは師匠の瞳の色と御揃いだった。
光の加減で私の瞳と同じ赫色にも見えるのは凝ってると思う。
タシィルドレテク・セルロッタ
「 似合う似合う。
セロリもニュイもそう思わないかい? 」
セロリ
「 にゅい〜〜〜 」
ニュイ
「 にゅにゅにゅ〜〜 」
師匠の問い掛けにニュイちゃんととセロリちゃんがピョンピョンと上下に飛び跳ねて喜んでくれている。
嬉しいけど…照れくさいかも(////)
後で【 ステータス 】を確認しておこう。
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ──さて、可愛い弟子への贈り物も済んだし、家の中を案内するとしよう 」
ババァル・ストーク
「 はい!
お願いします 」
“ 可愛い ” って言われて「 ドックン 」って胸が高鳴ったけど、 “ 師匠 ” という存在にとって “ 弟子 ” という存在は可愛いものなのかな??
教え子は可愛い──って日本でも良く聞いてたし…。
師匠の案内で、塔の形をした師匠の住処へ入る事になった。