♥ 庭園 2 / 師匠と初めまして! 2
どうやら師匠のスライムは、光の加減で虹色に見えるみたい。
虹色に見えるスライムって綺麗……(////)
この虹色のスライムが私の相棒になるんだ…。
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ババァル、セロリの分体を抱き抱えて立ってくれるかな 」
ババァル・ストーク
「 は、はい! 」
私は地面の上でプルプルと揺れているスライムの分体を掬うように抱き抱えた。
タシィルドレテク・セルロッタ
「 今からババァルの相棒にする為に魂の契約を交わすよ。
────〈 大陸神カグテスタ 〉の守護と加護の下に──、精霊王と妖精王の守護と加護の下に──、ババァル・ストークはタシィルドレテク・セルロッタの弟子となり──、ババァル・ストークとスライムを魂の契約にて生涯の相棒とす──。
ババァル、スライムに名前を付けてくれるかな 」
ババァル・ストーク
「 名前── 」
スライム
「 にゅにゅ〜〜 」
ババァル・ストーク
「 ──ニュイ!
アナタの名前は “ ニュイ ” だよ! 」
スライム
「 にゅにゅ〜〜♥ 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ────ババァル・ストークの相棒の名は “ ニュイ ” ──、これにて契約を完了す 」
師匠が言い終わると、ニュイの体内に魔法陣が現れて消えた。
私の額が急に熱くなった。
魔法陣が浮かび上がって消えたみたい。
タシィルドレテク・セルロッタ
「 これでババァルとニュイとの魂の契約は完了したよ。
ニュイ、今からババァルが君の主だよ。
君がババァルを全力で守護るんだよ 」
ニュイ
「 にゅにゅ〜〜い 」
ババァル・ストーク
「 宜しくね、ニュイ 」
ニュイ
「 にゅにゅ〜 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 スライムは旅をするのに必要不可欠なパートナーになるんだよ。
ニュイはワタシのセロリの分体だから、セロリに出来る事は全て出来るからね 」
ババァル・ストーク
「 はい 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 先ずはババァルにニュイとセロリの出来る事を覚えてもらわないとね 」
ババァル・ストーク
「 分かりました 」
──と言うわけで、師匠から私の相棒となったニュイの出来る事を教えてもらった。
ニュイが出来るのは、スライム定番の消化。
丸呑みして体内へ入れた物体を内分泌腺している高濃度の酸で溶かして消化する事が出来るの!!
いや、酸って……危なくない?!
何でも溶かして消化しちゃう事が出来るから、ゴミ箱要らずで便利なの!
生ゴミも廃棄物も排泄物も廃材もモンスターも何でも御座れ!
分別力もあって、ゴミを分別する事も出来るみたい。
動物や鳥,モンスターを狩る事も出来て、魚も捕まえれるみたいだから、食材の確保も御手の物。
茸類,薬草,香草,毒草,山菜,木の実,花…なんかの識別も出来て、安全な物と危険な物の見分けも付くみたいだから、山や森で採取をする時も助かるみたい。
体の大きさを自由に変えられるみたいで、巨大化したりミニマムになったりも出来るから、頭や肩に乗れるサイズに変われたり、ベッド,クッション,枕の代わりになんかにもなるみたい。
それに読み書き,算術も出来て、分裂して散らばれるからニュイが居れば地図要らずなんだとか。
動物や鳥なんかとも話せるみたいで、情報収集も御手の物だし、分裂してスパイ活動だって出来ちゃうみたい。
戦力か無くて全く戦えない私の代わりにモンスターを倒してくれたり、モンスターが落としたドロップアイテムやお金を回収してくれたり、倒したモンスターを解体して、臓物,肉,素材して仕分けして、肉の下処理までしてくれちゃうみたい。
読み書き,算術が出来るから、買い物も交渉も出来ちゃうみたい。
鑑定や査定なんかは出来ないみたいだから、其処は私の出番って事になる!
なんと料理も作れちゃうみたいで、師匠仕込みのレパートリーがかなりあるみたい。
料理をする時は分裂して、作業のし易い大きさに体を変えてするみたい。
刃物を使えるスライムなんって漫画ぐらいでしか見た事ないわ〜〜。
DIYまで出来ちゃって、家具から家まで作れちゃうらしい。
師匠が暮らしてる塔の見た目をした石造りの家も中にある家具一式もセロリちゃんが分裂して作ったんだって!
園芸も御手の物らしくて、家庭内菜園も家庭内庭園も出来ちゃって、広い庭園もセロリちゃんが分裂して作ったし、井戸も堀り当てて滑車まで作って取り付けたらしい。
スライムって……こんなに有能で万能なモンスターだったっけ??
何でスライムにそれだけの能力があるのか師匠に聞いてみたら、師匠は黒星★★★★★の錬金術師でもあるから、精霊王と妖精王と一緒に “ 超越者の石 ” なる物を暇潰しで作っちゃったらしいの。
その “ 超越者の石 ” を相棒のセロリちゃんに食べさせてみたら、体が虹色に変化して何でも出来ちゃうスーパースライムに大変身しちゃったらしい。
今はのんびりと自由気儘にセロリちゃんと一緒に庭園で土いじりをしながら楽しく暮らしているみたい。
出来ない事もあって、魔法は使えないし、錬金術も使えないみたい。
それに寂しがり屋だから、何時も一緒に居てあげないと、拗ねて大変な事態を招いちゃうらしい。
どんな事態を招いちゃうのか気にはなるけど、敢えて聞かない事にした。
魔法に関しては師匠が精霊王と妖精王の祝福を受けているから、精霊や妖精に手伝ってもらえるみたいだけど、ニュイちゃんの場合はどうなるんだろう??
私には魔法力が無いみたいだから、魔法も魔術も魔導も使えないんですけど……。
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ──ふぅん?
成る程ねぇ…。
転移召喚された勇者や聖女に魔法力が無いのは珍しいね。
魔法力が無くても魔法具,魔術具,魔導具があるから使えば良いよ。
魔法力が無くても使える便利アイテムだからね。
水に関しては減らない水袋をあげるよ。
精霊王,妖精王と暇潰しに作った便利アイテムの1つだよ 」
ババァル・ストーク
「 有り難う御座います! 」