♥ 庭園 1 / 師匠と初めまして! 1
──*──*──*── 翌日
食堂の前に置かれている箱の中へ、名前と職業を書いて折り曲げた紙を入れたら、食堂へ入って味気の無い朝食を済ませた。
食堂から学習部屋へ移動したら、加害者側の教師から≪ カグテスタ大陸 ≫の歴史や大陸語と大陸文字を学んだ。
学習部屋には40人が余裕で入る広さがあって、教師は〈 大陸神カグテスタ 〉を信仰するカグテスタ教の神職者が担当してくれたみたい。
学習部屋での授業を終えたら、学習部屋の中に何人もの見知らぬ人達が入って来た。
どうやら私達に振り分けられた職業に見合った師匠達が集まって来たみたい。
神職者の教師が職業名を呼ぶと、横1列に並んでいた師匠達の中から、1人が前に出て来る。
神職者の教師が生徒でめある被害者側の名前を職業別に呼び始めた。
次々に名前を呼ばれて、生徒の人数も師匠の人数も減っていく。
とうとう学習部屋に残ったのは私だけになった。
私だけが名前を呼ばれなかったし、師匠の姿も学習部屋にはない。
学習部屋の中に残っているのは、神職者の教師と私だけだ。
教師
「 ババァル・ストーク 」
ババァル・ストーク
「 は、はい!
先生が私の師匠をしてくださるのですか? 」
教師
「 残念だが、私ではない。
ババァル・ストークよ、再度、確かめる事になるのだが──、君の職業は “ オラクル ” で間違いないのだね? 」
ババァル・ストーク
「 はい!
職業はオラクルで間違いありません! 」
教師
「 うむ……して、星とギフトは何の祝福を授かったのかね? 」
ババァル・ストーク
「 あ…はい。
星あり、黒星の★★★★★です。
ギフトは大陸神カグテスタの祝福──です 」
教師
「 …………そうか…。
君が────。
私に付いて来なさい。
君の師匠となる御方様の住まいへ案内しよう 」
ババァル・ストーク
「 住まい…ですか?
学習部屋へは来れなかったんですか? 」
教師
「 ……御方様に出向いて頂く等と無礼な事は出来ないのだよ。
君は御方様の弟子として御方様の住まいで暮らしてもらう事になる。
寝室に置いてある荷物はあるかね? 」
ババァル・ストーク
「 いえ…ありません。
荷物はスマホだけです 」
教師
「 すまほ??
まぁ、いい。
御方様の住まいは城内から離れた場所にある。
君が城内に足を運ぶ事は遠退くだろう 」
ババァル・ストーク
「 そんなに遠いんですか? 」
教師
「 庭園を抜けた先だからな。
庭園は御方様の所有地となっている。
御方様も星あり、黒星の★★★★★だ。
ギフトは精霊王の祝福と妖精王の祝福を授かっておられる。
錬金術師でもあり調合薬師でもあらせられる。
回復薬だけなく、薬草茶,香草茶,薬膳茶,薬草料理,香草料理,薬膳料理…等々手広く研究をされておられる。
呉々も失礼のないようにな 」
ババァル・ストーク
「 は、はい……。
何か…凄そうな人が私の師匠になってくれるんですね… 」
城内を出ると私の師匠になるらしい “ 御方様 ” なる人物の所有地の庭園が見えて来た。
庭園には頑丈そうで、お洒落な柵で囲まれていて、両開きの門もお洒落なデザインをしている。
御方様なる人の趣味かな??
庭園の前に到着すると、庭園の両開きの門が勝手に開いた。
教師
「 入るぞ。
余所見をしないで付いて来なさい 」
ババァル・ストーク
「 は、はい! 」
私は先生の後ろを追い掛けるように歩く。
庭園には見た事のない植物ばかりが生えている。
全部ハーブなのかな?
花も咲いてるけど、日本にも咲いていた花かどうかは分からない。
園芸や菜園は趣味じゃないから全然知識がないのよね…。
暫く歩いていると建物が見えて来た。
住みか──って塔っぽい??
塔の手前で誰かが何かをしているみたい。
教師
「 ──御方様、職業がオラクルの聖女様を連れて参りました 」
御方様
「 ふぅん──そう? 」
教師
「 星あり、黒星の★★★★★です。
ギフトは大陸神カグテスタ様の祝福です 」
御方様
「 ふぅん──そう… 」
教師
「 あの……御方様…… 」
御方様
「 あぁ……戻っていいよ。
弟子は置いていってよ… 」
教師
「 は、はい!
では…私は失礼致します! 」
そう言った先生は、私を残してそそくさと離れて行った。
ババァル・ストーク
「 あ…あの!
ババァル・ストークです!
今から宜しくお願いします! 」
御方様
「 此方こそ宜しくね。
ワタシの職業はオラクルではないから、君に何を修行させたら良いのか変わらないんだよね 」
ババァル・ストーク
「 そ…そうなんですか… 」
御方様
「 ワタシに教えられるのは過酷な状況でも生き抜いて行く為の知識ぐらいかな。
ババァルの修行に関しては、精霊王と妖精王に任せる事にするよ 」
ババァル・ストーク
「 精霊王と妖精王から修行を受けるんですか… 」
御方様
「 精霊王と妖精王の方がオラクルに関しては、人間よりも詳しいからね。
あぁ……ワタシの名前を名乗っていなかったね。
ワタシはタシィルドレテク・セルロッタだよ。
ワタシの事は “ 師匠 ” でいいよ 」
ババァル・ストーク
「 は、はい。
師匠──、宜しくお願い致します 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ババァル、君はワタシの弟子になるのだから、相棒を授けよう 」
ババァル・ストーク
「 相棒…ですか?? 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 オラクルは武器を装備する事が出来ないし、戦力も無いからね。
身を護る為の護身術も覚えられないから、代わりに相棒に守護ってもらうんだよ 」
ババァル・ストーク
「 …………オラクルって…戦えないんですね… 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 完全に戦力外だし、足手まといになるね。
ババァルの相棒になるのは、ワタシの相棒のスライムだよ 」
ババァル・ストーク
「 スライム…ですか? 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ワタシと魂の契約をしているスライムだからね、離れていてもスライムを通してワタシと連絡出来るよ 」
ババァル・ストーク
「 へぇ…師匠と連絡が出来るなんて便利ですね! 」
タシィルドレテク・セルロッタ
「 ワタシのスライムを分裂させよう。
セロリ、分裂しておくれ 」
スライム:セロリ
「 にゅにゅ〜い 」
セ…セロリ??
虹色のスライムが分裂して2体になった。