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☀ これは転移でしょうか? 召喚でしょうか?  作者: 雪*苺
異世界「 一日目 」 カグテスタ大陸 ホノマレド王国 ホノマレド城
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♥ 中庭 1 / 此処は何処でしょう?! 1


 改札口へ向かう為に最寄り駅の長い階段を駆け下りていた。


 長い階段を駆け下りていたのは私だけじゃなくて、私の周りにもか(・)な(・)り(・)の人達が居(い)たと思う。


 若いサラリーマンや年配のサラリーマン,キャリアウーマンや学生,習い事帰りの人や塾通いの人──色んな人達が急ぎ足で長い階段を駆け下りていた事は、未(ま)だ記憶に新しい。


 長い階段を駆け下りた先には最寄り駅の出入り口となっている改札口がある。


 大勢の人達が最寄り駅から出る為に改札口にタ◯ポやスマホ(スマートフォン)の画面をタッチして、改札口から出て行く。


 勿論、私も改札口にタ◯ポをタッチして最寄り駅から出た。






 改札口を通(とお)って最寄り駅を出ると、目の前にはタクシーやバスが使う専用のロータリーがある筈だった。


 私は利用しないけど、タクシー乗り場もバス停もあった筈。


 階段を駆け下りていた時には確かに何(い)時(つ)もの見慣れたロータリーやタクシー乗り場,バス停なんかも見えていたから間違いない。


 見慣れた何(い)時(つ)もの光景は何(ど)処(こ)へやら、私の目の前に広がっている光景は全く違うものだった。


 全然見慣れていない光景で、緑が見える。


 まるで何(ど)処(こ)かの中庭みたいな感じかな〜〜??


 緑が好きで癒されたい人には持って来(こ)いな場所だって事は分かる。


 何(なに)かと働き詰(づ)めで忙しさに追われている現代人には、ゆっくりじっくり森林浴を堪能して楽しむ余裕なんて皆無だから、この緑に包まれた光景は疲れた心を癒してくれそうに思う。


 改札口を通(とお)った先に何(なん)で緑に溢れた中庭があるのか知らないけど……。


 改札口のあった方を振り向いてみたけれど、改札口なんて何(ど)処(こ)にもなかった。


 「 どーなってんの?! 」って声を出そうとした私より先に知らない誰かが声を上げて叫び出した。


 どうやら中(なか)庭(にわ)みたいな場所に居(い)るのは私だけじゃないみたい。


 周りを見回してみると、かなりの数の人が戸惑った表情で立ち尽くしていた。


 ザッと見てみると30 〜 40人は居(い)るんじゃないかな?


 年配者,若者,男性,女性,学生……多分だけど私と同様に最寄り駅で改札口を出た人達なんじゃないかと思う。


 帰宅ラッシュと被(かぶ)っていたから間違いないと思う。


 こんな訳も分からない状況下で不謹慎かも知れないけど、1人じゃなくてホッとしている。


 1人だけだったら、不安に押し潰されそうだし、怖いし、パニクっていたかも知れない。


 だけど、何(ど)処(こ)の誰かは分からないけれど──、大勢の人達と一緒で然(しか)も、その他(た)大勢の1人なら不安も恐怖も半減してくれる。


 私が声に出して吐(は)き出したい気持ちも、誰かが代弁してくれるみたいに声を上げて叫んでくれる。


 そのお蔭で私は、ほんの少しだけど冷静でいられた。


 此処(中庭みたいな場所)に1人じゃなくて本(ほん)当(と)に良(よ)かったと私は心の中で胸を撫で下ろした。


 其(そ)処(こ)に関しては有(あ)り難(がた)いと思う。


 お蔭で私は「 これからどうなるんだろう? 」と思う反面で、「 お腹が空(す)いたな〜 」とか「 今夜のドラマは見られないな〜 」とか「 明日(あした)からの番組録画はどうしよう… 」とか「 明日(あした)から仕事は無断欠勤になるのかな〜 」とか考える余裕があった。


 幸(さいわ)いなのはペットを飼ってない事ぐらいかな?


 高校に入学した時からは実家を出て寮生活をしていたし、就職してからも1人暮らしで実家に帰った事はないから、両親が私の行方不明届けを警察に出すとは思えない。


 私の親は世間から言えば、謂わば “ 毒親 ” と呼ばれる人種だから、実家を出てからは1度も連絡すらしていないけど、毎月の仕送りが滞(とどこお)ったりしたら、行方不明届けや捜索願いなんかを警察に出すかも知れない。


 お金には煩い両親だもんね!






 何(なに)気(げ)無(な)く左腕に付けている腕時計を見てみると、秒針が止(と)まっていた。


 故障でもしたのかな?


 時間を見る為に鞄の中へ入れていたスマホ(スマートフォン)を取り出したけど、スマホ(スマートフォン)の画面は真っ黒になっていた。


 まさかスマホ(スマートフォン)も故障してるの?!


 でも……なんで??


 私が腕時計とスマホ(スマートフォン)を交互に見ながら困惑していると、どうやら私だけじゃないらしくて、他(ほか)の人達も同じらしい。


 「 スマホ(スマートフォン)が使えねぇ!! 」って声を荒げて叫んでいる人がいる。


 現代人にはスマホ(スマートフォン)って必要不可欠な便利アイテムだもんね。


 スマホ(スマートフォン)が使えなくなると困るのは、此処(中庭みたいな場所)に居(い)る全員も同じだと思う。


 中にはスマホ(スマートフォン)じゃなくて、ガラゲー(フューチャーフォン)やタブレットの人も居(い)る。


 良(よ)く良(よ)く考えてみたら、此処(中庭みたいな場所)が日本じゃなかったら──、抑(そもそも)電波の飛び交っていない世界だったとしたら、スマホ(スマートフォン)もガラゲー(フューチャーフォン)もタブレットも使えないのは当たり前だし、致し方無いかも知れない。






 私を含んだ多くの人達が何(ど)処(こ)かの中庭みたいな場所に居(い)ると気付いてから暫く経った後(あと)、見慣れない格好をした数名の人達が歩きながら現れた。


 この世界の服装かなぁ??


 中庭みたいな場所へ入って来(き)た数名の人達に対して、野次が飛ぶ。


 怒っている人,困っている人,嘆いている人,泣いている人,冷静に説明を求める人──、皆(みんな)バラバラに己の感情を声に出して、相手へ容赦なく浴びせている。


 相手側も1度に大勢の人から色(いろ)々(いろ)な感情をぶ(・)つ(・)け(・)ら(・)れ(・)て(・)困っているみたいに見える。


 私の気持ちを代弁してもらえているから有(あ)り難(がた)い。


 不安がったり怒ったりしている人達が居(い)る中で、そうでもない人達も若干居(い)た。


 「 異世界 」だとか「 異世界転移 」だとか「 異世界召喚 」だとか「 勇者 」だとか「 聖女 」だとか「 チート 」だとか──、厨二病じみた言葉も飛び交っていて私の耳にも入って来(く)る。


 どうやらは(・)し(・)ゃ(・)い(・)で(・)いるのは学生達が多いみたい。


 出来る事なら私も彼等の中に混ざりたいけど、年齢的には無理だろうな。


 私だって学生の頃はアニメを見ていたし、漫画だって買って読んでいた。


 友達に借りてゲームで遊んだ事だってある。


 だけど、高校を卒業して就職をしたら職場に慣れないといけなくて、アニメや漫画,ゲームからは御無沙汰している。


 録画機能の付いたデジタルテレビを買ってからは、録画したアニメやバラエティ,ドラマを見るようになったけど。

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