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近頃の城内は明るく華やかになったと感じる。
侍女たちに練習と称して、真っ白なエプロンに刺繍を施していく。これが毎日の日課。
勿論、勉強もしっかりやっていますよ。元々のアリシアちゃんが天才的だったし……私のせいで評判を落とすわけにはいかない。
空いた時間に草花、蝶、鳥などを美しく縫い付ける。
《侍女たちのエプロンは粗方終わったし……城内のカーテンやクロスにもやっちゃおう!》
そんなことを毎日繰り返しやっていたら……
シンプルで冷たい印象のお城の中が暖かい春の様な明るい雰囲気に変わっていった。もそも刺繍をする人が少ないんだって。“ simple is best ”の国だからね。
城の針子とか城下でも数人しか出来ないらしいよ。難しいし、出来上がりまで時間かかるし趣味としてやるには面倒?なんだってさ。
楽しいのに……
でも最近は自分の小物に簡単な刺繍を施している人が増えたと聞く。徐々に拡散しようと考えを練っていたけど、あっという間に広がってくれて嬉しい。
《城内が自分好みに変わって♡嬉しいな。》
実際……ところ構わず刺繍しまくっていたらヤバいやつよ。でもみんなあたたか~い目で見守ってくれてるし、ただの刺繍にめちゃくちゃはまった子にしか見えない。
むしろ明るい雰囲気になって生き生きと働いてみえる。様な気がする……と言うことにしておこう!
そんなある日、
『姫様の刺繍したものを着けているときは、疲れがとれ元気になると感じるのです。』
『病気になる人も少なくなり、怪我した人も傷がいつの間にか治っています。過労などで体調を崩す人も減ったようです。』
とマリーに言われた。
《あーーそれは癒しの力があるからよ……》
まだしも発動してないようだけど、微量の光魔法使えちゃうんだと思う。
光魔法は、【癒しの力(治癒力)】
【浄化】
【進化】
【無効化】
持っていたらラッキー!なハイスペックな魔法よ。発動すると髪の毛が七色に光輝く。今はまだウェーブのかかった金髪のまま。アリシア10歳前後で発動する予定だし、間もなくなのかな。なんらかのきっかけで発動するんだったよなー。
こっちに転生してから、記憶が曖昧になってきたんだよ。忘れないうちに色々書き出しておいたけど……ここ最近は思い出そうとしても思い出せないことが多くなってきた。バッドエンドに進んだら困るのに……
光魔法が少しでも使えるのなら、みんなの為に使おうかな。物に癒しの力が込められるのなら、身に付けられるものがいい。
《《 タッセルにしよう!! 》》
これなら身に付けられるし、お守りとしてもいいかも。
《早速図案考えて……沢山の糸と布、飾りが欲しい!高級な物だと気を使ってしまうだろうから……》
《城下町へ行って買ってこよう!!一度行ってみたかったし、どんなものが売ってるのか。どんなものが流行っているのか気になるし!》
勝手に行ったら駄目だからー……怒られちゃうよね……正攻法でお父様にお願いしにいこう!!っと!!
またまた、楽しみできちゃった☆☆