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《年齢………年齢………年齢………》
見た目だと、中学生?小学生高学年?
クリスお兄様がまだこの国にいるんだから、10歳未満確定なのよね。アリシアのこの美しさ……大人っぽさすごいよ。アリシアちゃん!
《情報収集といきますか!》
ふらふらと部屋を出て廊下に出てみる。
城で働く人達は、アリシアに満面の笑みを浮かべ、ペコリと挨拶をして颯爽と去っていく。
《みんな忙しそうだなぁ》
ふと、窓の外を眺めてみると……
《あれ?この香り!!》
香りの正体を求めて、突然走り出すアリシア。
『姫様?!』
『姫様ー!どうされたのですか?』
『お待ち下さーい!!走ってはいけませーん!』
《この香り知ってる!!》
廊下を抜け、階段を降り、庭園に続く扉を力一杯押し開ける。
「やっぱり!!ラベンダーだ!!」
この国にもあるんだ!私の大好きな香り。
『姫様!いけません!いつも言っているではありませんか。』
『走り回るなど淑女としてあってはならないことです。』
ラベンダーの花に夢中で聞いていない。
『姫様聞いていますか?』
「はーい。ごめんなさーーーい☆」
全く反省してはいないけど、とりあえず誤っておこう。中身はなんたって社会人!
でもねー子供は風の子。元気に走り回るのが仕事なんだよーー!と心の中でも叫ぶ!
「ねーねー。このお花なあに?」
可愛らしく言ってみる。
『この花は、ラベンダーですね。』
「ラベンダー?」
やっぱり!ラベンダーの花が咲いているんだから、花の見頃は、確か……7月……だったかな。ということは……クリスお兄様の誕生日は夏の終わり。秋頃?
《これは使えるわ~♪》
「ねぇ……少し相談があるの。」
「このラベンダーでクリスお兄様に、お誕生日のプレゼント、匂い袋を作って差し上げたいの。」
「でも、今から作っても間に合うかしら……?」
可愛らしく、目をパチパチさせて聞いてみる♡
『そうですね。クリストファー殿下のお誕生日が、あとふた月ですから……………十分間に合うかと。』
《よし!!情報ゲットー!》
見えないように小さくガッツポーズ!
『姫様は最近刺繍の腕があがってきたようですので、殿下の誕生花など刺繍してみたらいかがですか?』
「お兄様の誕生花は何だったかしら?」
『ダリアでございます。』
《よっしゃあ!!誕生日ゲットー!!》
ダリアは9月の誕生花。……ちなみに9月23日!!
力強くガッツポーズ!…………あっやば!!
ガッツポーズからの可憐に頬に手を添えてみる。大丈夫?ばれてない?ふぅー落ち着こう。
「それでは、ダリアの花を刺繍してみようかな。」
ダリアの花の刺繍を袋にして、中身がラベンダー…………カオス……いいのかー?!まぁアリシアだし。まだ子供だし……超絶可愛いし!!許される!許される!?
《あとは歳だけだなー》
『姫様。ラベンダーの花は庭師に刈り取らせましょう。乾燥させたのち、お持ちいたします。』
ぴっこーん!閃いちゃいました!!
「あのね……」
「お兄様の歳の数だけ匂い袋に入れて差し上げたいの。」
「ダメかしら?」
はい!可愛くおねだり笑顔振り撒きまーす♡
『それはよろしいお考えですね!少々お待ち下さい。庭師を呼んで参ります。』
上手くいきました!あとは刈り取る本数を数えればいいだけ♪
しばらく待っていると、優しそうな白髭のお爺さんがやってきた。
『それでは刈り取らせていただきますな。姫様。』
いっぽーん……にほーん……さんぼーん…………………………………10ほーん……………………………………………………12本!………………
《クリスお兄様は12歳!》
ということで、私アリシア、9歳だった!
クリスお兄様のあとにアリシアの誕生日がくるので、間違いいない!!クリスお兄様がドラゴンレアールに行くまで、あと一年もないのか……
《ん?クリスお兄様の誕生日で何か事件あったような……思い出せない?なんだっけ??覚えていないってことはそんな重要ではないっか!》
《なんとかなるなる!問題ナッシンーグ!》
自分の歳がわかったことに満足し過ぎて、これから起こるであろう大事件のことは、すっかり!さっぱり!頭の中から消し去るお気楽アリシアだった……♪