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お誕生日舞踏会のお話です。

 クリスお兄様の誕生日がやってきた。


 この誕生日後、ドラゴンレアールに移り、公爵家の養子になり公子として生きていくが決まっている。

 

 今年で最後の誕生日パーティーとなる。国の貴族を集め盛大にお祝いすることになった。今までは国の重鎮だけの質素なお披露目会、舞踏会を開きお祝いしていた。


 公には隣国の公子になることは知らされていない。ドラゴンレアールの国内情勢が悪く、命を狙われる可能性があるらしい。


 筆頭公爵家の跡取りで宰相の息子と判れば危険なのかもね。


 従って、国内の一部の上位貴族重鎮しか知らない。他の貴族、国民は隣国に留学しに行くと思っている。


 


 『さぁ、姫様準備を致しましょうね。』

 

 マリーを含め多数の侍女が部屋へやってきた。

 

 《まだ午前中なんだけどーー》


 「もう準備をするの?」


 『今日は忙しくなります。王妃様からも指示がありましたので、やらなければならいことが多くあります。』


 「わかりました。よろしくね。」


 『本日はこちらの御召し物を着ていただきます。』


 見せられたのは紫色のふわふわドレス。


 《凄く可愛い!でもシンプル……》


 《一日中準備って言ってたよね。動かないで座っていれば準備が終わるって言ってた。つまり大人しく座っていれば何をしてもいいってことだよね。》



 《ちょこーっとドレスに刺繍しちゃおう♡》



 「ねぇマリー刺繍道具取って~」


 『まさか姫様……』


 《さすがマリー!言いたいことをわかってる。》


 『王妃様のご準備されたドレスに……』


 「大丈夫!お母様には言っておくし……変な風には絶対ならない!!」

 

 『姫様の刺繍の腕は素晴らしいのでそこは心配しておりませんが……』


 「お願いマリーこのままだと気分が乗らないの……」


 『わかりました。王妃様には、か・な・ら・ず許可を得てくださいね!』


 「はーーい!」


 ここから動けないらしいからお手紙にしよう。で、お母様が手紙を読んでいる間に刺繍を進めておけば……

 反対しても既に遅し……の状態にしちゃおう!


 《ふっふっふっふふ……》


 悪どい笑顔を浮かべるアリシアにため息をつくマリーであった。

 


 侍女たちの準備と刺繍をチクチクと平行させ、“見事!”というドレスを仕上げました!お母様ははじめ反対してたけど、出来上がりをみて素晴らしいと褒めてくれたよ。


 ついでに、お母様と同じ模様にしたい!と言ってお母様のドレスにも刺繍を施しました~!



 《《 満足!!!》》


 


 いよいよお誕生日舞踏会が始まる。


 お父様、お母様の間にクリスお兄様。続いて、アルお兄様にエスコートされアリシア入場。国王挨拶の後にクリストファー第2王子挨拶。その後、貴族が国王、王妃、王子たちにお祝いの挨拶……


 ひたすらお祝いの挨拶が続く……


 《長いな~早く終わらないかな……》


 ボケッとしていたら終わったようで、クリスお兄様がファーストダンスの相手を選ぶんだって。


 会場のご令嬢たちから黄色い声が上がる。


 誰が選ばれるのかなぁとドキドキしながら眺めていると……


『アリシア踊って!』


 「「へ?!」」

 

 とキラキラと輝く笑顔でクリスお兄様からお誘いが……


 《え?ファーストダンス妹でいいの?そりゃ嬉しいけれどもさぁ。令嬢たちの視線めっちゃ恐いんですけど……》


 “ 自分より目上の方に誘いを受けたら引き受けなければなりません。”ってダンスの先生言ってたし……お兄様と踊るの最初で最後になるかも知れないしな。


 「はい!お兄様!」


 と笑顔で手を取り踊り出す。

 


 令嬢たち恐すぎる……踊っている最中も睨まれたし、冷ややかな笑顔で見てくるし……舌打ちが聴こえたような……


 その後アルお兄様と踊ったら……会場の中の温度下がったんじゃないっていうくらい寒い……令嬢ブリザード……恐ろしい……


 アルお兄様もクリスお兄様もダンスをせず、アリシアにピタリと張り付いて離れないし……令嬢恐いし……


 お兄様たちがご学友と話をし始めたので、側を離れようとしていたら、令嬢たちの話す声が聞こえてきた。



 『今は王女でもいずれ婚姻をすれば降嫁され、私たちより立場は低くなるかもしれないのよ。』

 

 『お兄様方にべったりくっついて未来の皇太子妃、王子妃候補達を牽制するなんて……』


 『本当に信じられませんわ!!』


 『美しい容姿をしてますけれども中身は醜いのよ!』

 


 などとアリシアにしか聞こえないような小声で話している……


 《酷くね……一応王女なんだけど……まだ立場は上なんだけど……同年代のお友達出来るかも!って期待してたのにー》


 《中身が醜いのはあんたたちだー!》って言ってやりたい。



 我慢、我慢。王族は如何なる時も冷静に。



 この場所から去ろうと思っていたら、お兄様達と繋いでいた手を強く握られる。

 《いて……》

 チラッとお兄様たちをみるとめっちゃ怒ってる。笑顔に青筋立ってる。

 


 《これはまずいぞ。怒りだす前に何とかしなくては……》

 

 空気を読んでかはわからないけど、お兄様方のご学友がアリシアに声を掛けてきた。


 『アルフレッド殿下、アリシア姫様を紹介してください。』

 『こんなに可愛らしい方だったなんて。』

 『アリシア姫様の可愛らしいお話など殿下方からいつもお聞きしていますよ!』

 『御会いできるのを楽しみにしていました!』

 『以後お見知りおきを……』


 ご学友たちの圧も凄まじい!!こちらもお家のため……といった感じかな……可愛らしい話?は気になったけど、今はスルー。


 王女を嫁に貰えば地位がかなりあがるしね。そりゃ御近づきになりたいわな。


 《貴族社会めんどくさ。》


 とりあえず微笑むだけにした。とびっきりのキラキラスマイルを浮かべて……

 

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