13
“いよいよ町へpart3”
本日の一番の目的!手芸店にやってきました。
城に勤める針子のお姉さんがオススメの手芸屋さんを教えてくれたんだ。
国で一番大きなお店。近隣諸国、諸外国から珍しい布や糸、種類豊富なビーズパーツにガラス玉。欲しい素材はこの店で全て揃うらしい。
中へ入ると懐かしい匂い……あの頃の職場の香りがする。色とりどりの布、糸等を次々と籠へいれる。
《これくらいあればいいかな!》
流石に持ちきれないほど買ってしまった。
《買いすぎたかな。どうやって持ち帰ろう……そこまで考えていなかった。》
どうしようか悩んでいるとアルお兄様が側にやってきた。
『任せなさい!』
と言い残し何処かへ……
アルお兄様が店のオーナーと話をつけ、城まで配達してくれることになった。
「お兄様申し訳ありません……考えずに買ってしまいました……」
しゅんとして言う。流石に反省。
『いいんだよ。気にしないで。最近のアリシアは楽しそうだよね。真剣に何かを作っているアリシアの姿をみるのが好きなんだ。それに頻繁に城下へは来れないでしょ。ちゃんと欲しいものを考えて買っていたようだし問題ないよ。欲しいものが手に入ってよかったね!!』
「はい!ありがとうございますお兄様。」
優しいお兄様でアリシアは幸せものです。今日手に入れたものたちでみんなの幸せ、元気の為に素敵な良いものを作らせていただくわ!
《早速帰ったら取りかかるぞ~!》
買い物も終わり、あとはゆっくり来た道を戻る。馬車に乗り帰るだけ。
《楽しかったな。また来れるといいな~》
街並みを目に焼き付けておこうと辺りをキョロキョロ見ながら歩く。近くにいた少年たちの話し声が聞こえてきた。
『『ふわふわ買いに行こうぜ!』』
《なぬ??ふわふわ?》
《なんじゃそりゃ?気になる。》
少年たちは走って行ってしまった。後を追いかけるようにアリシアも走り出す。
『あっ!アリィー!?待って!!』
クリスお兄様の呼び止める声がする。
アリシアは“ふわふわ”が気になり過ぎてそれどころではない。
モフモフ、ふわふわは正義!見たい!触りたい!欲しい!側を離れちゃいけないことなど、もう既に頭にはない。
人混みをかき分けて少年たちを追いかけていく。何処までいくのー?少年たちがある店の前で止まった。
《ふわふわちゃーん!!》
そのお店には虹色のふわふわしたものが……
《あれがふわふわ?うわーキレイ!わたあめみたい。》
「あれは何?」
少年たちに聞いてみる。
『ふわふわだよ。砂糖菓子だよ!』
《やっぱり!わたあめだ!》
「お姉さん、1個下さい!」
ふわふわの上にお花がのってる!食べられるんだって!あれかなー“エディブル・フラワー”っていうやつ。
見た目可愛いから映えるなこれ!甘くて美味しい!!
ふわふわを食べ歩きしながら、ふと気付く。
《やっば!はぐれちゃった~…… 》
《ここどこ~!!》
焦ってオロオロしてると……
恐そうなおじさん3人が声をかけてきた。
『お嬢ちゃん。』
『こっち来な。良いとこ連れてってやるよ。』
「結構です。」
早歩きで逃げようとしたら……
無理やり、口を塞がれ手を引っ張られ路地裏につれていかれた……
「うーうーーっ」
うまく喋れない。頭を強くふると口を塞いでた手外れた。
「離して!!」
『可愛い子供手に入れたな。』
『高く売れるぞ。』
『早く売りにいこうぜ。』
《やばいよ……誰か助けて…………》
《こわいよー。》
お兄様たちの所からはぐれるんじゃなかった……
《お父様、お母様ごめんなさい。約束破ってごめんなさい……アルお兄様、クリスお兄様……勝手なことしてごめんなさい。》
後悔しても、もう遅い…………
……突然……
後ろから、“バシン”と鈍い音が聞こえる。
『なんだお前は!』
黒いフードを被った人が次々に悪党オヤジたちを倒していく。
《誰だかわからないけど、助けてーー!お願い!!》
《お・ね・が・い・しまーーす!》