終幕
[場所 : 宇宙空間 ]
[シーン : 戦闘パート]
[あらすじ: モエ、トウマ、ナツキ、カエデが、機動兵器の大部隊と戦う]
モエ :「―――――――――」
トウマ:「さ〜て、あたしの獲物はどいつだい」
ナツキ:「バァルカンッ」
カエデ:「任務了解。破壊する・・・・・・」
四機、大いに敵を打ち破る。
隊長機、敵軍の中より現れる。
通信画面に、隊長機がうつる。
???:「フッ、あまいな」
モエ :「―――――――」
???:「いまのわたしは赤い彗星。それ以上ではない」
四機、隊長機に一斉攻撃。
隊長機、それを回避し、一対一の戦闘にもちこむ。
トウマ:「楓のことは、この場を借りて礼をいわせてもらうよ、ブラッドリー君。あんたとはいい酒が飲めそうだ」
???:「しかし、彼は小道具をこしらえたに過ぎないさ。シナリオを書いたのは君達だ」
隊長機、トウマ機を撃破。
ナツキ:「今度は勝つ! くらえっ、石破天驚拳っ!」
???:「ナツキ、君は純粋すぎる。かけひきを覚えろ。ゲームに勝つためには、な」
隊長機、ナツキ機を撃破。
カエデ:「いい歳なのに大人げないですよ。アニメばかりみて」
???:「フッ。君は君の道をゆくといい。勝利の栄光を君に!」
隊長機、カエデ機を撃破。
モエ :「―――――」
???:「残ったのは君だけだ、モエ」
モエ :「―――――」
レーダー反応。
新しい機体、登場。
???:「来たか。こうも予測どおりに事が運ぶとはな」
新型機と隊長機の戦闘。
通信画面に、新しい機体から通信がはいる。
カスミ:「わたくしたちは彷徨いながら未来をつかむ」
???:「傲慢だな、君は。これは彼の夢だというのに」
カスミ:「それでも・・・! それでも、わたくしは!」
???:「ええい、目的語をつけろ! なにがしたいんだね、君は!」
カスミ:「ふふ・・・・・信じられないかもしれませんが、わたくしは嫌いじゃないですわ」
???:「まったく・・・・君という奴は・・・・!」
カスミ:「ふふふふ」
モエ :「カスミさん、あなたを待っていました」
カスミ:「クスクス。おくれてごめんね。モエさん」
カスミ機、隊長機を攻撃。
隊長機、攻撃を回避。
???:「フッ。君の機体は『ミーティア換装型スーパーフリーダムロボット』という。
豪華絢爛、傲岸不遜、自分勝手なところが、今の君の状況にうってつけといえる」
カスミ:「うふふふ。大きなお世話ですわ。だって、わたくしは戦いに来たわけではありませんもの」
???:「ほお・・・」
カスミ:「モエさん。もう、あなたは気がついていますわよね。彼を越える方法を」
モエ :「ええ。わたしには、もう劇がみえていないもの」
???:「みえていないだと?」
カスミ:「うふふふ。【チャンスは一度】。わたくしが作って差し上げますわ」
カスミ機、特攻。
隊長機、特攻を回避。
???:「機体の性能の差が戦力の決定的な差ではないということを・・・・・・・教えてやる!」
隊長機、カスミ機を撃破。
カスミ機、霞散。
モエ :「!」
「できた・・・・・」
「これよ、萌さん。この舞台裏をひらくのが【役者】の力」
「さすが姉さんです」
「なにいってんだい、楓。これはあたしたち姉妹の力さ」
「そうよ。楓やみんながいたから、わたしは最後まで【舞台】を下りずに頑張ることができたのよ」
「意味わかんねーよ」
「だって夢のなかだもん」
五人は笑みをかわした。
「ほんと、色々あったけど・・・・・・うん。わたしは楽しかった。ギャルゲーだけは、ちょっと無理だけどね」
「わたしも楽しかったです。いろいろとご迷惑をおかけしましたけれど・・・・・みなさん、ありがとうございました」
「・・・・・・・わたしも」
「まあ、たまにはね」
「遊んだ、遊んだ」
「それじゃあ。カーテンコール、盛り上げていこう!」
カスミの乗る戦艦ロボは霧散した。
赤い彗星の二つ名のとおり、隊長が操る赤い機動メカは、通常の機動メカとは動きが圧倒的にちがう。
宇宙スーツごしにチリチリ肌を刺すようなプレッシャーを受けながらも、モエはビームサーベルを抜いて赤い機体に斬りかかる。
モエ :「わたしは引きません! あなたを倒します! わたしの命を引き換えにしても!」
???:「フフ、それでこそ私のライバルだ。だが・・・・・!」
赤い機体はモエの一撃をビームホークではじくと、ふきとぶモエの機体にマシンガンで追い討ちをかけた。態勢をたてなおしたモエが
ビームライフルで反撃すると、乱れ飛ぶビームを猛スピードで回避しながらショルダーチャージをくらわせる。
そして、再度ふきとぶモエの機体に、追い討ちのバズーカを全弾命中させた。
モエ :「・・・・・・・!」
モエの機体が爆発に包まれる。
爆散する機体にむかい、ニヒルな決め台詞を決めようとしたところで、仮面のパイロットは絶句する。
???:「な、なんと・・・・・・!」
爆炎の中から、さきほどとは違う機体が現れる。元ネタを知る冬眞の入れ知恵で、香澄が彼の知識から拝借したのだ。
夢にもルールがあるのだ。ゆめなりに。
モエ :「わからないでしょう。戦争を遊びにする貴方には分からないでしょう。この機体を通して、わたしに伝わる力が」
カスミ:「モエはそれを体現するマシンに乗っているわ」
トウマ:「ワカクサロボにね」
ナツキ:「少し遅れたけどよ」
カエデ:「こうして夢の中で出会えました」
どこだか分からない精神世界で、なにを言っているのか分からない台詞をのたまい、ふざけた妄想は
クライマックスに突入する。
???:「ええいっ、連邦の機体は化物か!」
萌がこしらえたのは、たった一つの武器だけだった。
【夢を終わらせる力があるかわり、五人が心を合わせなければ使えない】という設定。
モエ:「みんな、準備はいいですか!」
4人:「おうっ」
ワカクサロボが両手にさげた武器にエネルギーをこめる。そうはさせんと、赤い機体がマシンガンを乱射して突っ込んでくるが、
機体を覆うバリアが全弾はじきかえす。
5人は大きく、深く、ゆっくりと、息を吸い込む。
久しく胸の奥におしこめていた、
煮えたぎる思いを、
ありったけの大声でときはなった。
「こんのバカアメリカ人がぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
宇宙より大きな超特大ハリセンが、赤い機体ごとブラッド君を張り飛ばし――――――――――――――――――――――――――――――
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夢は、おわった。