スパロボ戦記 5
パイロット紹介。
若草 冬眞・・・近接回避型。「根性」「応援」「熱血」「集中」「気合」「愛」
若草 萌 ・・・バランス型。「努力」「信頼」「幸運」「補給」「激励」「夢」
若草 夏希・・・近接攻撃型。「加速」「鉄壁」「ド根性」「特攻」「気迫」「魂」
若草 楓 ・・・遠距離型。[偵察」「ひらめき」「探索」「必中」「友情」「奇跡」
気分一新。闘志再燃。初志貫徹。
夏希:「ちきしょう、あんのやろぉーっ!」
冬眞:「あの嬢ちゃん、ちょっとおイタがすぎたね」
萌 :「うらぎったな! ボクの気持ちを裏切ったな!」
楓 :「姉さん、それはちが・・・・・・」
深夜零時。
星空光輝。銀色満月。
東京上空。
目前東京電波送信塔。但是、冥界樹化。
萌 :「よかった。今度は小学生になってないです」
冬眞:「なんだ。そんなにちっこいからてっきり―――――」
萌 :「それ以上言うと、背中から撃ちますよ?」
姉妹談笑?
乗機変更。其名【白虎】【青龍】【朱雀】【玄武】也。
姉妹、皆、巫女装束。
冬眞:「楓ちゃん、巫女服にあってるよー。起きたらあたしの貸してあげる」
楓 :「冬眞姉さん、神社で働いていたの?」
萌 :「・・・・・・楓ちゃんは純真です」
警告! 警告!
敵機襲来!
敵機襲来!
夏希:「へっ、おいでなすったな、化け物どもが!」
冬眞:「いまのあたしはハイな気分だ。本気でいかせてもらうよ」
楓 :「・・・・・・バカばっか」
萌 :「各機散開! 風水陣、いきます!」
三人:『応!』
玄武。冬眞、北方守護者也。
青龍。萌、東方守護者也。
朱雀。夏希、南方守護者也。
白虎。楓、北方守護者也。
萌:「四神の力よ、疾く参れ! 聖・獣・合・体!」
♪ 輝く 紅の羽 今 今 はばたけ
吾は四神王 無敵の超機神
天河をかける 聖獣の 命うけて 戦わん
百邪斬断! 灼熱の炎で 敵を討て
天魔調伏! 四神の力で 悪しき夢をうちくだけ
嗚呼 吾に敵なし
銀色の満月のもと、東洋の神秘が炸裂する。白、青、赤、黒の光が螺旋を描いて闇夜に風水陣を紡ぎだし、
東西南北からつっこんできた四機のメカがぶつかりあって、めくるめく炎と風と水と土の嵐から、巨大ロボが爆誕する。
萌 :「四つの力を一つに合わせ・・・・・・・四神王、見参ですっ!」
香澄:「あ、あいかわらず、斬新ですわね・・・・・」
ここは魔法少女の世界。
冥界樹と化した東京タワーの横にうかぶ少女がモニターに映し出されると、萌は無性に嬉しくなった。
萌 :「うふふふふふふふ」
香澄:「な、なんですの。そのリアクション・・・・・?」
萌 :「仲間、です」
この世界で、香澄はライバル役の魔法少女だった。だから、黒のハイレグっぽいセクシイな衣装を着ていたのだが、
そのスタイルは、ニッポンジン、だった。
冬眞:「♪ ばたん ぴたん ぺったんこ」
香澄:「――――っ!」
声にならない悲鳴。
香澄が恥ずかしそうに背中のマントで胸元をかくした。
それから(どうやったんだか)カメラをアップに切り替えて、元気よく怒った。
香澄:「もおっ!許しませんわったら許しませんわぁ! 召還!」
香澄が踊るように空をとんでマジカルバトンを回すと、冥界樹のなかから人魂っぽいソウルロボが次から次へと召還されてきた。
空を埋め尽くして襲い来る百万のお化けを、萌たちもハイテンションで迎撃する。
楓&冬眞:「神州霊山、移山召還、急々如律令!」
萌&夏希:「計都羅喉剣、暗・剣・殺!」
最初からクライマックス。
大山を落とし、剣圧でまとめてぶったぎる。四神王は圧倒的なパワーで百万のソウルを蹴散らすと、神の雷を落として冥界の大樹を焼き払った。
闇夜に燃え上がる333メートルの冥界樹。
豪華特大キャンプファイヤーの炎から、天をつく巨大な影が姿を現す―――――――――
4人:「うわぁ・・・・」
香澄:「オーホッホッホッホッホッ、オオーホッホッホッホッホッホッホッホ!」
頭にのった六角帽。恐ろしげな赤ら顔。手には破戒棒と閻魔帳。
業火の中から現れ出でたのは、鎌倉の大仏よりもバカでかい閻魔大王っぽいロボだった。
香澄:「オーホッホッホッ、この東嶽大帝にかなうと思いまして!?」
やけくそめいた笑い声をあげると、香澄は頭の六角帽から閻魔ロボに乗り込んだ。
閻魔ロボは(破戒棒と閻魔帳を律儀に地面においてから)、両手をあわせて三角形を、ついで逆三角形をつくった。
香澄:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。
我れは求め訴えたり! いでよ、第一使徒から第12使徒!」
怪しい呪文をとなえると、悪夢と怨念がとび出した。
歪んだ空間から(WASP的に)やばげなネーミングがつけられた化け物たち――――――胸にドクロをもつ化物やら、白い鮫っぽいやつ、
黒い巨大ピラミッドにしかみえない化物――――などが召還され、一斉に火炎やら光線やらで攻撃をしかけてきた。
萌 :「跳ね返して! 龍鱗甲!」
楓 :「だめです。念動フィールド、もちません」
冬眞:「なんてこったい」
香澄:「オーホッホッホ! わたくしを忘れていただいては困りますわったら困りますわ! 極大消滅呪文!」
萌 :「きゃあああっ! けど、わたしたちは一歩も引きません! それが私達、若草姉妹なのです!」
香澄:「殊勝な心がけですわね! でしたら破戒棒の威力をとくと思い知らせてあげますわ!」
夏希:「ぐううっ! 反撃だぁ! 龍虎河車! 雀武周天ッ!」
楓 :「デバイス開放。エネルギーフルチャージ」
萌 :「撃ちます! タイラント・オーバードレイクゥゥゥゥゥ!」
弾けるスーパーエネルギー。塵と消えゆく使徒と街並み。
中華っぽいメカと、インド原産のメカが咆哮をあげるたび、ビルが、駅前が、また一つ消えていく。
・・・・・・・・これって魔法少女ものですよね。楓がぽつりとつぶやいた。
小一時間に及ぶ激闘の末、トーキョーは圧壊した。
クレーターと成り果てた廃墟の上空で、傷ついた2体のロボが対峙する。
香澄:「はぁ、はぁ、な・・・・・・なかなか・・・・・・しぶ・・・・・・とい、です、わね。ケホッケホッ」
夏希:「こ、こえが・・・・・・」
萌 :「・・・・・・あ、あんた、ぶかつ、やってん、でしょ」
夏希:「『必殺のぉ背負い投げだぁ』って、さけぶかよ、げほっ」
楓 :「妙なところでリアルですね、この夢」
冬眞:「まったくだ。そのセンスがわからない」
技を使うたびに声優さんのように絶叫していたのだ。疲れていないのは、あまり叫ばない役の楓と、いい大人の冬眞だけだった。
とりわけ、普段はおしとやかだろうに、律儀に高笑いをつづけていた香澄は酸欠寸前だった。
冬眞:「そんじゃま、たまにはリーダーらしくしめますか」
楓 :「どうぞ。やっちゃってください」
香澄:「ち、ちょっ・・・・・・と、ま・・・・・・まって・・・・・・・・、ケホッケホッ」
楓 :「ごめんなさい。待ちません」
気力150。熱血+必中+愛。
四神王は天界より神弓【若草】を召還する。
楓 :「聖獣の力、壱の矢にこめて」
冬眞:「玄武! 青龍! 朱雀! 白虎!」
楓 :「・・・・・・・四神召還」
黒、青、赤、白の光が渦をまいて、つがえた矢に宿る。
東嶽大帝は閻魔帳をかざしてバリアをはる。
楓 :「いまこそ放て。若草の力」
冬眞:「OK.かっこよく決めちゃって」
楓 :「目標との相対距離算出。調整。・・・・・・・発射」
放たれた光の矢は閻魔ロボを一撃で浄化した。
光となって消えゆきながら、香澄が健気に捨て台詞をさけぶ。
香澄:「あ、あなたたち、これ・・・・・で、勝ったと、思うなよぉ、ですわ! ケホッケホッ」
冬眞:「あの子、身体はってんねー」
楓 :「ま、夢ですけどね」
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