表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/43

LUNA 4

赤竜:「アレスよ、よくぞ我が試練を乗り越えた。汝をドラゴンマスターにふさわしい勇者と認め、我が力を託そう」

 グオオオオオオオオオオオオオンッ 

 赤竜が竜っぽく(?)()くと、赤い光の玉がアレスの(てのひら)に宿り[赤竜の兜]になった。ドラゴンマスターになるために必要な四つの装備のうちの

一つを手に入れたのだ。

赤竜:「そして、モエよ。いえ、女神アルテナ様と、呼ばせていただきます」

モエ:「えっ、わたしのこと。まさか、わたしが、女神様の生まれ変わりなの・・・・・・・?」

赤竜:「あなた様が、ここまで来られたということは、赤竜めの封印をとけとの運命と受け取ります。しばし、目を閉じていてくださいませ」

 モエが目を閉じると、赤竜が炎のブレスを吐きかけてきた。すると、モエの内に眠っていた女神の力が開放され、

モエは赤竜の力を使えるようになった。

赤竜:「さあ。次は、青竜の司るヘーベル湖に向かうがいいでしょう。御武運をお祈りしています」

 そんなわけで、モエたちは三つめのエリアに渡った。



 旅も後半に差し掛かったのだろうか。

 三つ目のエリアでも、3人はいくつもの町をめぐり(略奪の限りを尽くし)、様々な趣向をこらしたダンジョンを堪能し、数多のモンスターを気持ちよく大量虐殺(ジェノサイド)した。

 赤竜に告げられたとおり、モエはただのヒロインではなく、世界の中心といえる女神アルテナそのものだった。なぜ人間に転生したのかはまだ不明だが、四匹の竜から四つの封印を解いてもらうことで、モエは【女神】に戻るらしい。

 赤竜によって開放されたのは【炎の力】で、モエがさっきの赤竜に変身して敵を焼き尽くす大技だったが、MP消費が激しく、ここ一番でしか使えないため、ザコ戦のときは、やっぱり後方で歌っているだけだった。

 ナツキとアレスは、レベルが上がるにつれてますます息があってきた。敵をうちあげての空中連続攻撃(エリアルレイブ)をくりだしたり、お互いをかばいあったり、

合体技をくりだしたりと、戦闘の醍醐味を存分に味わっていた。


「いいな、いいな。わたしも戦闘に参加したい〜」

「なに言ってんだよ。姉ちゃん、ケンカとかしたことないじゃん」

「うっ。それは、まあそうだけどさ・・・・・・なんか、わたしだけ疎外感(そがいかん)っていうか・・・・・・」

「ヒロインっていうのはそういうもんでしょ」

「うーっ。わたしも合体技き〜め〜た〜い〜!」

「姉ちゃん、攻撃魔法ないからね〜。あきらめなよ」

「うーっ。ゲームってのは参加しないとつまんないの!」

「してるじゃん。回復と補助。RPGの要だよ。いなくなったら一番困る役だよ」

「うーーっ! わたし○○○○じゃないもん!」


  

 再会は突然だった。

 錬金都市ザールブルグで家業(どろぼう)をこなした後、国境を越える許可をもらいにお城を訪ねると、アレスが国王に謁見してる間、

モエとナツキは空中都市ヴェーンからの使節団に出くわしたのだ。

???:「うふふふふ、ごきげんよう、みなさま」

 いかにも女王然とした紫色のローブをまとった、空中都市ヴェーンの宰相。

 腰まである金髪をたなびかせ、気品のある顔立ちに上品な笑顔をうかべている。

モエ :「あなたは・・・・・・!」

???:「うふふふふふふ」

 裏事情を知らなければ、またしてもコロっとだまされていそうな、透きとおった微笑み。 

 半神にして、絶大な魔力をもつ空中都市ヴェーンの宰相カスミ。

カスミ:「はじめまして――――と、ご挨拶させていただきますわ」

モエ :「はじめまして、カスミ様」(さっきはよくもやってくれたわね)

ナツキ:「・・・・・・・」

 姉妹がにらみつけると、カスミは毒のない微笑みをはりつけたまま芝居口調でつづけた。金色の髪はカツラだろうが、

今回といい、さっきといい、これがカスミの素顔だとしたら、現実でもセレブな日常を送っていそうな感じの女の子だ。

カスミ:「うふふ、あなたたちは特別な力をお持ちのようですね」

モエ :「いえいえ」

ナツキ:「それほどでも」

カスミ:「あらあら、あなたたちは姉妹のように息がピッタリですわね」

 萌と『もみじ』のやりとりをみていたのだろう。

 カスミが笑顔で皮肉をおりまぜてきた。

カスミ:「あなたにお似合いの舞台。わたくしが用意して差し上げますわ」

モエ :「どういう意味ですか」(くっ、やっぱり攻撃はできないか)

カスミ:「やる気のない伏線・・・・・・もとい、預言書の一節ですわ。悪しき意思もつもの現れるとき、光に導かれし者あらわれる。

    夢という名の闇に囚われぬよう、せいぜい励んでくださいませ。光を手に入れつつあるヒロインさん」

 そんなことを言い残して、ラスボス役は退場した。 

 カスミがどういう存在で、なにを考えているのか、萌にはさっぱり見当もつかなかった。

 けど――――

 なぜだろう。みていてむかつくけれど、今まで受けた仕打ちほどには、うらむ気にはなれなかった。




 カスミが治める空中都市ヴェーンは世界の中心に浮かんでいるらしいが、いまはまだ関係ない話だ。

 国王から通行証をとったアレス一行は、山門をこえ、山賊と戦い(ボコボコにして身ぐるみをはぎ)、なんかミニゲームで山菜をとったり釣りをした後、砂漠を歩いて次の町に到着した。


 

 [盗賊の町リッツァ]


 町に入った途端、イベントが起こった。

???:「おおっと、ごめんよ」

 フードを深くおろし、砂色の長衣(ローブ)をずっぽり被った人影が、アレスにぶつかってきたのだ。謎の人影が去ったあと、

アレスが腰に手をあてて顔色をかえた。

アレス:「やられた、アイテムをすられた!」

モエ :「うそっ」

ナツキ:「おいかけよう!」

 三人は走り出した。こういうイベントのときは、モエも全力疾走の二人についてくことができるのだ。

 盗賊の町というだけあって、町の構造は迷路のように複雑に入り組んでいた。あざけるように町中を走り回る人影を、三人は、町人の協力をとりつけて酒場の2Fに追いつめるが、そこで人影を見失ってしまう。

アレス:「どこだ、どこに逃げた」

モエ :「みて、あそこのカウンターに何か落ちてる」

アレス:「あ、ボクの革袋だ・・・・・・へんだな、何も盗られていない?」

 謎の人影は、なにも盗らずに姿を消してしまった。

 アレスは納得いかないようで、部屋のあちこちを丹念にみてまわったが、特に変わったところは見つからなかったようだった。

 いうまでもなく、これは伏線だ。モエは、なにかあるはだと調べてまわると、テーブルの足に彫られた文字に気づいた。


『あるべきすがたにかえれ』


(これは・・・・・・・・?) 

 萌はそのメッセージを自分の胸の内に秘めておくことにした。あの人が、こんなまわりくどいことをするのには、

それなりの理由があるに決まっているからだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ