Air6
なつき:「わたしはなつき。卑弥呼じゃない!」
萌 :「わかってる。さあ、こちらにおいで」
舞台は山奥に隠れされた古い祠。
突如として行方をくらませたなつきを、萌がやっとのことで発見したシーン。
なつき:「帰れない。わたしは遙を傷つけたもの」
萌 :「ばかだなあ、遙さんはそんなこと気にしていないよ」
なつき:「でも、でも・・・・・・」
萌 :「なつき・・・・・・帰っておいで。お前の居場所はこんなところじゃない」
なつき:「もういや! なつきの力で、誰かが傷つくのを見るのはたえられないよ!」
萌 :「オレがいつもそばにいる! いつだってお前を守ってみせる!」
なつき:「萌さん・・・・・」
萌 :「なつき・・・・・」
なつきが萌の手をとり、二人が目をうるませて抱き合ったとき。
突然、カットインするコンマ0の世界――――ガサッと揺れる草むら。
轟く銃声。
反応する夏希。
萌をかかえて横っ飛びする夏希。
二人をかすめる狙撃銃の弾丸――――――を経て、萌が目を白黒させる。
「な、ななな・・・・・・」
「姉ちゃん、槍を貸せ!」
萌がおたおたとポケットから槍をだすと、夏希はそれをひったくるように奪い取って山中に駆けていった。犯人を追いかけたのだと、萌が気づいたのは少し後になってからであった。
サワサワサワサワ サワサワサワサワサワ
サワサワサワサワ サワサワサワサワサワ
ひぐらしのなく頃に。
緑で咽かえる山奥で。
萌が夏希をみつけたとき、夏希は豊かな胸から血を流して事切れていた。
死の間際に、懸命にのばしたであろ指のさきには一文字のダイイングメッセージ。
『カ』
カタカナの『カ』か、漢字の『力』か、ひらがなの『か』か。それとも別のなにかか。
萌がメッセージを受け取ると、それが伝わったかのようなタイミングで、夏希の身体が地面に染み込むようにして霧散した。だが、さっき夏希に渡したロンギヌスの槍は、犯人に持ち去られたのか、どこにも見当たらなかった。