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SCもえ 4

 2日目。

もえ:「ふぇぇぇぇ、こんどはクモちがいだよー」

フユ:「てんどんはギャグの基本やからな」

 二匹目はデフォルメされた蜘蛛(くも)の化け物だった。リアル路線はやめたようである。

 バトンにまたがって飛んでいくと、今度はフユちゃんもまとめてクモの糸に絡めとられてしまった。

もえ:「うにゅぅ。もえはちょうちょさんじゃないよぉ!」 

フユ:「もえ、昨日封じたタコの力をつかうんや」

もえ:「わかったよ!」

 クモの巣に貼り付けられた姿勢で、もえは封印の書を出現させる。昨日まで無地だったページには、韓国語(ハングル)っぽい文字と水墨画(ちゅうごく)っぽいイラストが描かれていた。この勘違いは、ちょっとアメリカ人っぽい。

もえ:「冥界の魂を封じし書、我の前に金の(しとね)を開け! 契約の元にもえが命じる。

    黄泉(よみ)より出でませ、たこソウル!」

 空中にあらわれる黄金のふすま。

 雅びな音楽とともにふすまが開かれ、ずもももももももっと昨日の化物タコがあらわれる。タコが8本の触手を扇風機のように回転させると、もえたちを絡めとっていたクモの巣はバラバラに切り裂かれた。なんというか、シュールな光景だった。

 そして自由になった萌は、お約束の呪文をとなえてクモを封印した。


 

 3日目。

もえ:「うにゅぅ〜〜〜、こんなアメはいらないよぉ」

フユ:「二度あることは三度ある。基本に忠実なソウルや」

 大飴(キャンディー)のソウル。最初は、封印しやすそうなグルグルキャンディーの形態だったものが、どこからか飛んできたん謎の魔法で粉々に砕け散り、(あめ)のつぶてが雨のように降り注いできた。

 もえは痛い目にあいながらも、召還したクモの(ネット)で攻撃を受け止めると、三つ目のソウルも封印した。


 

 4日目。

 雲がかった月がきれいな夜。

もえ:「うにゅう、ほんとにヒョウさんがでたよぉ」

フユ:「ワイの予想どおりや」

 空にうかぶ、雹柄(・・)模様の巨大な豹。

 前もって立てておいた作戦どおり、もえはアメソウルをエサにして豹の油断をさそった。しかし、あと少しというところで、

またしても、どこからか飛んできた謎の魔法が、おいしそうにアメをしゃぷる豹を直撃した。

もえ:「うにゅっ!?」 

 グルルルルルルルルルルルルルルル

 食事のじゃまをされた豹さんが怒りのうなりをあげ、すごい勢いで空を蹴ってもえにむかってきた。

もえ:「ふええっ」

 もえはバトンにしがみつくと全速力で逃げだした。 

 けれど、哺乳類(ほにゅうるい)のくせに空をかけてくる巨大豹は、見た目どおりとても速かった。

フユ:「あかん、このままやったら追いつかれしまうでっ」

もえ:「そんなこといっても〜っ!」 

フユ:「どこか狭いところに誘い込むんやっ」

もえ:「そうだ、中学校の体育かん!」

 風の谷の王女ばりの低空アクロバット飛行で、もえはどうにか豹を体育館におびきよせることに成功したが、その際に派手に入り口をぶっ壊してしまった。でも不可抗力(まほうしょうじょ)だし、きっと許されるだろう。

 中学校の体育館は薄暗く、中には誰もいない―――――――――――――ようにみえたが、そうではなかった。明日のインターハイジュニアにむけて、髪をポニーテールにした柔道部の少女が一人、畳の上で居残り稽古(けいこ)にはげんでいた。

 だんっ!

 畳で受身をする少女に気づいた豹は、床をけって急ターンする。

もえ:「あぶないっ! きんきゅーしょーかん! たこソウル!」

 もえが封印の書をなげつけると、そこから巨大タコがあらわれて、豹に体当たりした。床をきしませ、激しく取っ組み合う巨大タコと巨大豹。巻きつく触手、飛び散る血しぶき。

少女:「・・・・・・・」

 もえの投げつけた封印の書は柔道部の少女の足元におちていた。

 少女は本を拾い上げると、

 なにかを思い出したように、

 なにかに気づいたように、

 左腕を下に、右腕を高くつきあげてポーズを決める。

少女:「変身っ!」


 しゅるるるっと黒帯がほどけて、どこに出しても恥ずかしくない健康的なスタイルがあらわになる。

 乙女の肢体は青い閃光につつまれて、スクール水着のような魔法ドレスになった。


少女:「夢見る魔法少女、ドリームキャプターなつき!

    およびてなくても只今参上っ!」

 ぶいっ!

 白いハチマキがとてもよく似合う脳天気な笑顔。ボーイッシュな顔立ちとはアンバランスに色気づいたスタイル。スク水で強調されたボディラインをつゆとも気にせずに、元気よく(ぶい)サインをする少女。

 二人目の魔法少女は、若草家の三女、若草夏希(わかくさなつき)だった。

「夏希、あなたまで!」萌はビックリした。

「あっ、やっぱり萌ねえか! うっわー、ずいぶん小さくなったな〜」

 魔法少女になった姉妹は、劇をはなれて再会をよろこびあった。

 その輪に雪だるまのぬいぐるみ型マスコットになってしまった長女も加わる。

「おう、夏希。あんたも夢に引っ張り込まれたのか」

「その声はまさか冬ねえ!? あははは、えいっ、ていっ!」

「いててっ。腕引っ張んじゃねぇよ。もげるもげる」

「あはははははは」「夏希、おいたはダメよ☆」「てめーら、後でしばく」


 


 そうこうするうちに、おぞましい断末魔とホラーな血しぶきがあがり、怪獣大決戦の決着がついた。大ダコを()み殺した豹が、血と墨まみれの牙をむきだしに、もえたちに突進してくる。

なつき:「この本は萌ねえがもっとけよ」

もえ :「なつきはどうするの」(夏希はほとんど()ねー)

なつき:「こうするのさ。蒸着(じょうちゃく)っ!」

 なつきが勇ましいポーズを決めると、なつきを中心に水飛沫(みずしぶき)()じけて、スク水ドレスの上にメタリックシルバーのパーツが装着されていく。カチューシャのような兜、ブラのような胸当て、スパッツのような(もも)当て。見ているほうが恥ずかしくなるスクール水着と鋼鉄のコラボレーション。

 だけど、夏希は気にしない。中三なのに。女の子なのに。

なつき:「いくぜ、ヒョウ野郎っ!」

 背中についたコンバーターから水色の蒸気を噴出。なつきは蒼き流星となって巨大豹のどてっ腹につっこんでいく。

なつき:「超必殺、なつきアターーーーーーック!!」 

 そのまんまや、と萌は心のなかでつっこんだ。

 なつきのぶちかましで、豹は悲鳴をあげて地面にたおれた。

なつき:「いまだ、萌ねえっ」

もえ :「よ〜しっ! 歪んだソウル、汝のあるべき姿に還れ! 臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・ぜーん!」

 

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