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みーたくんのひらひら

作者: 九藤 朋

 ちゃおっす、おれ源九郎。百歳のピチピチ仔猫にゃん。


挿絵(By みてみん)


 おれの一族はすごおく寿命が長いから、百歳でもまだ仔猫にゃんだよ。


 おれのお友達のみーたくんは、十二歳だけど、もうだいぶんおじいさん猫にゃん。あんまりそれっぽくないけどね。夜は猫の集会に出かけるし。



挿絵(By みてみん)



 だけど最近はおれから見ても、弱ってきたにゃあと思うんにゃ。

 動きが、弱々しくて、よく寝てる。まあ、猫はよく寝るんにゃけどね。

 みーたくん、近頃ではお返事代わりに尻尾をひらひらさせるようになった。

 にゃんだかおれはそれを見て、胸のあたりがきゅうってなったんにゃ。


 ある日、みーたくんは言った。


「源、そろそろお別れだよ」



挿絵(By みてみん)



「にゃに言ってるの、みーたくん?」

「僕はガンなんだ。治らない。じきに死ぬんだ」


挿絵(By みてみん)


「……そんにゃの嫌にゃ」

「源」

「いやにゃいやにゃいやにゃいやにゃ」


 だけど、おれがどう言ったって、にゃんとかにゃるものじゃにゃかった。

 ある、陽射しがポカポカの日、みーたくんはおれの見ている前で尻尾をひらひら、させた。ものを言うこともできにゃくにゃっていたから。



挿絵(By みてみん)



 それがみーたくんのさよならだった。





 みーたくん 

 みーたくん

 みーたくん

 みーたくん

 みーたくん










挿絵(By みてみん)









 おれがどんにゃに泣いてもみーたくんはもう答えてくれなくて、空はただただ青かった。


 いつか、会えるよね、みーたくん。

 ちょっと時間がかかるけど、そっちで待っててね。

 みーたくんの、ひらひら動く尻尾が、お空の向こうでお返事したように思えた。



挿絵(By みてみん)






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― 新着の感想 ―
[良い点] かわいっくて切なくって、たまらないお話でした。 横たわったみーたくんが尻尾をひらひらさせるところが特に……。 源ちゃんとみーたくんが、またいつかあえますように。 [一言] はじめまして、日…
[良い点]  レビュー、おめでとうございます。  源ちゃん、寂しいね。でねみーたくんのほかにもそんなお別れをしてきたお友だちがいたのかも知れませんね。  思い切り泣いて、また笑おう。  きっとお空の向…
[良い点] 長生きって良いようで寂しい気もしますよね。かわいいからこそ切なくて心に残るお話でした。 尻尾がひらひらとは浮かばなかったです! 勉強になりました! [一言] イラストがとってもかわいいです…
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