みーたくんのひらひら
ちゃおっす、おれ源九郎。百歳のピチピチ仔猫にゃん。
おれの一族はすごおく寿命が長いから、百歳でもまだ仔猫にゃんだよ。
おれのお友達のみーたくんは、十二歳だけど、もうだいぶんおじいさん猫にゃん。あんまりそれっぽくないけどね。夜は猫の集会に出かけるし。
だけど最近はおれから見ても、弱ってきたにゃあと思うんにゃ。
動きが、弱々しくて、よく寝てる。まあ、猫はよく寝るんにゃけどね。
みーたくん、近頃ではお返事代わりに尻尾をひらひらさせるようになった。
にゃんだかおれはそれを見て、胸のあたりがきゅうってなったんにゃ。
ある日、みーたくんは言った。
「源、そろそろお別れだよ」
「にゃに言ってるの、みーたくん?」
「僕はガンなんだ。治らない。じきに死ぬんだ」
「……そんにゃの嫌にゃ」
「源」
「いやにゃいやにゃいやにゃいやにゃ」
だけど、おれがどう言ったって、にゃんとかにゃるものじゃにゃかった。
ある、陽射しがポカポカの日、みーたくんはおれの見ている前で尻尾をひらひら、させた。ものを言うこともできにゃくにゃっていたから。
それがみーたくんのさよならだった。
みーたくん
みーたくん
みーたくん
みーたくん
みーたくん
おれがどんにゃに泣いてもみーたくんはもう答えてくれなくて、空はただただ青かった。
いつか、会えるよね、みーたくん。
ちょっと時間がかかるけど、そっちで待っててね。
みーたくんの、ひらひら動く尻尾が、お空の向こうでお返事したように思えた。