7.スキル獲得
遅れました。
いや~、この時期はホント忙しいっすね!
一月五日
内容を大幅に変更しました。
――ゴンッ!
「ぐはぁっ――」
場所は狭い路地裏。
オレの重い一撃がマルコスを気絶させる。
気絶して横になっているマルコスは、見方によっては死体のようだ。
ただでさえ細い体がさらに細くなったように見える。
これで、悪徳商人逮捕は完了した。
後は騎士の誰かが牢に運んでくれるだろう。
オレは表まで出て、戦闘を終えた騎士にマルコスの居場所を告げ拘束に向かわせる。
現在、オレは報酬の為『クエスト:悪徳商人の不正』を行っていた。
シナリオは、カルット商会日本支部責任者、マルコスの不正が発覚。マルコスとその関係者を逮捕せよ、というものだった。
攻撃を受けても殺してはならず、殺した場合報酬の量が下がってしまう。
護衛も殺してはいけないので拳で戦っていたが、想像以上に厳しい戦いだった。
報酬が減る事覚悟で殺した方が、効率的だったかも知れない。
路地裏から運ばれるマルコスを眺めていると、今回のクエスト提案者である騎士団長が此方に駆け寄ってきているのが見えた。
「代表!あなたのおかげでマルコスは逮捕できました。感謝します!」
騎士団長が手を伸ばし握手を求める。
オレも手を伸ばし、握手を交わした。
「感謝されるほどの事はしてないよ。それより、マルコスは一体何をしたんだ?」
馬車に運ばれているマルコスを横目に見ながら質問する。
「彼は先日起きた殺人事件の関与と脱税をしております。詳しくは暫くしないとわかりませんが、良くて鉱山送り、最悪死刑かと」
マルコスの処罰について、騎士団長が真剣な表情で答える。
オレは「ありがとう」とだけ答えると、少し遠くから騎士団長を呼ぶ声が聞こえた。
「団長、片付けが終わりました。冒険者たちには報酬を渡しておきましたので、そろそろ戻りましょう」
「そうか、ありがとう!代表、私たちはそろそろ戻ります。まだ仕事が残っていますので」
「ああ、お疲れ様」
騎士たちが「早く進め!!」と商人達を威圧しながら帰路につく。
列の先頭で市民に手を振っていた騎士団長が見えなくなった辺りで、今度は冒険者の話し声が聞こえた。
「思った以上に手ごたえなかったな~」
「大体は騎士たちが相手してくれたからね。こんなに貰っていいのか不安になってくるよ」
オレに気付いた冒険者たちが軽く会釈をして、冒険者ギルドへと歩みを進める。
オレは冒険者たちに「お疲れ様」とだけ言って別れを告げると、目の前にウィンドウが現れる。
ウィンドウには、
『クエスト:悪徳商人の不正をクリア。報酬として五千万円を獲得しました』
と書かれていた。
「そろそろスキルも購入してみるか」
オレはウィンドウを閉じて、【カタログ】まで移動する。
オレは画面の項目を《戦闘系スキル》に絞り込み、一番下まで移動。
一番下にある【筋力強化】から三番目の所にあるスキル。
オレはそれをタッチする。
すると、別のウィンドウが現れた。
――二億円を消費してノーマルスキル【魔力操作】を購入しますか?YES/NO――
オレは当然YESをタッチし、【魔力操作】を購入する。
――ノーマルスキル【魔力操作】を購入しました――
次にオレは項目を《非戦闘系スキル》に絞り込み、少しずつ下に移動しながら目的のスキルを探す。
半分くらいまで探し、遂に見つけたのでそれを購入する。
――レアスキル【礼儀作法】を獲得しました――
そして最後に、本命のスキルを購入する為、項目を《戦闘系スキル》の《エクストラスキル》に設定する。
戦闘系スキルだけだとかなりあるのだが、エクストラ以上のレア度になると数は激減していた。
オレは少しだけ画面を下に移動させ、本命のスキルを購入をする。
――エクストラスキル【魔闘術】を獲得しました――
オレが今日購入したスキルは三つ。
【魔力操作】【礼儀作法】【魔闘術】だ。
【魔力操作】と【魔闘術】は戦闘力強化の為なのだが、【礼儀作法】を購入したのには理由がある。そしてそれは、明日の入学式が関係している。
明日はオレやマリアが通い始める学院、エリオス学院の入学式なのだ。
公爵家の息子である以上、親の恥になるような無礼は許されない。
しかし日本から転生してきたオレは、綺麗な言葉遣いは御茶の子さいさいだが、立ち振る舞い等は少々苦手だ。
という事で【礼儀作法】で誤魔化す事にした。
【礼儀作法】を持てば平民でも貴族に無礼を働かない程度の礼儀はできると聞いた。
オレは公爵家の人間という立場上、執事に貴族の作法というのを学んでいる。
知識もあればスキルもある。
これで問題ないだろう。
明日の入学式に支障をきたしては困る。
今日は早く寝ておこう。




