3.仮想都市
結構時間を空けてしまいました...まだ全然投稿してないのに...
オレは目を覚まし、周囲を見回す。
ここは何処だろうか。
一言で言うなれば「黒の世界」。
何処を見回してみても黒、黒、黒。
しかし、そんな世界に古びた本が一冊。
表紙には『都市本』と書かれている少し古びた本だ。
とても分厚く、何かの辞書かと思えるくらい。
オレは本を手に取り読み始める。
当然ここで全て読むわけではなく、最重要事項として分類されている最初の方だけだ。
オレは黙々と読み続ける。
十何ページか読み終わり、右下に『最重要事項、都市について終了』と書かれている所まで読み終わった。
疲れたなと思い、目を少し休ませながらも興味本位でページをめくる。
すると、少本の中から一枚の紙が飛び出してきた。
急な事で驚いたが、何とかキャッチしたオレは紙の方に視線を落とす。
書かれている内容は以下の通り。
契約書
メリット
・【メニュー】が獲得できる。
・現実世界で【メニュー】が使用可能になる。
・都市で生産されたものは、現実世界へ持ち運びが可能となる。
・獲得したスキル等は現実世界でも使用できる。
デメリット
・『拠点』が破壊された場合、契約同意者は死亡する。
・こちらの世界で契約同意者が死亡した場合、その状態で転移前の場所へと転送される。
・何らかの理由で契約同意者が死亡した場合、都市は消滅する。
同意する場合は、紙に魔力を流してください。
以上の事が他の字より少し大きく、目立つように記されていた。
その下には、さらに細かな事や、メリットとして記載されている事の多くにあった【メニュー】という物の大まかな情報が書かれている。
少し悩んでいたオレだが、【メニュー】の内容を見て答えを出した。
オレは契約の方法として記載されている通りに、紙に魔力を流す。
――【メニュー】取得条件、クリア。これより【メニュー】の取得を開始します――
――成功。【メニュー】を取得しました――
――都市情報を表示します――
都市情報
ウィル・べーレント
都市名:未記入
都市レベル:1
資金:一億
――次に【メニュー】の項目を表示します――
【メニュー】
・カタログ
・売却
・インベントリ
・都市管理
無機質な声が聞こえなくなった辺りで、目の前に『START』と書かれたウィンドウが現れる。
オレは『START』をタッチして、黒の世界から姿を消した。
■ ■ ■
オレは再び目を覚ます。
上を見ると青い空、下を見ると自然豊かな草原。
ここで都市を造れと言う事だろう。
オレは早速作業に取り掛かる。
まずは拠点を建てる。
拠点は一千万で購入できる建物だ。
拠点を建てることで拠点を中心とした半径五百メートル以内に魔物が出現しなくなり、家や施設などが安全に建てられるようになる。
オレはまず【カタログ】を開く。
【カタログ】には《全て》《施設》《設備》《スキル》《レシピ》等と多くの項目が書かれていた。
オレは項目を《施設》に設定し、一番上にあった『拠点』を購入する。
すると、オレの目の前に清潔感ある大きな家が出来た。
中に入ってみたが、外見通りの内装だ。
恐らく、いや十中八九これが拠点だろう。
これでオレの住む家ができたわけだ。
現実世界にはいつでも戻ることができるみたいなので内装はあまり重視していなかったが、これなら最悪仮想世界に住んでみてもいいかもしれない。
オレはそんな事を考えながらも、すぐに次の作業に取り掛かる。
次にやるのは住民を呼ぶことだ。
「住民は確か――――「ガルゥゥガルゥゥ」ん?」
突如聞こえてきた嫌悪感ある声の方を振り向く。
振り向くと、一匹の狼がオレを喰らおうと走ってきていた。
オレは反射的に避け、狼を見据える。
体長は二メートルほど。強靭な牙と銀色の毛並みを持った狼。
名前はシルバーウルフ。
ランクDの魔物だ。
補足
冒険者ギルドの魔物に対する強さはランクで決まっています。
細かいことは本編で話します。




