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1.異世界転生への準備

皆さんこんにちは!焼き醤油です!

今回から始まりました作品、スキル【仮想都市】での都市造り。

処女作ということもあり、(悪い意味で)かなりの語彙力ですが、長い目で見ていただくと嬉しいです。

それではどうぞ!

とある部屋の中央。

面白そうにチェスを指しながら少年が一人、椅子にポツンと座っている。

大人サイズで作られた椅子が少年に合うはずもなく、その姿は少しだらしない。

この部屋にいるのはオレとこの少年の二人だけ。当然、対戦相手はオレだ。


「チェックメイト」

「またか......」

「君は面白い手で来るから飽きないよ。さぁ、もう一局やろう。負けたほうが駒並べてね」


オレは髪を掻きながら駒を並べる。

子供のほうは上機嫌だ。鼻歌まで歌っている。


この部屋は中央にテーブルとイスが置いてあり、端の方には本棚に詰められた数々のゲームが存在する。チェスだけでなく、将棋や人生ゲーム。さらにはマイナーなボードゲームなどがあり、俺が知らないものも多い。まさに遊戯のためだけに作られた部屋といえるだろう。実際、この部屋の端すべてがゲーム入りの本棚で埋まっており、タンス等の必需品は部屋の隅っこにドンっと置いてある。


「チェス以外のゲームはやらないのか?」

「だって、チェスが一番好きなんだもん。君だって、人生ゲームとかよりはこっちのほうが好きでしょ?|」


確かに人生ゲームなどの運で勝敗が決まるようなゲームよりは、チェスなどの『二人零和有限確定完全情報ゲーム』と呼ばれる実力だけで勝敗が決するゲームのほうが好きだ。

だが何連敗もしている中で肯定できるわけがない。


「オレが先行でいいか?」

「いいよ~」


オレは駒を動かし始めた。




学校からの帰宅中、俺は交通事故で死んだ。

青信号だったので特に車を気にすることなく渡っていたがその結果がこれだ。

オレは轢かれたことに気が付いたのは死ぬほんの少し前だ。

最後に何か言おうと思ったが、特に未練とかもなかったので無言のままオレは生涯を終えた。


そして気が付いたらこの部屋にいた。

壁の近くには本棚に無造作に並べてあるゲームの数々。入りきらずに出ている物もある。

壁には大きな時計しか飾られておらず、その時計が強調されているような気がする。

そんな部屋の中で一人の少年らしき人物を見つけた。

何か知っているかも知れないと思い、少年に近づくと少年はゲームをするよう誘ってきた。

オレは断ろうとしたが、少年は続けて「遊んでくれないと教えないよ?」と言ってきた。

そのためオレは、仕方なく少年の向かい側の椅子に座りゲームを始めたのだ。

そしてゲーム中、オレはこの少年に言われたのだ。

「君は死んだ。でも、運が良かったね。チャンスがあるよ」と。




「転生......?」

「そう、どうする?」


少年――マイアが首を傾げて俺に聞いてくる。

マイアはオレに剣と魔法の存在する異世界に転生することを提案してきた。

この転生こそが先程マイアが言っていたチャンスらしい。


「何故オレなんだ?」

「それはね、僕が君を面白そうだと思ったからだよ。だからこうやってチャンスを与えてるんだ。あっちで不自由しないよう特典付きで。まぁ、どうするか決めるのは君次第だけどね。どうする?」


顎を片手で支え面白そうに笑っているマイアが聞いてくる。

オレは両手を組んで考える込む。

考え込みはしたが、答えはすぐ決まった。

この話を断れば記憶は無くなり人生をリスタート、或いは天国に旅立つことになるだろう。

もう地球に未練はない、と言い切れる程オレはまだ生きていないのだ。


「転生しよう」


■ ■ ■


「それじゃ、あの魔法陣の上に立ってくれる?」


転生前の準備を終えたはマイアに言われた通りに、陣の上に立つ。

陣は掘って書いたものではなく何か特別な液体を使って書かれたように見える。

異世界の技術か何かだろうか。

ちなもにだが魔法陣も部屋の隅っこに書いてあった。

しかもボードゲームの山に埋もれていた。


「それにしてもよかったの?」

「何が?」

「特典だよ。僕が決めていいなんて...後悔しても知らないよ?」

「オレはその特典がどんなものなのか全く知らないからな。下手にハズレを引きたくないんだ」


オレはマイアにオレに合ったスキルを付与させるようにお願いした。

理由は単純でオレが選択するよりマイアに決めてもらうほうが良さそうだからだ。

要望をもとにマイア選んでもらうことも考えたが、特に要望もないので任せることにしたのだ。


中を囲んでいる丸いところから中心に向かって陣に光が宿る。

転生の準備が出来たのだろう。


「最後に一つ聞かせてくれ」

「何?」

「お前は何者なんだ?」


オレが質問すると、マイアは一拍してから質問に答える。


「僕は神。君が転生する世界では遊戯神って称えられてんだよ」


遊戯の神、遊戯神。

オレの世界ではマイアなんて神聞いたこともないが、あの自信から嘘ではない事くらいすぐわかる。

それに遊戯の神ならあのチェスの強さにも納得がいく。

まぁ、転生の話を持ち込んできた時点でなんとなく想像はついていたが。


「あ、時間だからそろそろ転生させるよ?」

「わかった」


もう少し自慢話をしたそうだが時間を引き延ばすことはできないみたいだ。


「マイア、せめてあっちの世界ではお前を信仰させてもらうぞ」


その言葉を最後にオレはこの部屋から姿を消した。



――――ユニークスキル、【仮想都市】を取得しました――


お読みいただきありがとうございます。

三話目くらいから都市開発が始まるのでそれまでの話は少々雑になってしまっているかもしれません。

なので先に謝罪させてもらいます。

都市開発初めてすぐにチートをするのは難しいかもしれませんが頑張りたいと思います。

アドバイスあったらよろしくお願いします。

そしてこれからもどうぞ御贔屓に...

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