地味な作業は大事です。
書き上がりましたので投稿します。
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貴族の男がエルムを求めて来店し、彼が恐怖に怯えて立ち去ってから暫くしての店の中では、一つの作業が行われようとしていた。本来ならば朝食を取った後に今からやる作業を行おうとしていたが、貴族の男が朝早くに店を訪れた為に、作業の開始の時間を遅らせたである。
「エルム。今日は月に一度は行う事にしている棚卸の仕事を覚えてもらうからよろしくな」
「分かりましたですけど、……その棚卸って何をするんですか?初めて聞いたです」
「そうか、……まずは言葉の意味から教えないとな」
エルムは聞き慣れない言葉を聞いたので、それはどのような事なのかを尋ねると、リンは自分が記入している帳簿を入れている鍵が掛かっている本棚の方へと歩いていき、鍵を開けて棚の中から三冊の帳簿を取り出すと元居た所に戻り、持っている帳簿の一冊を開く。
「棚卸の作業っていうのは簡単に言うと、毎日オレが閉店後に記入してる帳簿に記載されている商品の数量と実際にある商品の数量が、両方とも同じ数量なのかを自分の目で確かめる作業だな」
「そうなんですね。……ても、それってやる必要はあるんですか?リンさんが毎日書いているなら間違いは無い気がするんですけど?」
リンは毎日、閉店後にその日仕入れた商品の数量と売り上げた商品の数量を帳簿に記入している。他にも閉店後にその日の売り上げの金額なども開いている帳簿とは別の帳面に記入しているが、棚卸の作業は彼女が手に持っている売り上げの金額と数量と品物の名前が記載されている帳簿と、仕入れの金額と数量と品物の名前が記載されている帳簿も使用して行う。毎日確認して記入しているならば間違いは無いだろうと言うエルムだったが、リンは首を横に振って否定する。
「それは絶対に無いな。オレだって間違う事はあるぞ。今は少ないけど、この仕事の覚え始めは帳面への記入の間違いが多かったり、金額の計算の間違いが多かったりとかで、じいさんに散々怒られてたからな。この棚卸の作業も最初は、かなりの誤差が出て大変だったんだよ。毎日きちんと帳簿を書けって口煩く何度も言われたし」
誰でも間違いを起こしてしまう事はあるので、自分も間違う事だってある。リンはそれを、仕事の覚え始めは間違いだらけで厳しい注意を受けた過去がある事を共に伝える。
「棚卸っていうのは一見すると地味で大変な作業なんだけど、とても大事な作業の一つなんだ。これを怠ると、商品の管理がきちんと出来ていない店として見られて信用に関わるからな。もしも誤差が出た場合は原因を調べて改善策を考えたり、普段の業務を見直したりとかして次に繋げるんだよ」
「分かりましたです!」
「あと、商品に傷とか付いたりしてたら価値を下げるって作業もするから。その作業も月に一度の棚卸の時にするって決めてるから」
「はいです!……あ、リンさん。その作業の時にお客さんが来たらどうするんですか?」
「あぁ、その時は申し訳無いけど今日は対応出来ませんって言って帰って貰ってる。オレも棚卸の作業をしながら対応は出来ないし、今日の売り上げの記録とかが混ざると訳分からなくなるからな。この棚卸の作業の日は事前に貼り紙で知らせておいたから来る事は無いと思う」
「そうだったんですか、あの貼り紙はそんな意味があったんですね」
エルムは今まで壁に貼ってあった紙に書いてあったお知らせの意味を先程のリンの言葉でようやく意味を理解した。その貼り紙は丁度一週間前にリンが貼っているのを見ていたエルムは、その時は聞いても分からなかったが、あれにはそんな意味が込められていたのだと納得した。
ちなみに先程まで居た貴族の男は、入口の扉に貼ってあるお知らせの紙を読まずに無視して入って来て、そこから怯えて逃げ出したのである。貴族の男が居たから他の人が居なかったのでは無く、元々今日は客を相手にした商売は行わない事にしていたのだった。
「よし、エルム。予定より遅れてるからさっさと始めるか」
「はいです!」
先程も言った通り、この棚卸の作業は本来は朝食後に行う予定だったのだが、貴族の男が訪ねてきたので作業の開始の時間を遅らせていたのだ。その男はリンに怯え、すぐに帰っていったが、それでも遅れているのは変わりは無かった。エルムは元気良く返事をすると、二人は棚卸の作業に取り掛かる。
「まずは品数が少ない物から始めるか。それなら数えるのは簡単だからな」
「どれが少ないですか?」
「それは、魔物の生態とかが描いてある図鑑とか鍋とかの食器類だな」
「分かりましたです」
エルムはその場所に向かい、リンは帳簿を持ちながら後を追い掛ける。
「エルム、図鑑は何冊ある?」
「えっと、……10冊あるです」
「10冊ね……、これは帳簿の数と同じだな。取り出して商品の状態を確認するんだ」
「はいです」
図鑑の実際の数は帳簿の数と同じだったので次の作業に取り掛かる。二人は協力して本棚から10冊の図鑑を取り出すと、リンはその内の一冊の図鑑を手に持ち、開いてページを送っていく。
「こうやって、表紙や中身が汚れていないとか、破れていないかとかの状態を見ていくんだ。商品によって確認する所は変化するからな」
「それって、……瓶に入っている薬だったら瓶が割れていないかとか、魔石だったら欠けていないかを見るんですか?」
「そうだ。他にも組み合わせて一つの商品になっている物なら足りない商品が無いかとかだな。もしここで状態が悪くなっている商品を見つけたら、その商品は別の場所に移しておいて他のと混ざらなくしておくんだ」
「で、悪い状態の商品は売らないで捨てるんですね?」
「いや、少しの汚れや割れとかだったら商品の値段を下げて売る事にしているし、それらがあまりにも酷い場合は流石に廃棄の一択だな」
「……何気に、いっぱいやる事があるんですね」
「色々取り扱ってるからな。まあ、慣れれば早く終わるから」
そんな会話をしながらも、二人は協力しながら作業を進めていった。のんびりと作業をしていたら日が暮れてしまい、明日の業務に響いてしまう事をリンは分かっていて、エルムはリンから教わっていた。商品の帳簿の数と実際の数に違いが出てしまった場合には数え間違えてはいないか、帳簿の記入が間違っていないかなどの確認も怠らずに作業を進めていった。
途中で休憩がてら昼食を取り、午後も棚卸の作業を続けていき全体の作業が終わりに近づいた頃、エルムは店の倉庫の奥にある一つの箱が視界に入った。
「リンさん。この箱には何が入ってるんですか?」
「それにはな、用途不明の商品を入れてるんだよ。さすがに使い方とか効能とかが分からない商品を売る訳にはいかないからな。……とは言っても、それでも買いたい客ってのが少なからず居るんだよ。……でも、二年前に箱の中にあった薬が一つ売れただけで、それから全く音沙汰無いけどな」
「へぇ~」
「見たいのか?なら、見てみるか」
その箱の中身は一言で言えば不良在庫なのだが、本当に極々稀にそれを必要としている人も居るので、リンは処分していない。……しかし、箱の中身で売れたのは二年前で、当時は名前は分かるが効能が分からない薬の一つだけで、それ以降は全く売れずに倉庫の奥に先程まで眠っていた物である。……当時は名前は分かるが効能が分からない薬を客に売るというのは、一歩間違えると殺人を犯してしまう可能性もあるのだが、薬を求めて来た客の事情をリンは考慮して、その時は売るという選択しか出来なかったのであった。
リンはその箱の中に何が入っているのかは全て分かっているが、エルムに見せてみようと思ったのと最近は全く見ていなかったので、少し埃が被っている箱を持ち上げると箱の蓋を開けた。
「ちなみに、これ全部仕入れたのがじいさんで、オレは一つも仕入れてないから。売るのも捨てるのも処分の方法はお前が決めろって言われたよ」
「……あの、話を聞いてるとリンさんに売れない物を全部押し付けた気がするんですけど、嫌じゃなかったですか?」
「別に嫌じゃないな。……誰かから何かを引き継ぐって事は、それの良い所も悪い所も全部ひっくるめて継がなきゃ駄目なんだよ。この店のような小さい店の経営でも全く甘くは無いからな」
リンは先代の店長からこの店を引き継いだので、自分で自由に考えて商品を仕入れて売る方法なども自由に決める事が出来る権利を引き継いだのだが、それと同時に先代の店長が抱えていた借金や、遅れていた商品の代金の支払いなどの義務も引き継いだ事となっている。何度も苦労した事はあったが、彼女は決して後悔はしなかった。それは全て自分が背負い、この場所を守っていくと先代の店長から店を引き継いだ時に誓い、リンの心の中で覚悟を決めたからである。
ちなみに、リンの経営の努力の結果はというと、引き継いだ借金などの金額は残り数回の分割の支払いだけで完済となる程に少なくなっている。他にも、店を引き継いだ後に自分が借金を作った事もあるのだが、綿密に実現可能な経営計画と返済計画を立てて借金をし、返済が滞る事が滅多に無く、自分の可能な範囲で返済を続けている。その件ではリンは信頼が厚く、彼女が誰かから融資をしてもらおうと経営計画や返済計画を考えていると、それを一体どこから聞きつけたのか銀行や投資家が何人も競って融資の話を持ち掛けて来る。
ここまで聞けば全てが順調に進んでいるように思えるが、何事も上手くは行かないのが現実である。一寸先は闇という言葉があるように、彼女も何度も失敗して支払いが遅れそうになった事があったが、その場合は即座に計画を修正している。生活が苦しくなるだろうと思われるが、彼女は決して派手な生活をせずに質素倹約を心掛けているので、時には自分の食扶持などに回す金を全て削ってまで返済に充てている。……こんな事をして身体は大丈夫なのかと思われるが、知ってのとおり彼女は既に死んでいるので全く問題は無い。
箱の中身を見ていたエルムは、一つの小さな袋に目がつき、手に持った。
「リンさん。この小さい袋ってなんですか?」
「それは、その箱の中に入ってただけの只の小さい袋だよ」
その袋はエルムの身体の半分程度の大きさの白色の袋で、模様や絵柄は無く、袋の上部に絞める為の紐がついているだけの小さい袋であった。
「何かの魔道具かと思っていたけどな、魔法が得意な奴に持たせても何一つ入りやしない只の小さい袋なんだよ。その袋の値段は銅硬貨1枚だけど全く売れない物だ」
「そんな物が、………ん?」
リンの話を聞いていたエルムは、袋の口から光が漏れている事に気付く。
「リンさん!これ見て下さいです、光ってるです!」
「何言ってんだよ?これは何にも変化は起き………、えっ?」
慌てているエルムに呼び掛けられたリンは最初は何を言っているのかが分からなかったが、エルムが手に持っている袋の口が彼女の言う通りに光っている事に気付く。
「……一体どういう事だ?何人もの魔法が得意な奴に持たせても、こんな事は一度も無かったぞ?」
「これって何か変な事ですか?」
「いや、オレも初めて見る現象だから驚いてるんだよ」
リンは驚きを隠せなかった。彼女にとっても全くの予想外の出来事が今目の前で起きているからである。リンは少しの間考えを巡らすと、ある一つの答えに辿り着いた。
「…………もしかするとこの袋、魔法袋の一種だ」
「それってなんですか?」
「一見すると小さい袋なんだが、その袋の中は魔法によって空間があって、その容量は袋の大きさとは比較にならない程に多い不思議な袋なんだ。……とは言っても、滅多に出回らない貴重な魔道具で高値で取引されるってのを、オレは聞いただけで実物を見るのは初めてだ」
「へぇ~、すごいです!………の中は……に広いです!」
「……エルム、頭を突っ込んだら危ないぞ」
初めて見る魔法袋に驚いてるリンであった。魔法袋にも種類があるのだが、その数は限りなく少ないので市場はおろか取引された記録も滅多に出回らない超が付く程の貴重な物である。その容量は袋ごとに異なるが、一説には一つの国の巨大な宝物庫よりも多くの物を収容出来る袋もあるとまで言われている。リンはそんな大変貴重な物が、まさか自分の店の倉庫の奥で埃を被っていたとは思ってもいなかったのである。
一度でいいから見てみたいとリンは思っていたが、流石に自分のような小さい店では仕入れる事すら夢のまた夢の事だろうと考えていた。そんな思考を巡らせている彼女とは対称的に、エルムは持っていた魔法袋に頭を突っ込み、袋の広さをその目で見ている。袋にはエルムの頭がすっぽりと入っており、油断すると身体全部が袋に入ってしまいそうになるのを呼び掛けて注意する。
「エルム、その中ってどのくらい広いんだ?」
「……ん~、……壁と…………まりとか、……全ぜ…………らないです」
エルムは袋の中で喋っているので聞こえづらい箇所もあったが、彼女の言葉から推測すると被っている袋の中の広さは相当の物であるが、それがどこまでなのかは分からなかった。
「うんしょ。……リンさん、この袋にどれくらい入るのか試していいですか?」
「そうだな。取りあえずこの箱を入れてみてくれ」
「分かりましたです」
エルムは頭に被っている袋を脱ぐと、これにどれだけ入るのかを試してみたいと提案すると、リンはエルムが持っている袋が入っていた箱を叩く。エルムはその箱に近づくと袋の口を当て、それを確認したリンは箱を袋の方に押した。……すると次の瞬間、
「きゃっ!?」
「うおっ!?」
その箱は意図も簡単に箱の中に吸い込まれるように入っていき、始めから無かったかのように消えてしまったので、二人は驚いた。
「入りましたです!」
「本当に入ったな」
入らないかもしれないと思っていた二人であったが、本当に入った事に喜びと驚きを隠せなかった。エルムの身体の半分程度の大きさの袋に、何倍もの大きさがある箱が普通であれば絶対に入らないからだ。
「で、リンさん。さっきの箱はどうやって取り出すんですか?」
「……いや、それをオレに言われても、……な」
「あの、……もしかして使い方は分からないんですか?」
「魔法袋なんてあると思わなかったから使い方は全然知らん。……とにかく、取りあえず手を突っ込んで引っ張ってみたらいいんじゃないのか?」
エルムから質問を投げ掛けられたリンだったが、取り出す方法は彼女は知らなかったので答えられなかった。リンは答えを何とか絞り出して、エルムに対して袋の中に手を突っ込んで引っ張ってみてくれと提案する。
「引っ張ってみるですか?分かりましたです」
エルムはリンの言われた通りに魔法袋に手を入れて引っ張り出そうとする。
「…………何か掴めたです!えいっ!」
袋の中で箱の一部を掴めたであろうエルムは、力一杯引っ張りあげると先程魔法袋の中に入れた箱が元の大きさで出現した。
「お!ん~!」
「危なっ!」
魔法袋から出てきた箱はエルムの片手では持てない程の重さだったので彼女はよろけてしまって何とか持とうとするが、リンが慌てて箱を受け止める。
「ありがとうございますです」
「大丈夫か?」
「私は大丈夫です。……でもこれで、出し入れのやり方は分かりましたです。リンさんもやってみてくださいです」
「ああ、分かった」
エルムは持っている魔法袋を差し出すとリンはそれを受け取り、袋の中に手を入れようとした。
「ん?」
「あれ?」
「……指しか入らねぇ。てか、光ってない」
魔法袋に手を入れようとしたリンだったが、彼女の片手はおろか片手の指一本だけしか入らなかった。中は相当な広さが広がっている筈なのだが、その広さが嘘のように消え失せたのであった。それを表すかのように袋の外からでもリンの指の動きが分かる。更に先程まで袋の口から漏れていた光も今は消えている。
「エルム、袋に触ってみてくれ」
「はいです」
エルムが袋に手を触れると再び光が漏れて袋の中には空間が再び広がる。リンは袋の外から指の動きが分からなくなるのを確認すると指を抜き、中は一体どうなっているのかと思い、エルムが触っている魔法袋の中を片目で覗き込む。
「……う~ん、これはどこまで広がってるかオレも分からないな」
「リンさん、この袋はどうするんですか?」
「それなんだけどな、……それはエルムが使ってくれ」
「え?いいんですか?これってお店の商品だから誰かに売らないといけないんじゃないですか?」
「これを使えるのは、この街だけじゃなくて国中を探したとしてもおそらくエルムだけだ。この街で魔法が一番得意なマスターが持っても、さっきと同じ事は起こらなかったからな」
シーアは普段は幼女の姿をしているが、それは魔法で姿を変えているだけであって、彼女の本来の姿は絶世の美女と本人は強く言っている。……実際、本当の事なのかどうかは誰にも分からないので定かでは無いが。
話を戻すが、自分の容姿を変化させる魔法というのは高度で複雑な魔法であり、それを使える者は魔法の技量がとても高いのである。しかし、そのシーアでもこの袋を持っても先程の現象は一切起きなかったのと先程の現象を見て、リンはこの魔法袋はエルムしか使えない物だという結論を出し、エルムに譲る事にしたのであった。
「あの、この袋のお金は?」
「別にいらねぇよ。従業員に自分の店の商品を売り付けないといけない程に金には困ってないし、この分は支給品として帳簿上処理するから」
エルムは代金を支払おうとするのをリンは止める。彼女は特段金には困っていない事を告げなから、帳簿に記載してあった魔法袋の欄に今日の日付と備考の欄に『支給品として』という文章を記入する。
「リンさん。もしもなんですけど、お店を空けて一緒に出掛ける時はこの袋の中に商品とか入れてみますか?」
「そうだな。……まあ、その袋の中に入ればいいけど、さっき見たあの広さだと余裕で店の商品は全部入りそうだし、袋の中なら盗まれる事は無いだろうから、その時になったら頼むからな」
「分かりましたです!」
エルムの提案に、リンはその時は任せると言うと元気良く返事をするエルムであった。
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その後、二人が棚卸の作業を終えたのは暮れそうになるほどに日が傾いている時間帯だった。
「……あ~、やっと~、終わったです~」
「お疲れさん、初めてやった棚卸はどうだった?」
「いっぱいあって疲れたです~。リンさんはこれを一人でやってたんですか?」
「そうだよ。……でも、一人で作業するよりかは楽しかったぜ」
「本当ですか~?」
「本当だよ。嘘言ってどうするんだ?」
テーブルの上で疲れてへたりこんでいるエルムにリンは労いの言葉を掛ける。そして彼女の言う通りでエルムが店で働き始める前は、この作業を全て一人でやっていたのである。……だが、リンは一人で作業をするよりも、エルムと一緒に二人で棚卸の作業をした事に楽しさを感じていたのだった。
「今回の棚卸は帳簿と実際との誤差が無い商品が多かったな。誤差があった商品でも、その数量が1個か2個くらいの許容範囲だから今回は特に改善点は無いな。取りあえずは現状維持で大丈夫か」
今回の棚卸の作業は、リンの言葉の通りに誤差が出なかった商品が多くあり、誤差が出た商品でもその数は1個や2個程度なので彼女の許容範囲であり、今回は改善点は見当たらないのだが現状維持としてこのまま続けていこうと結論を出した。
「よしエルム、遅くなったし今日は何処かに食べに行くか?」
「は、はいです!」
「お、元気になったな。どこで食べるかはエルムが決めていいぞ」
「分かりましたです!」
時間も時間なのでリンはどこかに食べに行こうとエルムに提案すると、彼女は先程までの疲れた様子が嘘のように無くなって元気よく返事をした。
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今年中にはもう一話くらい投稿出来たら投稿します。