死因は豆腐
世の中にはたくさんの死因がある。
その中で死因が豆腐だった人はどれくらいいるのだろうか。
豆腐で人を殺す方法はたくさんあるが、はじめに大きな豆腐を作るところから始めてはどうだろうか。
はじめに、東京ドーム一つぶんの豆腐を作ったとしよう。もっともこの東京ドームで大きさを表すやり方はとてもわかりにくく、使われるべきではないのでただ大きな豆腐を作っただけと考えてもらって構わない。これほど大きな豆腐を食べるには果たしてどれほどの醤油がいるのだろうか。世界から大豆がなくなりそうだ。
実は、豆腐を作っている段階ですでにたくさんの人を殺害することができる。大量の大豆に埋もれさせる、一緒に煮込む、しぼりあげるなどである。しかしどうだろうそれは豆腐で殺害したことにはならないだろう豆腐の途中で殺害したのであって、死因は豆腐と大豆の間の何かということになるだろう。
というわけで今我々の手にはただ大きな豆腐があるだけにしよう。これを凶器として使う。はじめに文字通り死ぬほどでかい豆腐があるのだからこれをそのまま使おう。これを空の上から街に落とすのはどうだろうか。前代未聞のテロである。メディアが騒ぎ立てるであろう。「死因は豆腐」。
しかしどうだこれではただの圧死、もしくは窒息死だろう。真に死因は豆腐とはいえなかろう。残念だ。
さて、他の方法を考えよう。先ほど街に落としたので少しばかり小さくなった豆腐。逆に今度は人を豆腐に落とすというのはどうだろうか。大きな豆腐の途中に挟まれたまま放置すれば窒息死。死因は豆腐。いや、やはり窒息死であって違う。むしろこの場合人が生き残っているとしよう。もちろん周りには豆腐しかない。落ちてきた穴を登ろうとするだろう。悲しいかな、豆腐は柔らかいから登っている途中で崩れて登れない。きっといつか諦める。
その後、その人はこのまま餓死するのではなかろうか。周りに豆腐しかないとすればはじめは豆腐を食べるだろう。しかし、しばらくすると嫌になるだろう。もはや飽き飽きして食べられなくなる。食べても吐く。吐いたものも豆腐。豆腐にまみれて死ぬ。死因は豆腐。こう言ってもいいだろう。
市販の豆腐でどうやって殺せるだろうか。夢があるのは。マンションの屋上から投げ捨てて殺すことである。人間の頭蓋骨を骨折させ死に至らしめるためには600kgほどの衝撃が必要らしい。普通豆腐は300gとしよう。この場合20mぐらい上の方からその人めがけて投げれば殺せそうである。完全犯罪ができそうである。うっかり豆腐を落としてしまったことにすればちょっと疑われるだけで済みそうである。何しろ死因は豆腐なのだから。