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女神をよんだ影達   作者: 北條ゆっきー
第一章
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2話 朝

本当の事実を知るのは、いつだって突然だ。

誰でも本当の事を知っているとは限らない。もし、真実だと思っていたことが本当は違かったなら誰もが絶望するだろう。


聖奈と愛梨は、登校してきた多くの生徒をくぐり抜け やっと北校舎2階の教室にたどり着くことが出来た。思っていた以上の混み具合であったために教室に行くまで少し時間がかかってしまった。


そんな朝の疲労を感じるなか、聖奈と愛梨は自分の席に着いた。聖奈の席は、一番後ろ端の窓側の席だ。その、場所から右隣の席が愛梨の席となっていた。利晃とは比較的席が離れていたので幸いであった。最近、席替えをしたばかりでクラスの生徒も、まだそわそわしている雰囲気で落ち着きがない。


そこに、クラス担任の山川が「おはよう!」と勢いよく教室に入って来た。いつもの事ながら元気の良い教師だ。


「おはよう皆!今日は、君達に重大発表がある!」


山川が大袈裟に言うのは今に始まったことではないが毎回のようにこのクラスの生徒達は大抵聞き流している、そしていつものようにクラスメイトの男子がその場の空気を盛り上げようとして


「なになに!?」などと言ってくいつてくる。


隣の愛梨も私に向かって


「やっぱり転校生なのかな!?」


「まだ、わからないよ。もう少し待ってみよう」


「うん!」


と、元気よく彼女は頷いた。正直 聖奈にとっては、またどうでもいい事であった。関心が無いのはいつもの事であったが何故かその時だけ妙に胸騒ぎがしていた。


「よし!入って来て。」


山川の言葉に導かれるようにして入って来た その子は、輝きを持った真珠のように美しい銀髪とサファイアのように透き通る青い瞳、小柄ではあるがスタイルが良く銀髪を束ねたポニーテールが良く似合う美少女であった。その銀髪美少女は、朝校門で見た人物と同一人物だった。


「皆に紹介しよう!今日からこの学校に転入してきたシルーカー・ファロンさんだ。ご両親の都合で日本で生活する事になったらしいので、皆も彼女が何かで困っていたら教えてやってくれ」


そう、山川は説明しシルーカーに自己紹介するように言った。


「シルーカー・ファロンです。日本語は、外国でしっかり勉強しているので一応話せます。あと、私が幼い時 日本で数年過ごしていたので片言じゃなくて普通に話せると思います。なので、これからもたくさん話しかけてください。どうかよろしくお願いします。」


そう挨拶するとシルーカーは丁寧にお辞儀をした。すると、教室中に拍手が鳴り響いた。

私も、一応拍手はしたが隣の愛梨が


「やっぱり転校生だったんだ!!」


と、騒いでいるおかげで耳栓をしたいぐらいの騒音が直接聞こえていた。


「よし!シルーカーあそこの空いている席で今後授業を受けてくれ」


山川がそう言うと 1番前列の空いている席に腰を下ろした。当然ながらその周辺の席の男子が嬉し声をあげている。これ程の美少女が近くに来たなら騒ぐのも不思議ではないのかもしれない。


「やっぱりやっぱり!!今日見たあの子 転校生の子だったんだ!」


と、周りを気にしない様子で愛梨は私に再度話しかけてきた。


「そ、そうだね。というかちょっと落ち着いた方が…」


「こら!!安藤静かにしないか!!」


聖奈が、警告する前に担任の山川が怒鳴りつけた。あまりの迫力に一瞬 教室が静まり返ったが一斉に笑い声があがった。


「どんだけ興奮してんだよ、安藤ー」


と、利晃(としあ)が爆笑しながら発言した。

周りの生徒も達もクスクスと笑い声をあげている。


「よし!これでホームルームを終了する。日直、号令かけて」


山川は、日直にそう告げると一旦職員室に戻るために必要な荷物だけまとめ始めた。


「起立!」


ガタガタ ! 一斉に日直の号令で生徒達が立ち始める。


「礼!」


こうやって慌ただしい朝は終わりを迎えた。

でも、聖奈は何故だか不思議な気持ちに陥っていた。


「あの転校生の子、昔どこかで…」


「どうしたの聖奈ちゃん??さっき何か言った?」


聖奈は、愛梨の言葉でハッと我に返った。


「いやいや、何でもないよ。ごめんね。朝からちょっと疲れちゃったみたい。」


と、その場しのぎの言葉を並べて言い訳を作った。いつも不思議に思っていたが、安藤愛梨は何故 毎度私に話しかけてくるのか疑問でしかなかった。このクラスの生徒は大抵 私に話しかけてこない。その大きな原因となっているのは、ある一つの噂のせいだ。


聖奈と一緒にいる人間は、どんなに善人であっても不幸になるというものだ。だから、気味悪がって誰もが聖奈に近づこうとしなかった。唯一そんな噂を気にしないで近づいて来る人間が愛梨と利晃であった。

聖奈自身は、既に孤独に慣れていた。だが、あのお節介な2人がいるおかげで色々と厄介事が増えて多少 暇ではない生活が成り立っていた。


「聖奈ちゃん!あの子どう思う!?」


「あの子?」


「あの子って言ったらあの転校生の子に決まってるでしょ!」


何故か愛梨は、嬉しそうであった。転校生が来ただけでこんなにも嬉しそうな人を初めて見た。


「シルーカーちゃんだっけ?あの子の名前。とっても綺麗な子だよね。外国の人ってそこまで見たこと無かったから、すごく新鮮な感じがするよ。」


と、率直な意見を述べた。

そうすると愛梨が


「そうそう!可愛いい名前だよね!あと、一つ心配な事があるんだけど…」


「どうしたの?」


「うーんと、その〜 あの子と仲良くなれるかな?」


急に愛梨らしからぬ質問してきたため動揺を隠しきれずに後ずさってしまった。いつもの彼女であればそんな事を気にしないで話しかけるはずだが今回は普段とは違かった。


「ど、ど、どうしたの!? 熱でもあるの!?」


そう言って愛梨の額に手の甲を当て体温を確認しようとした。


「だ、大丈夫だって!熱なんてあるわけないよ!ただ…」


「ただ?」


と、先を続けるように会話を繋げた。


「ただ、シルーカーちゃん何だか近づきにくいって言うかなんというか、よくわからないけど異様な雰囲気が出てるというか…」


「なるほどね、じゃあ一緒に話しかけに行ってみる?」


「ぇええ!? いいの!? 」


思った以上に喜んでいたので、つい笑いをこぼしてしまった。


「うん!じゃあ、早速行ってみよう?」


「そうだね!恐れてたら何も始まらないよね!」


そう言って早々と例の転校生の元へと駆け出して行ってしまった。私もその後をゆっくり歩み寄る。案の定、シルーカーの元にはたくさんの生徒が群がっていた。その中をかき分けるようにして愛梨と私は彼女の元へと近づいた。

シルーカーは、俯いたままとても困っている様子だった。


「ちょっと!やめなよ皆で、そんなにたくさん質問したらシルーカーちゃん困っちゃうでしょ!?」


「そうだよ、やめてあげて」


そうして私が発言するとクラスの人間達は


「なんだよ、呪われ女が」


「そうよ、呪われ女のくせに何偉そうな事言ってるの?」


「誰も、お前の言うことなんか聞くわけねぇーじゃん」


と すごい、罵声の声が飛び交っていた。こういう事を言われるのは毎度の事だ。誰も聖奈の言う事を聞こうとしない。少し発言しただけでこのざまだ。


だから、最初から聖奈は仲間など必要としていなかった。きっと自分自身が傷つかないようにと無意識のうちに自己防衛が働いてしまっているのだろう。それと、自分のせいで仲間を不幸なめに合わせたくないという聖奈自身の本来ある深い優しさが裏目に出てしまっているのだ。


その時 バンッ!!という机を叩く音が、その場にいた人間の耳に響いた。一斉にその音がなった根源の方向を見た。でも、その音が鳴り響いた場所は一箇所では無かった。聖奈は、突然かつ予想打にしていなかったことから、思考がまとまらず何が起きているのかすぐに理解出来ないでいた。それは、ここにいるクラスメンバー全員も同じ状況が生まれているのだと一見しただけで理解出来るほどの出来事であった。

どうもです!今回も異世界に行きませんでしたね(^^; でも、やっと次こそはポンしたいと思います。なのでどのような展開になるか楽しみにしていてください!そして、今回の意外な出来事とはいったい何でしょうか?それも、想像しながら待っていてください!笑 転校生のシルーカーも登場してきて何が起こるやら(*・ω・*)wkwk

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