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自分
どうしてあの子は死んでるの。
なんで血を流して死んでるの。
ねえ、あの子って誰?
第五話
「自分」
真っ白な世界。
手を伸ばしてもそこには何もない、ただ白が広がる世界。
「なんだ、ここ。」
なんでこんな所にいるんだ。
なんで私はこんな所に。
「思い出せない。」
なんで俺は思い出せないんだ?
あれ、俺って誰だ?
真っ白な世界。驚くほどの白い世界は徐々に不気味さを醸し出していた。
真っ白な、
真っ白な、
真っ白な。
真っ白過ぎて気持ち悪い。
白、白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白……。
「……ん?」
白の中にぽつり、真っ黒な穴があった。
異質、明らかに怪しい。
でも、足は穴に向かって進んでいく。
好奇心、興味が溢れ出す。
何回同じことを繰り返す?
また、苦しみに行きたいのか。
『もう終わりにしよーよ。』
誰かの声が聞こえて、
体はがくりと傾いた。
「はやく起きて。」
優しい声が聞こえて『僕』という存在は目を覚ました。
「…おはよう、我があるじ。」
また世界は廻り出した。