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あの娘(こ)は電波か本物か  作者: 沙φ亜竜
第3話 わらわをおびやかすのは、どこの誰じゃ!?
14/31

-2-

 ひそひそひそ……。

 放課後となり、真綿ちゃんたち四人は、再び屋上へと出るドアの前に集まっていた。

 追加情報のメールが届いたという真綿ちゃんの報告により、紗月ちゃんが先導してみんなを連れてきたのだ。


「それで、追加情報っていうのは?」

「うむ。これじゃ」


 昼休みと同様、携帯電話の画面を見せる真綿ちゃん。




 差出人 : ガロ


 件名 : 調査結果2


 メール本文 :


  追加でわかった情報がありましたので、お知らせします。

  真綿さんのご友人、天童孝徳さんについてです。


  彼はどうやら、蘇我入鹿が暗殺されたあとに即位した孝徳(こうとく)天皇の血筋を

  受け継いでいるようです。


  かなり遠い血筋にあたるようで、すでに天皇家とはまったく関係がないと

  言っていいと思いますが。

  ただご先祖からの伝承などでも残っているのか、彼の家系では、

  長男に孝徳(たかのり)という名前をつけることが多いようです。


  それでは、引き続き調査を続行します。




「にゃははっ、おいらの家って天皇の血筋だったのか!」


 嬉しそうに言う孝徳くんだったけど、


「遠くてもう全然関係ないって、書いてあったけどね」


 紗月ちゃんから冷静なツッコミを入れられていた。


「あはははは。でも、今回の情報はこれだけなんだね」

「そうみたいじゃの。まったく役に立たない情報じゃ」

「うあっ、ひっどいなぁ……」

「実際、まったく役に立たないしね、孝徳くん」

「おいら本人が!?」


 若干気が抜けてきているのか、大声とはいかないまでも、みんなそれなりの声で喋るようになっていた。

 ま、今は聞かれて困るような話をしているわけでもないから、べつに構わないとは思うけど。

 そこは微妙に真面目な紗月ちゃん。すかさず叱責の声をぶつけてくる。


「声が大きいわよ、孝徳くん。気をつけなきゃダメじゃない。まったく孝徳くんは、いつもいつも……」

「おいらだけ!? しかも、いつもって、おいらってどんなふうに見られてるのさ?」

「ふふっ、ダメ男?」

「うあっ、直球っ!?」

「あはははは。相変わらずふたりは仲よしだな~」

「いえいえ、そちらのおふたりほどじゃないわ」


「ちょっと待ってよ! おいらと紗月ちゃん(こいつ)の、どこが仲よしだってのさ!?」「ちょっと待て! わらわと勇授(こやつ)の、どこが仲よしだと言うのじゃ!?」


 申し合わせたかのうように孝徳くんと真綿ちゃんの声が重なる。

 紗月ちゃんの叱責から始まった流れも、結局はこうしていつものバカ騒ぎへと発展する結果にしかならなかったようだ。

 とはいえ、紗月ちゃん自身も、それでいいというふうに、笑顔を浮かべていた。


 慎重になったほうがいい状況ではあっても、度が過ぎると精神的にまいってしまう。

 だからこそ、こうしてみんなでバカ騒ぎする時間も必要だと考えているのだろう。


「それはともかく、真綿ちゃん。他に最近気になったこととかって、ないの?」


 ひとしきりバカ騒ぎが静まったところで、紗月ちゃんが問いかけた。

 もう少ししっかりと現状を把握しておこうとでも思ったのだろうか。


「う~ん、そうじゃのぉ……。気になるといえば、最近ちょっと、おかしな視線を感じるような気がするのじゃ」

「あの春歌って三年生が隠れて見てるってことかな?」


 答える真綿ちゃんの声に、孝徳くんが意見を添える。

 確かにそれが一番ありえそうではあるけど、真綿ちゃんはかぶりを振る。


「う~む……、なんとなくじゃが、違うような気がするのぉ。もっと別の、鋭い視線というか……。もちろん、わらわの気のせいかもしれないわけじゃが……」


 どうやら真綿ちゃん自身も、はっきりと確信できているわけではないようだ。


「なんにしても、やっぱり注意する必要はありそうね。さて、それじゃ、帰りましょう」


 昼休みと同じように紗月ちゃんが締めの言葉を放つと、四人は家路へと就いた。

 といっても、先日から決めているとおり、真綿ちゃんを家まで送っていってから、残りの三人は自分の家に帰ることになるのだけど。

 勇授くんは真綿ちゃんの隣の家だからいいけど、孝徳くんと紗月ちゃんの家は学校から見て完全に反対側になるし、毎度ながら大変だ。


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