第1.5部 Haruka story ~戦争前夜~
この世界に来てから長いのだがどうしても好きになれないものがある。
それは、<犬>だ。
ボクとしては、この世界の<犬>は体毛がチクチクして嫌いだった。
ついさきほども飛びつかれてしまい、腕や顔が赤くなってしまった。
まぁ、ボクも色々あって抑えきれそうになかったから思いっきり構ってやったんだけどさ。
ボクにはこの世界で好きなものが三つあった。
一つ目は、シーフギルドの連中だ。なにやっても、どんな姿でも、笑いもしないし、バカにもしない。
だからボクはそんな彼らのことが好きだ。
あとは、この世界の料理が好きだ。
なぜかは知らないがボクの大好きな魚料理が多い。
今思ったが、魚好きなのもボクの姿に関係してたりするのかな?
だとしたら・・・それだけでこの世界のことを面白いと思えるようになってくる。
それと、あと一つはボクの相棒だ。
相棒・・・って言うのも変かもしれない。どちらかと言うとボクの方が手伝ってあげてる感じだ。
その相棒は今、ボクの隣で寝ている。隣って言っても、もちろんベッドは違うけどね。
今日はどんな夢を見ているのだろうか?
昨日は引導者の子から教えてもらってたみたいだけど・・・。
しっかり寝てもらわないと困るから、良い夢見てると良いな。
・・・それにしても、今日の告白・・・、我ながらバカだったよな・・・。
早とちりして、あんなこと言うなんて・・・。
でも、レンに言えて良かった・・・。
レンにはまだ言ってないけど、<マーセナリーG>には、ボクより強い人何てごまんといるからなボクが殺されてしまうかもしれない・・・。
危なくなったら一緒に逃亡してくれるかな?
こっちの<G>も逃亡は許してくれそうにないから、もしそうなったら、世界の果てまでノンストップで行かなきゃないんだろうな。
もう一度レンの方を向く。
明日のことなんて全然気にもかかってないような寝顔だ。
本当、よく寝られるよ・・・。
ボクもそろそろ寝ようかな?
明日からの戦争に備えてね・・・。
1ヶ月はここに滞在することになるだろうから・・・。
戦いの前夜にはふさわしくない、美しい月夜だった。