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2章  ~俺の夢に入る俺?~  part1

いや~正直今から結末はどうしようかと考える日々です。

出来れば100話くらいいきたいのですが、

何か10話くらいで終わってしまう雰囲気……。


もっと文章力をつけないと。

「先輩、大丈夫ですか?」


「――っ!!」


 突然の雨沢の声に、過剰に反応してしまう俺の体。倒れていた体を無理やりに起こし、雨沢の声が聞こえた方向に向き直る。……が、そこには雨沢の姿は見当たらない。


「説明を怠っていました、すいません先輩。あ、私はその世界には存在していませんよ? 仮に先輩が見た夢の中に私が登場していたら話は別ですが、現実に存在している、本物の雨沢夢美はそこにはいません」


 雨沢の説明を聞いている間、周りの風景を改めて観察してみた。


 どうやらここは、俺の通う高校のようだ。


 窓から見える校庭と下校していく生徒、ふと後ろを振り向けば俺の在籍する2-3とプレートが貼ってある教室がある。


「もう一つ補足すると、私は今先輩の脳に直接言葉を送っていますが、これもあと十七秒後には出来なくなってしまいます」


 なので私から最後に……ふー、と、一旦深呼吸をしたような音が聞こえたかと思ったあと、


「キーワード、『捲る』。制限時間、三十二分、ミッションスタート!!」



 ブツッ――、ツー、ツー……。



 ……え?



「ちょ、ちょっと待てよおい!!」


 いくら叫んでも、聞こえるのは窓の外からの、下校中生徒の笑い声だけ。俺の言葉を聞いてくれるものはいなさそうだった。


「待てよおい!! いったいどういうことなんだよ!!」


 いくら叫んでも無駄だということはなんとなく分かる。ただじっと何もせずいることが怖かった。


 あの雨沢夢美という女を甘く見すぎていたのかもしれない、何てことを今更ながらに思う。


と、そのとき、


 ガラガラガラ――


 窓の外を眺めていた俺は、真後ろから聞こえた教室の戸が開く音でさえ、過敏に反応してしまった。しかし、そこからさらに窓から身を投げたくなるほど驚いてしまったのは、そこに立っていた人物に原因がある。


「た、立花……さん?」


「浦君? こんな時間にどうしたの? もう下校時間すぎてるよ?」


 俺には異性の友達など存在しない。


 故に女の子と喋った記憶など、母親のお腹の中にいた記憶と同等になるくらいないのだが、この目の前にいる彼女と喋った記憶だけは鮮明に覚えている。


 いや、向こうはただ単に、クラスで浮いていた男子生徒を、馴染ませてあげようといった学級委員的な発想で話しかけてくれただけだと思うのだが、少なくてもあの時の俺にとっては、その行為だけで十分だった。


 わたくし、浦隼人は、目の前に立っている、立花楓さんに恋をしています。


「……た、立花さんこそ、な…なんで?」


「私? 私はほら、学級委員になっちゃったから、その仕事がね」


 俺としては、なんでこの世界にいるのですか? てきな意味での「なんで?」だったのだが、立花さんは教室にいた理由を教えてくれたようだ。


 立花さんは軽く親指を突き出した手で、後ろを指差し、「ちょっと教室で話さない?」と、俺を誘って……って、ええええええええええええええ!!


「えっ!! お、俺と、お喋り……ですか?」


「うん、だって浦君、去年からずっと休み時間は本ばっか読んでるし、学校が終わったらすぐ帰っちゃうし、話す機会が全然なかったんだもん。あ、用があるんだったら――」


「い、いえ!! 喜んで!!」


 ここが一瞬夢の世界だということを忘れるほど、俺は完全に興奮しきっていた。ここまで自分の鼻息が聞こえてくるという体験は、生まれて初めてだ。


 改めて考えると、これは俺が見た夢であるってことだよな? ……ナイス俺!! 最高のタイミングで最高の夢を見てくれてありがとうっ。


「じゃあ入って……って、まるで私の家に浦君を招待しているみたいだね」


「そ……そうですね」


 うっわなんかもうむっちゃ可愛いんですけどっ!!


 これが本当にっさき俺が見た夢だとしたら、雨沢に吸い取ってもらったのはラッキーだったのかもしれないな。こんな夢を見た後、現実に戻ったときの喪失感を想像すると……はぁ。


 教室に入っていく立花さんの背を眺めながら、俺も中に入ろうとした、




 その時。



 

「――――っ!!」


 針を刺されたような、ピリッとした痛みが手首に伝わった。


 条件反射でふと痛みのした手首を見てみると、なぜか腕時計のようなものが手首に巻きついている。


 パネルには、『26・12」と表示されており、どうやら時を示すものではなく、何かのカウントダウンだということが分かった、着々とデジタルの数字は数を減らしている。現在『25・58』。


 正直、こんなものに今は気を取られている場合ではない。なんたって、あの憧れの立花さんと話せるという機会が目の前にまで迫っているのだ。こんなことは多分、現実ではもう経験出来ないだろう。


 しかし……不思議なことに。今はこの腕時計のことが気になってしょうがない。



 俺はいったい……どうしちまったんだ?

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